2022年6月18日 (土)

『図説 世界未確認生物事典』(笹間良彦・柏書房)の感想

 書籍『図説 世界未確認生物事典』(笹間良彦・柏書房)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 あらすじとしては、タイトルと、ほぼ同じです。ページが三段組で、構成されています。各生物の説明文は、長短様々。ほぼ全ページにわたって、作者様の絵が描かれています。
 最初に、いただけない点を挙げましょう。「未確認生物」というと、ネッシーやビッグ・フットを連想された方が、いらっしゃるでしょう。私もそのタイプです。が、もちろん、現代でも名高い未確認生物についても書かれていますが、ユニコーン、旋亀(鳥の首と、蝮のような長い尾を持つカメ)といった、伝説的生き物、神獣の方が、はるかに多いです。ファンタジー世界の生物というタイトルにした方が、わかりやすいのでは?
 二番目に、作者様が、どういう判断基準で、それぞれの生物を選んだのか、よくわかりませぬ。
 三番目、「水棲類」「湿生・両棲類」「龍蛇類」「鳥類」「獣類」「妖怪・妖精・妖霊」「異形人類」と、7項目に分かれており、目次もあるのですが、巻末索引がありません。だから、レヴィアタン、バシリスクといった、名前だけしかわからない生物は、7ページにわたる項目別の生物名から、一生懸命、探すしかないのです。さらに、それらは、アイオウエオ順にもアルファベット順でもない、不親切仕様です。

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2022年6月11日 (土)

『絵で見て納得! 時代劇のウソ・ホント』(笹間良彦 著画・遊子館)の感想

 書籍『絵で見て納得! 時代劇のウソ・ホント』(笹間良彦 著画・遊子館)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 あらすじ(中味)紹介としても、タイトルで言い尽くされていますね。見開き2ページで、一項目ずつ、本当の江戸時代の様相について説明されています。何とっても、右ページが説明文、左ページが作者様のイラスト(プロのイラストレーター様に比べると、ぎこちない線ではありますが、充分にわかりやすいです)と、理解しやすく読みやすい内容です。
 日本史オンチの私が、勉強用に購入したのですが、江戸時代資料としても、なかなか優れているのではないかと思います。

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2022年5月27日 (金)

『楠勝平作品集 彩雪に舞う……』(青林工藝舎)の感想(追記)

 漫画『楠勝平作品集 彩雪に舞う……』(青林工藝舎)の感想の追記を述べます。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 ちまちまアップして、申しわけありません。今回がラストです。
 私的に、一番インパクトのあった漫画について、ご紹介しておりませんでした。
 それは、「おせん」でも「彩雪に舞う……」でもなく、「茎」という前後編に分かれた作品です。
 あらすじとしては、恐らく江戸時代、染め物師を志す少女つむぎは、男衆の中に一人だけ混じって、辛い修行と仕事に明け暮れます。やがて、別の店で同様に染め物師になろうとしている民江、けんかっ早い青年と知り合います。が、間もなく、民江は結婚のため仕事をやめ、恋仲になった青年は、普通の結婚生活を希望していたたため、つむぎは別れを告げ、染め物を教える男衆からも、将来的に子守、洗濯、料理をするべきだと、敬遠されるのでした。
 物語が進むにつれて、孤立していくつむぎと裏腹に、彼女の弟は順調に、板前としての腕をあげていきます。そして、前後どちらにも描かれている場面ですが、幼い少女達も若い女性も、結婚することが人生の第一目標で、最大の幸せであるように、周囲から言われ、また本人達も信じている様子がリアルにして怖い。
 逆に、つむぎは、孤立は辛かろうに、いわゆる元彼になった青年を見かけても、昂然と頭を上げて歩んでいきます。これが、芯のある、「茎」のタイトルの理由でしょうか。

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2022年5月21日 (土)

『楠勝平作品集 彩雪に舞う……』(青林工藝舎)の感想(続き)

 漫画作品集『楠勝平作品集 彩雪に舞う……』(青林工藝舎)の感想の続き、参ります。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

「名刀」、火事か台風のような大災害の後、身分、年齢、性別ばらばらな老若男女が一カ所に集まります。その中に、名刀所持を誇りにする老武士がいましたが、ある少年は彼を小ばかにした態度を取り……。庶民が武士に勝った? 最初から、飛ばしてくれますね。

