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2008年12月 6日 (土)

天野哲夫氏、追悼

 奇書『家畜人ヤプー』の作者、沼正三=天野哲夫氏が11月30日にお亡くなりになったそうです。ご冥福をお祈りします。
『家畜人ヤプー』といえば、私が学生の頃に、司馬遼太郎の『燃えよ剣』を放棄してしまうほど、夢中で読みふけった、恐怖未来であると同時に、パロディーというか、フェミニズム、現代風刺といった、多くの要素のあるSF、いや、女性上位かつ白人至上主義のSM小説です(たぶん、私はこのために歴史小説への開眼が遅れに遅れ、なおかつ、自分の表現物が暴力的になってしまったらしい)。
 当時の私が呼んだのは、確か、主人公麟一郎が日本人でなく、家畜としての本質に目覚めると同時に、彼の婚約者だった清楚な女子学生クララが残忍傲慢な女主人となって、良心のためらいもなく、黒人奴隷を刺殺する第一部(それとも正編?)まででした。実家に置いてあるため、記憶が少々あやふやですが、麟一郎とクララのその後を描いた完結編よりも、ストーリー展開ゆえに好きです。
 ネットニュースで読めば、『家畜人ヤプー』のことを、主人公が白人女性に、家畜として仕えるようになる小説などと紹介されており、大いに不満。この小説の根っこはSFで、日本人の美意識、伝統文化、皇室、神話までもをおとしめ、あざけっているのですよ。この徹底ぶりは、かえってすがすがしく思われましたね。
 ニュースが報じられる数日前、私はブックオフで、江川達也さんの『家畜人ヤプー』の単行本を少し読みました。先に、石ノ森章太郎さんやシュガー佐藤さんのものは知っていましたけれども、ペリニンガ(女性用オナニー道具)やセッチン(肉便器)にされたヤプーの姿が強烈すぎる印象でしたが、江川さんは、もう一人の重要なヒロイン、ポーリーンのみならず、ドリス、ウィリアム、さらにすっかり忘れていたセシルまで、なかなかリアルに描いておられ、購入しようかと思っていた矢先に、原作者がお亡くなりになるとは。
残念です。
 どうぞ、沼さんの魂が、無事にヤプーダム(畜生天)に昇ることを祈ります。ありがとうございました。

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