『最終兵器彼女外伝集 世界の果てには君と二人で』の感想
コミックス、『最終兵器彼女外伝集 世界の果てには君と二人で』(高橋しん・小学館)の感想を申します。ネタバレですから、ご注意下さい。
内容はタイトルにあるとおりですが、『最終兵器彼女』をご存じない方にも楽しめるかと思います。本編の主人公が登場するのは、冒頭の『わたしたちは散歩する』のみです。とてもほのぼのした、そして少し笑える内容です。
ところが、2編目から徐々にシリアス味が出てきて、重い内容になります。2編目、『世界の果てには君と二人で。・・・・(タイトル省略。非常に長いです)』では、戦争に突入しようとしている日本と現状と裏腹に(?)、恋に恋する二人の男子及び女子高校生のお話。『STAR★CHILD』では、最終兵器彼女の最終回後の世界が描かれますが、人生や運命は小さい子供にも容赦せず過酷と、私は思う反面、わずかな救いも感じます。傷つきながら、人間は人間として成り立つのですなあ。
私としては、『LOVE STORY,KILLED.』が一番お気に入りです。救いのない、全員死亡する、極限の戦場におけるラブストーリーのようなものです。しかし、若い兵士と女子高生のような少女は、本当に恋愛していたのかどうかは、永遠の謎。あのような、次の瞬間は死んでいるかもしれない戦場でも、人間は孤独を恐れ、温もりを求め、ののしり合い、涙を流すなんて、何と滑稽で悲しい存在でしょうね。どうして、もっとシンプルで熱い思いのまま、生きていられないのでしょう。そして、戦争はすべてを完膚なきまでに破壊しつくす、恐るべきものだということです。
高橋しんさんの絵は、とてもかわいい部類に入りますが、時折、官能小説の挿絵も顔負けのような、生々しいカットがあります。私の知る限り、独特のセリフ回しが実にうまい方ですね。それでは。
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