『鋼の錬金術師』18、19巻の感想
ベルセルクに続いて、再びダーク・ファンタジー漫画の『鋼の錬金術師(荒川弘 スクエア・エニックス)』18、19巻の感想を申します。やはりネタバレですから、ご注意下さい。
またまた、超有名作品だから、ストーリー紹介はさらっといきましょう。エルリック兄弟の幼なじみ、ウィンリィが、彼らのいるブリッグスにやって来て、背後には殺人狂のキンブリーが。一方、軍側の動きが激しくなります。ブラッドレイ総統の養子、セリムの正体がホムンクルスで、ホークアイ中尉を脅迫してきたり、ついに傷の男スカーがエドにつかまって、中央軍を出し抜くための芝居を演じる、というのが18巻。
19巻は、ホークアイ中尉が機転によって、マスタング大佐に、セリムがホムンクルスであると告げ知らせます。また、エルリック兄弟の父、ヴァン・ホーエンハイムの過去とその化け物ぶりの由来、さらに、王が不老不死を望んだがだめに、クセルクセスが滅亡し、ヴァン・ホーエンハイムと瓜二つのホムンクルスの父が出現した経緯も語られます。どんどん、アメストリスがクセルクセス滅亡時と同じ、いや、それ以上の規模になろうとしていき、「血の紋を刻む」という名目で、戦乱の犠牲者が増えていきます。ホムンクルス側と結託した軍の、同じ軍人を合成獣(キメラ)化させて、エルリック兄弟を追い詰めようとする非道。ついに、キンブリーとエドが衝突し、エドが右脇腹をバルブのようなもので貫通させられる重傷を負います(一応、錬金術で傷をふさいだものの、どうなるか、とても気がかり)。ヴァン・ホーエンハイムは、セリムことプライド(傲慢)に宣戦布告。主人公側は、ブリッグスに何が起ころうとしているか、必死で研究していますが、肝心なところは、なおも手探り。そんな中、北のドラクマ国が開戦宣言。さらに、主人公側についていたはずの元キンブリーの部下が、何と居場所を中央軍に密告。みんなの運命は、どうなるんだぁ? というものです。
これも、テーマ及び展開こそ異なっておりますが、ベルセルクみたいに、ストーリーが間延びしていて、簡単に申しても、人物が多すぎ、それぞれの関係が複雑でややこしいです。なので、興味をもたれても、初めての方は、やはり単行本1巻から読まれるべきかと思います。
それでも、ストーリー展開の予測不能、巧みな伏線の張り方(主人公側は劣勢に立たされることがあっても、やられっぱなしではないです)、 グロテスクなホムンクルスのデザイン(エンヴィーとか、今回のプライドも)は、なかなかです。さらに、一見、色気がなさそうなシンプル絵ですけれども、性格の悪い連中のあくどい表情は天下一品(キンブリー、アームストロング少将)。 惜しいことに、少年誌ゆえ、残酷描写は控えめですが、かえって味を出しているのかも。
今回は、愛らしい少年のセリムが、かなり強大なパワーを持つ、グロテスクなホムンクルスであることに、私は度肝を抜かれました。やはり、ハガレンはいい。当分、見逃せませんね。
関連記事 来月で、ハガレンが最終回だそうです。
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