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2009年4月14日 (火)

『バクマン。』2巻の感想

 コミックス、『バクマン。』(原作:大場つぐみ 漫画:小畑健)2巻の感想を申し上げます。ネタバレですから、ご注意下さい。
 ついに、初めての合作漫画をジャンプ編集部に持ち込んだ最高と秋人。服部哲(ハットリアキラ)という編集者が応対し、月例賞に回すと言いますが、秋人のストーリーが小説っぽいことなど、なかなかシビアに指摘しながらも、携帯のメアドを教えてくれて、一応の成果。
 また、もどかしいほどの亜豆と最高の恋は、何と席が隣同士になって、進展が期待できそうだったのですが、なおもお互いに恥らう二人でありました。
 第一作はトレジャー新人賞の最終候補に残らなかったのですが、最高と秋人はめげずに第二作『一億分の』を提出し、服部哲は上達ぶりに感嘆。手塚賞をねらいますが、結果的に最終候補止まり。入選したのは、彼らと同年代の天才マンガ家、新妻エイジでした。

 なかなか進展しない亜豆と最高とは逆に、秋人に彼女ができてしまいます。亜豆の親友、見吉香耶(ミヨシカヤ)は、秀才美少女岩瀬とともに、秋人のもとへ出向いて、自分と岩瀬のどちらが好きかと詰問し、平手打ちなど見舞いながら、「付き合って」と押しの一手でせまったためでした(このへんのやり取りは、ギャグっぽくておもしろい)。
 服部哲に、最高と秋人は『一億分の』の批評を受けますが、最高はどうやれば連載をさせてくれるかと、大胆に注文します。ためらう服部ですが、佐々木編集長の鶴の一声で、二人はネームの段階で持ち込み、赤マルジャンプ掲載を目指すようになります。ジャンプの王道作品のネームを作成するものの、服部哲から酷評。ライバルの新妻と逆の、博打マンガとして、『この世は金と知恵』作成にかかります。
 三学期になり、見吉と秋人はデートを重ねますが、最高は亜豆からバレンタインデーにペンシルチョコレートをもらったのみ(見吉を通じて)。最高、秋人、見吉は同じ高校に入学しますが、何と亜豆は八王子に転居。
 労作『この世は金と知恵』は掲載されたものの、読者アンケートでまたしても新妻に敗れてしまいます。最高と秋人は落胆しますが、やはり王道で勝負することを決めるのでした。
 ああ、何て長いあらすじ。これでも削ったのですが、シンプルに表現できません。内容が濃いです。詰め込みすぎのギリギリ手前です。
 しかし、新妻というライバルが現れて、俄然、おもしろくなってきました。あらすじでは省略しましたが、新妻ははっきり言って、天才というより、狂っているのではないかと思うほどの少年。擬音語の独り言を発しながら、ひっきりなしに描き続けています。その上、自分がジャンプで一番人気になったら、嫌いなマンガをひとつ終わらせる権限を下さいと、とんでもない要求をしてきます(これは近い将来、最高と秋人コンビに衝突する可能性大)。しかも、これも省略しましたが、新妻の担当編集者が服部雄二郎と申しまして、服部哲と同姓なのは、彼らは兄弟なのでしょうか? 『バクマン。』はやがて、主人公達とライバルのみならず、編集者兄弟同士の対決の図式を帯びるかもしれません。楽しみです。
 今まで、マンガの描き方のような本でも明らかにされなかったジャンプの内部事情、ヒット作のポイント、アンケートの重要性など、服部哲の口から説明されていてよかったです。真剣に、プロを目指す志望者のバイブルになるでしょう。
 少しだけ残念なのは、私は『ガラスの仮面』のように、本ストーリーが展開しつつ、彼らの作品も紹介されるという、二重構造を期待していたのですが、そうではありませんでした。私としても、『この世は金と知恵』を読んでみたかったですね。それでは。

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