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2008年6月 6日 (金)

『賭博破戒録カイジ「人喰いパチンコ編」』の感想

 長らくキープしておりました、『賭博破戒録カイジ「人喰いパチンコ編」』の感想です。またしても、ネタバレですから、ご注意下さい。
 借金のため、帝愛グループの地下強制労働施設に堕ちていた主人公カイジは、チンチロという賭博によって、80万円の現金と20日間だけ一時外出できる権利を得ます。ところが、それは自分を信じ頼ってきた45(ヨンゴー)組と言われる借金仲間の金でもありました。カイジはわずか20日のうちに、45組と自らを解放するために、6000万円強の現金を返済しなくてはならなくなったのです。失敗すればもちろん、45組もろとも、一生、地下生活を送らなければなりません。
 いいギャンブルはないかと、さまよっていたカイジに、坂崎という男が声をかけてきます。彼はリストラされた上に離婚して、夜警の仕事をしておりましたが、あるカジノバーの人喰いパチンコ、「沼」について教えます。これは昔ながらの一発台で、三連クルーンを持っており、一玉が4000円! 当たれば5億5000万円以上というものでした。もちろん、10年間にたった二人しか当たっていません。しかも、それがカイジの仇敵、帝愛グループの兵藤会長と利根川でした。カイジは坂崎の協力要請に応じます。
 職場の金庫の金を無断借用、缶ビールに磁石のイカサマをまでして、勝負に挑んだ坂崎でしたが、あえなく失敗。わずか2時間余で、6000万円のうち4362万円を失ったのでした。

 カイジは暇そうにぶらつく様子を見せながらも、懸命に、カジノや沼周辺を調査します。当日、若き支配人、一条の言動を思い出し、分析もします。カジノのあるビルの周囲までも。今度は、カイジが逆に坂崎に協力を願います。が、坂崎は沼を壊し、カイジは事務所の金を盗もうとしてつかまり、手ひどい制裁を受けるのでした。最後の仕上げに、カイジは自分を地下施設に送った、高利貸し、遠藤に高額の借金を申し入れ、地上滞在最後の日に、沼を攻略しようとするのでした。
 カイジの攻略は、奇想天外なものでした。玉の行く手をはばむ釘は、事務所侵入騒ぎの折に、道具を取り替えて緩め、閉じた役物は、坂崎が壊した際にもろい部品にすり替えて開かせ、段差のあるクルーンは、水槽をひそかに持ちこんで大量の水を入れてビルごと傾け、クリアします。一条もさらなる勾配をつけますが、効果はあがらず。勝負の様子をテレビでながめていた、黒崎、兵藤会長も危ぶみだし、一条にプレッシャーをかけます。
 いいところまで行きますが、しかし入らない銀玉。手持ちが尽きて、カイジは遠藤にさらなる借金を申し込みます。入らない理由は、三段目クルーンのもっとも低いポイントが、当たりからずれてしまったためでした。さらに、一条は当たりの穴周囲から強風を起こさせ、ガードします。
 勾配ゆえに一、二段目の穴がつまり、クルーンに銀玉がいくつも回るものの、当たりにはどうしても入りません。ついに、遠藤の追加分も失い、泣くカイジに高笑いする一条。そこへ、また金庫の金をくすねてきた坂崎が、2000万円の追加。ついに、三段目クルーンは銀玉であふれ返り、自然と当たり穴へ押しこまれてしまいます。
 カイジ、起死回生の勝利! 沼は銀玉を大開放し、何と7億2910万円になります。逆に、一条は兵藤から、地下労働1050年という懲罰を課せられ、連行されるのでした。
・・・・通常のマンガなら、ここでめでたしめでたし、と終わるのでしょうが、さらに非情にして過酷、滑稽な結末が待っています。
 まず、遠藤が、カイジを睡眠薬で眠らせてから、当日の借金の利子分合わせた1億2785万円を奪っていきます。目覚めた坂崎は、自分の取り分をカイジにせがまれては大変と、掌を返したように逃げてしまいます。
 カイジの取り分は、軍資金を引いて三等分した、1億8937万円のうち、一夜にして6153万円になったのでした。しかも、45組と石田を借金から解放するため、カイジの手元に残ったのはわずか10万。それを、カイジはパチンコで全部すってしまい、45組の喜びの焼肉宴にも参加できない。あきれ返った、帝愛社員(高利貸し?)の一人は、個人的に3万円をやり、カイジを皆の元へやります。喜び、笑い、うれし泣きする彼ら。ビールを飲み、焼肉を食べて叫ぶのでした。「オレたちは 必ず 成功するっ・・・・!」

 はあ、簡単に紹介するつもりが、この長さになりました。でも、とてもこの作品の魅力を語りきれていません。概略(これでも)するため、カイジ視線のみで申しましたが、一条には一条なりの上昇志向があり、いやな老人、利根川にも一理あるのです。芯からの悪人はいないし、まして無能はまったくいない。主人公と敵、ギリギリの攻防が、たかがパチンコで、延々と続くのです。
 前回の『チンチロ編』で、このマンガは顔に相当のデフォルメをしていると申しましたが、相変わらず続いています。しかも、後半になるほど、ひどくなっているように思えます。でも、兵藤や坂崎の、身近でいそうなあのいやらしいリアルさは、なかなかのものです。惜しむらくは、独特の絵が災いして、このマンガが単なるど根性と信じられない幸運だけのお話と、誤解されているのではないか、ということです(私もそのうちの一人でした)。
 だったら、あなた、もったいないですよ。妙に生々しい登場人物達の言動、一進一退のストーリー展開、たたきつけるようなナレーションを堪能しながら、我を忘れ、時間もかまわずに読んでみて下さいな! ギャンブルは人生なのか、人生こそギャンブルなのか。これもアニメーション化されるでしょうね。楽しみです。


2010年5月19日、会長の兵藤を、利根川と間違って表記しておりましたので、訂正いたしました。すみません。

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       おもしろいです、『賭博破戒録カイジ』   

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コメント

あなたの予言通りになりましたね(^_^)v

今!カイジでパチンコ編やっています(^O^)

ネタバレ有り難うございます♪~θ(^0^ )

パチンコ編の最後ってそんな感じで終わるんですね(^w^)

来週が又楽しみです。

私はネタバレが大好きなので。

投稿: 砥部洋子 | 2011年6月 7日 (火) 05時31分

コメント、ありがとうございました。
それにしても、お答えが遅くて申しわけないです。

そうですか、カイジはアニメを放映しているので
すね。
原作重視派ゆえ、アニメはやや敬遠気味の私です
が、一度くらいは視聴してみます。

ラストシーン、「賭博黙示録」では、ビターな
ものでしたが、「賭博破戒録」は痛快で爽快です!
カイジ達の真似がしたくなります。

またよろしかったら、ご訪問いただくか、コメント
をお寄せください。

投稿: 紅林真緒 | 2011年6月 9日 (木) 23時57分

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