『ことのはの巫女とことだまの魔女と』の感想
初めて読んだ藤枝雅さんのコミックス、『ことのはの巫女とことだまの魔女と』(一迅社)の感想について。いつものようにネタバレですから、ご注意下さい。
手をつないで歩き、時折、目を合わせて頬笑み合う、いかにも相思相愛といった雰囲気のカップル(同性異性問わず)が目の前にいたら、あなたはどうしますか。私なら、機嫌が悪くなければ、心の中で、「そのまま、天国へいっちまえ!」と叫びます。はい、この作品はあらすじなど、ほとんど紹介しなくてよいのです。巫女の紬(つむぎ)とドイツから来日した魔女、レティが終始、仲よく寄り添っているお話です。だから、夜、寝る前に心地よくなりたい時、読むのをおすすめします。
作者の藤枝さんが、「百合界の黒一点」と申されていたのには驚きました。デフォルメした、非常に大きな瞳を描かれていましたが、男性だったのですねえ。それでも、あとがきで、「非少女漫画」「精神的なつながりは軽め」とコメントしておられましたけれども、私はこんなにラブラブしたお話は、レイモン・ペイネのイラスト以外、見たことも読んだこともないですよ。最近発行した私の同人誌は、結構ベタ甘だと思っていましたが、脱帽です。参りました。
山場では、紬が急に体調を崩して倒れます。うろたえるレティに対し、紬に大事がないよう監視する役目の鈴代五十鈴(すずしろ いすず)という少女が、恐るべき秘密を打ち明けます。紬は神社に封印されていたのでなく、実は結界によって、汚れた外界から護られていたこと。そして、紬を自由にしようと、レティが封印を破ったために、かえって紬は命の危険にあることを。鈴代は気の毒がりながらも、紬を一人、神社へ返そうとしますが、レティは納得しない。まつられている神との交渉にあたったところ、紬と同じ姿の山の神様が現れます。神様は快く紬の代わりになることを承知し、さらにレティに神気を入れ、紬が外界でもいられるようにしてくれます。ま、要するに、紬は神気を帯びたレティと、いつもいつまでも一緒にいなくてはならなくなったのでした。でも、それはお互いが好きでたまらない彼女達にとっては、幸せそのもの。
紬「レティさんのおそば以外に・・・ いることなんて 考えられません」
レティ「いっしょにいた方が良くて・・・ いっしょにいたいんならさ/−−いっしょにさ/しあわせに なろうよ」
と、二人は言い合うのでした、と。
はーっ、だから、とことん甘いでしょう。ここまで徹底するのもよいなと、私はしみじみ思いました。
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