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2009年8月20日 (木)

『長谷川町子全集別巻 長谷川町子 思い出記念館』の感想

『長谷川町子全集別巻 長谷川町子 思い出記念館』(朝日新聞社)の感想を申します。ネタバレですから、ご注意下さい。
 これは以前に申した、『サザエさん うちあけ話』とネタがかぶっている部分もありますが、何といっても、大きな違いはマンガではなく大半が文章であること。つまり、作者の長谷川町子さんのエッセイ、対談、インタビューが満載なのです。サザエさん他の作品以上に、長谷川さんの人となりがダイレクトに出ています。

 長谷川さんのプライベート写真も載っていますが、一見したところ、サザエさんのような明るい女性というよりは、中学校か高校の先生のように、私は感じられました。怖くはないけれど、厳しそうというイメージです。『サザエさん うちあけ話』とかぶっていても、エッセイは語り口がしゃきしゃきしているので、別の味わいがあって楽しめます。
 やはり、お笑いをメインに創作している人は、シリアスを描く時、独特の深い味わいが出るようです。これは長らく同人誌やエッセイを読んでいるうちに、かすかに感じるようになっていたのですが、確信に変わりましたね。逆に、シリアスメインの人は、コメディに難があるのかもしれません(一番いい例が私)。
 お笑いは、起承転結がはっきりしていて、だらけていてはいけませんよね。ゆえに、多くの語彙を使用して説明すべきところを、たった一コマで表現しなくてはならない場合があります。状況と感情(感動)をわかりやすく凝縮する→表現する。この過程は詩の表現と、よく似ています。だから、長谷川さんのエッセイはおもしろいのでしょうね。
 私はずっと、サザエさんが平凡が一番、平穏が幸せを打ち出した、ワンパターンのマンガだと誤解していましたが(ごめんなさい!)、長谷川さんという個性的な女性が心血をそそいで創りだした作品です。ほのぼのとした中に、苦味や毒、下手をすると、人生への絶望がひそかにこめられているのではないでしょうか。
 この『長谷川町子全集』は人気シリーズですが、図書館にリクエストして、できるだけ読んでいきたいと思います。それでは。

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