『凍牌』3巻の感想
ずいぶん遅くなってしまったけれども、ようやく『凍牌』3巻の感想です。超ネタバレなので、ご注意下さい。
私がヤングチャンピオン誌上でこの漫画を初めて知ったのは、まさに3巻に収められている第26話「時間」からでした。雑誌中では後半に配置されていたけれども、扉絵からしてインパクトがあったのです。きちんスーツを着た、妙に切羽詰った表情の少年。ただし、その右足元は大きな血だまりが。ぎょっとして、一読してみました。麻雀漫画です。ルールは、よくわかりません。大昔、少しかじっていた程度です。それでも、緊迫感は充分に伝わりました。なぜなら。
氷のKと呼ばれる主人公の少年は、右足小指を切断されており、それを買い戻すために、強敵(実は、宿命のライバル堂嶋)と麻雀で闘っていたからです。堂嶋のモノローグでは、「コイツ 貧血でギリギリだな」「鬼気迫るとは まさにこの事だ」という、Kの苦しそうな表情が・・・・エロい! 久々に、腐女子の血が燃えました! しかも、Kは堂嶋に勝って小指を戻せるはずなのに、何といっそうの勝負に挑みます。その理由は27話で明かされますが、「麻雀と指一本・・・」「どう考えても 麻雀の方が重い!!」と、切断した暴力団員に答え、挙句には八連荘(パーレンチャン・親が八回連続であがること)を決めてしまいます。その瞬間の、悪役のような、にたり笑いに、私はゾクゾクしました。
Kはふだん、ぺらんとした感じの、整っていますが無表情な高校生です(わずか15歳か16歳!)。が、一度、堂嶋、2巻及び3巻前半の畑山のように強い相手が現われると、皮肉を飛ばすし目つきが鋭くなるしと、この変わりようがたまりません。よって、宿命のライバル好きの私ですが、凍牌は主人公が一番です。
麻雀漫画というと、バカつきの主人公メインのコメディタッチか、義理人情の浪花節というかオヤジ漫画ばかりかと、私は思っておりましたが、脱帽です。ごめんなさい。凍牌は、暴力団が深く関与する、裏の高レート麻雀バトルストーリーです。2巻の裏デビューでも、Kは、まっちゃんと称する男から、体を汚される危険にあいますじ、2巻から続く3巻の畑山戦では、「勝てば2000万円、負ければ足の指10本切断」という、恐ろしい賭けを行なうわけです。で、ハネマンで勝利し、危機を脱したKですが、無理やり、ヤクザどもに押さえつけられて麻酔を打たれ、気がつけば右足小指を切断されていた・・・・というわけで、麻酔のふらつき、激痛、貧血に苦しみながら、堂嶋と対峙し、勝利した、というわけです。
ところで、ライバル堂嶋もまた魅力的なのです。ケバい外見、偉そうな言動、私が発行している同人誌の八神某さんに酷似しています。Kは並外れた記憶力と判断力が武器ですが(しかし、麻雀を除いて闘う手段がないのです。華奢な少年なのですよ。そこがまた、よろしいのです)、堂嶋は勝負の波を読む、直感型で激情派と、好対照なのです。麻雀漫画のセオリーとしては、堂嶋が主人公になるはずでしょう。今後、作者の志名坂高次さんは、この二人の対決をどう描いていくつもりなのでしょうか。非常に楽しみです。できましたら、大勢の人に、この漫画を知っていただきたいです。
何よりも、私は凍牌を知ることによって、カイジや天牌をも、読むようになりました。偏見を持っていると、損をします。許して下さい、麻雀漫画。そして、ありがとう凍牌。
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