「ぼろぼろぼろ」、「自殺へのすすめ」というサブタイトルつきの、短期集中連載だったらしい、8回の続き物。主人公は、盲目になって9年の、あんまの享さん。時々、姉の世話をうけながらも、彼の周りは死の影がただよいます。生活に不自由はしないけれども、咳がひどくて、武士の誇りだけをよりどころにする田村は、罪のない浪人を斬殺し、酒乱気味の大工は自殺未遂から……。身体障害の差別的な表現もありますし、相当暗いお話です。それでも生きる、是が非でも生き続ける人もいれば、耐えきれない人もいる。どん底の人間の悲しさをうたっているのでしょうか。

「おせん」、これは漫画アンソロジー本でも読んだことのある、作者様の代表作です。貧乏だけれども、気立てがよくて明るいおせんは、大工の青年と恋仲になりますが、高額な花瓶を壊したことで、態度が豹変。青年は幻滅するものの、彼のおじは……。とにかく、花瓶を割る前までの、おせんの言動が愛らしいです。これまた、謎のラストです。おせんに救いがあるのでしょうか。二人はまた、結ばれるのでしょうか。私は、そうであってほしいと、願っていますが。

「蝶を見た!」、手代と大店の一人娘が駆け落ちをし、山奥で不自由ながらも、一緒に暮らし始めますが……。作者様には珍しく、色っぽい描写があるなあと思ったら、「原作:岩崎稔」とありました。

「しまい風呂」、現代物で、男湯の中で、おもしろおかしく話をする、公蔵や高石のエピソード。シンプル表現ながらも、男達の股間がバッチリ描かれています。色っぽくて笑える物語かと思いきや、ラストの人生の悲哀と孤独が、胸にしみます。しまい風呂とは、銭湯の営業終了間際の風呂ではなく、そういう意味だったのです。

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2022年5月15日 (日)

『楠勝平作品集 彩雪に舞う……』(青林工藝舎)の感想

 漫画作品集『楠勝平作品集 彩雪に舞う……』(青林工藝舎)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらは、何となく心惹かれて購入したものですが、品薄なのか、高額でした。読了した今、買ってよかったと、思っております。
 収録されている作品は、次のとおり。

 名刀
 おせん
 参加
 茎
 臨時ニュース
 大部屋
 達磨さん達磨さん睨めっこしましょ 笑うと負けよアップップッ!
 暮六ツ
 ふじが咲いた
 あらさのさぁー
 やすべえ
 蝶を見た!(原作:岩崎稔)
 ゴセの流れ
 しまい風呂
 ぼろぼろぼろ
 彩雪に舞う……

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2022年5月 4日 (水)

『貴婦人狩り』(笠間しろう・ソフトマジック)の感想

 漫画『貴婦人狩り』(笠間しろう・ソフトマジック)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 忌引き中なのですが、こちらを読んだのは、ずっと以前でした。このまま忘れてしまうかもしれませんので、アップします。
『貴婦人狩り』は、新官能劇画大全4にあたる短編集ですが、先に読んだ『淫獣の森』よりも、ダーク心理描写が多かったように思います。
 セックスに至る流れというのは、乳房やお尻、性器よりも、重要だと、私は考えておりますので、大いに参考になりましたが、読む人を選ぶ内容かもしれません。
 収録作品は、次のとおり。

 第一話 熱鬼の牙
 第二話 蜜楽の蟻地獄
 第三話 禁淫のテキスト
 第四話 妊娠秘儀
 第五話 密林の快楽狩り
 第六話 螺旋の恋人たち
 第七話 白肌の戯れ
 第八話 覗かれた夫婦
 第九話 美しき毛獣
 第十話 偽りの性粧

 

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2022年5月 3日 (火)

『孤独のグルメ』文庫版・新装版(原作:久住昌之 作画:谷口ジロー 扶桑社)の感想(追記)

 漫画『孤独のグルメ』文庫版・新装版(原作:久住昌之 作画:谷口ジロー 扶桑社)の感想の追記です。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 ところで、こちらは文庫も新装版も、1巻という表記がありませんが、最新版はちゃんと、印字されていると思います。
 いつもの私なら、文末に、「おもしろかったので、2巻も買いますよ」と、述べているところなのですが。
 実は、同じ原作者様の『花のズボラ飯』(『孤独のグルメ』の女性バージョンというより、自宅料理のお話ですね)で、1巻(これもまた、無印)は文句なしにおもしろかったのですが、2巻は、よくあるグルメ漫画になってしまい、拍子抜けしたことがあります。
『孤独のグルメ』もそうなるのではないかと、危ぶんでいるので、しばらく、1巻を読みまくって、充分に堪能してから、2巻の購入するかどうか、決めようと思っているわけです。

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2022年4月30日 (土)

