凍牌4巻の感想
さて、「凶悪そうな面構えのおっさんの中にたった一人でいて、しかも引けをとらない」「でも、武器は麻雀の腕前と並外れた記憶力、分析力のみ」という、わずか15歳の美少年である、主人公Kが私のツボに入りまくりゆえ貪り読んでいる(長いっ!)、凍牌4巻の感想を申します。またしてもネタバレですから、ご注意下さい。
出だしの1巻は別として、4巻は2,3巻よりも穏やかに、インターバルみたいな感じで展開すると、私は予想していました、が、見事にはずれました。最後のお話、第三十九話で、私が以前に最新の凍牌情報としてこちらにアップしたとおり、Kは何と切腹してしまいます。血を流して仁王立ちになりながら、「ボクは全ての約束は守る!!」と、断言。展開が読めません。これからどうなるのやら、知りたいような怖いような。
4巻は、Kが麻雀の代打ちとして所属する桜輪会は外国人組織と抗争になります。流血なしに和解かつ勝敗を決するため、各2名が参加し合計点を競う形で麻雀が執り行なわれます。桜輪会側のメンバーはKと堂嶋(!)、タヤオという外国人側は関と薬漬けで変わり果ててしまった、2巻3巻で活躍していた畑山(!)。実は、Kは、同居している不法入国少女アミナの偽造ビザを得るため、関とひそかに通じており、彼の指示どおりに振り込まなければいけなくなっています。その上、柳がKをかばい銃撃を受けて死にますが、直前に、「アニキ(高津)に恥かかせたら/ただじゃおかねえぞ」と、遺言します。一方、3巻でKの右足小指を切断した高津は、代表選抜の時からKを疑い始め、本番の席上ではKに、「振り込んだ瞬間/殺す」と言って、銃口を向けるのでした。アミナのために裏切るか、保身のために従うか。進退窮まったかに見えたKは、自ら裏切りの事実を明かし、けじめとして切腹します。そして、関の指示した牌を振り込み、柳との約束、「桜輪会を勝たせる」を実行しようというのでした。うはっ、改めて見直すと、すごく濃いお話ですね。
見所としては、まず、堂嶋と畑山の麻雀対決。互いの個性が際立っています。堂嶋の極悪表情が見事です。彼は、負けたら自分の両腕を切断すると宣言していますが、こちらも本当にどうなるのでしょう。妄想女子的楽しみ方としては、Kにやたらべたべた触りまくり、話しかける柳。彼って、ゲイかバイセクシャルでなかろうか。対するKが、あくまでクールなのがいいコントラストをしています。つくづく、惜しい男を亡くしました。
そして、K! タイトルどおり、冷徹で無表情なはず、なのですが。画家ムンクの代表作「不安」みたいに、人殺しのようないっている表情、生まれて初めて本物の銃を向けられてポカンとした驚き顔、アミナといる時のリラックスした普通の高校生ふう(いつもこんな顔をしていたら、私はファンになりませんけど)、麻雀中の気迫、腹を割いた瞬間の激痛にゆがむ顔などなど、決して見飽きません。作者の志名坂高次さんの描き方は、失礼ながら、あまり色気がないと思うのですが、それゆえに、読者が油断していると、リアルな描写に打ちのめされるという感じです。
ろくに麻雀を知らない私でも楽しめるのですから、通な方が読んだら、もっとおもしろいでしょうね。今年はぜひとも、大ブレイクしてほしいです、「凍牌」。アニメーションや実写映画化されるのを、心から願っております。
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