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2009年3月 6日 (金)

『バクマン。』1巻の感想

 コミック、『バクマン。』(原作:大場つぐみ 漫画:小畑健 集英社)1巻の感想を申します。相変わらず、ネタバレですから、ご注意下さい。
 これは、実は名前も知らなかった本ですが、美容師さんが、「小畑健は神です!」と絶賛したのに興味を引かれて、購入したものです。先入観がなかったせいか、かなりおもしろかったです。ところが、アマゾンに載っている感想は、辛口も多い。自分の好きな作品を批判する内容とは、かなり参考になります。好き嫌いがかなり分かれるタイプであることは、間違いなさそうですね。
 あらすじは、本格的な漫画家(何と、目標は18歳で自作がアニメ化されること!)を目指してタッグを組んだ、中学3年生の少年二人の物語。と、これではあんまりですので、もう少しくわしく申しましょう。

 サイコーこと真城最高(ましろもりたか)は、絵がかなりうまい。しかしながら、かつて、漫画家だった叔父がヒット作を一本飛ばしたきり、満たされないまま死んでしまったことに衝撃を受け、中学3年生にして、「つまらない未来/生きていることは面倒臭い」と、達観しています。唯一、亜豆美保(あずきみほ)という美少女にだけは、恋心を抱いておりました。
 ところが、ひょんなことから、学年一の秀才、シュージンこと高木秋人(たかぎあきと)にそれがばれてしまった。シュージンは秘密を守ることと引き換えに、一緒にタッグを組んで漫画家になってほしいと、頼みます。最高は即座にことわるものの、秋人の押せ押せに流されていき、やがて、あこがれの亜豆が声優を目指していることを知ります。
 亜豆は喜んで、「私 絶対声優になって真城君達のアニメに出る」と言い、有頂天になった最高は、「だから その夢がかなったら/結婚してださい」と、告白。こうして、最高は絵を、秋人はストーリーを受け持って、彼ら初の合作、「ふたつの地球」が完成します。二人はいよいよ、週刊少年ジャンプ編集部へ持ちこむのでした、という内容です。
 おもしろいのはやはり、少年ジャンプや実名作品がドバドバ登場するところですね。さらに、一話(作中では、一話、二話でなく、1ページ、2ページと表記されています)が完結しているような、続いているような、というあいまいさながら、話の終わりで作者様達からのサービスなのか、大場ネームと小畑ネーム、できあがった原稿が載っています。ネームなんて、漫画家や原作者の命ですから、プロ作家さんのものを見たことがない私には、とても新鮮でした。
 文章という形で表現している私も、「キャラ立ちしている、していない」とは、よく聞いたり読んだりするのですが、具体的にどうなのか、つかみかねているところがありました。が、『バクマン。』の最高と秋人の設定を読んで納得。登場したての最高は一見、好感の持てる少年ながら、実は冷めきっている。眼鏡をかけて、社会的な成功が約束されているような、生真面目そうな秋人の方が、夢見る夢男くん。こういうギャップで、読み手を引きつけるということですね。彼らのみならず、台詞も実に生き生きしています。
 しかし、この漫画は厳密に漫画家志望者のお手本ではありません。まず、二人の才能がずば抜けていますし、周囲から理解してもらえています。その上、亡き叔父の部屋からコンテがいっぱいあってって・・・・こんな好条件ばかり、続くわけないですって。
 それに、いくら実名まみれでも、御用作家がスポンサーの週刊少年ジャンプを批判するわけがありませんね。この作品の持つリアリティは上辺だけで、単なるゴマスリに終始するかもしれませぬ。 それでも、プロでなく、一足飛びに漫画家としての成功を目指すとは、やはり斬新です。二巻以降も、買いますよ。それでは。

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