『孤独のグルメ』文庫版・新装版(原作:久住昌之 作画:谷口ジロー 扶桑社)の感想

 漫画『孤独のグルメ』文庫版・新装版(原作:久住昌之 作画:谷口ジロー 扶桑社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 文庫版というのは、2000年発行の、表紙が第11話の一コマを拡大しているらしいもので、最初はこちらを読んでいたのですが、あまりに作画がよかったので、新装版を購入したというわけです。なお、2巻は未読です。
 文庫版の巻末では、釜石に出かけられた原作者様が、一人であるお店に入って食べたという体験記(釜石の石割り桜 あとがきにかえて)が載っています。お一人様あるあるのエピソードですね。一人で外食される経験のある方は、うなずけるし、こういうお店に入ってみたくなるでしょう。
 新装版では、何と、ラストの漫画で、主人公の井之頭五郎(職業は個人貿易商のようで)が入院してしまったという、新作が追加されています。味、ボリュームとも最悪と、一般的に言われている病院食を、彼はおいしく食べられるのでしょうか。それを楽しむコツがあるのは、憎いですね。
しかも、巻末は、作者様、作画担当様、川上弘美の三社鼎談つき。一方、文庫版にあった「釜石の石割り桜」がカットされています。私は結果的に、得をしたのかな?
 ドラマにもなった漫画だそうで、井之頭五郎が仕事の終わり、もしくは合間に、東京都内を中心に、関東地方、一度だけながら、大阪にまで出かけて、一心に食べる、その際のモノローグを描く漫画です。
 仕事ですから、井之頭はスマホでおいしい店を探す暇はありません。けれども、大変空腹な場合が多く、行き当たりばったりで、よさげな店に入ってみ、おいしそうなメニューを選びます。モノローグ中心なので、セリフは、ほぼ注文するだけで、周囲の人々がわやわや話す声も聞こえてきます。
 店、次にメニューを選択し、食べる。それだけのことなのに、「あれは失敗」「こっちの方が良かった」「これはいい」「もっと欲しい」など、食にこだわる、お一人様の内面は、ドラマチックな一人芝居のようです。
 もし、食べられるのなら何でもいいタイプの人なら、食事は、服の着替えのような日常雑務と同じようなものになるのでしょうね。←こういう感覚が得か損かは、人それぞれでしょうが。

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2022年4月29日 (金)

『寝ずの番』(中島らも・講談社文庫)の感想

 小説短編集『寝ずの番』(中島らも・講談社文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 通勤電車の中で読んでいる時、笑いをこらえるのに必死でした。ユニークな小説は少なくありませんが、本当に笑ってしまう、実に希少な内容です。
 収録されているのは、9本。そのうちの「ポッカァーン」のみ、ノンフィクションではないか? と疑われるほど、わかぎえふ、チチ松村と、実在される方が挙げられています。このお二人の特徴について描かれた説明にも、私は吹いてしまいましたよ。とにかく、作者様のふざけに巻きこまれた方々は、大変ですな。
「仔羊ドリー」、語り手の「おれ」と、もうひとり。SFかと思えば、ラストのオチで(笑)。
「黄色いセロファン」、小学生の少年の、ですます文体の語りで、エロいことが語られます。でも、私は、この主人公には引きますけどね。
「グラスの中の眼」、たちの悪い酒飲み男達と、義眼の物語。どんな関連があるの? と思われるでしょうが、やっぱり、とにかく、酒の飲みすぎは怖いというか、恐怖を通り越して、哲学的とも言えましょう。
「逐電」、「お父さんのバックドロップ」を連想しましたが、こちらのお話の方がシビア。アメリカに単身渡った日本プロレスラーが、無茶な相手(人間にあらず)と対戦させられます。日本のプロレス界の歴史にも触れており、興味深いです。

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2022年4月24日 (日)

『新九郎、奔る!』2、3巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想(追記)

『新九郎、奔る!』2、3巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想を、追記にて申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 

 追記といっても、3巻のことです、すみませぬ。
 実は、3巻の終りに、『新左衛門、励む!』というタイトルの外伝が載っています。これは、新九郎の父、伊勢新左衛門盛定が須磨と結婚することによって、庶流の四男から出世の道が開けるようになり、周囲の期待に応え、自身も上りつめていくというもの。新九郎が生まれる以前のお話で、浅茅との出会いもあり、コメディ調です。
 たぶん、私の先祖は庶民だと思うのですが、いやはや、高位高官というか、権力者たりえるのは、大変です。クレープの立ち食いはもちろん、スタンドのコーヒーも飲めないし、同人誌即売会にだって行けませんぞ! メリットは、せいぜい、金持ちってことでしょうか? 庶民で良かったです。

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