『地獄の在宅ワーク』の感想
書籍『地獄の在宅ワーク』(福田久美子・きんのくわがた社)の感想を申します。ネタバレを含んでおりますから、ご注意下さい。
皆さんのところにも、「片手間作業で日給○万円!」「メールができさえすれば、即日○万円で、月収はなんと○十万円! 期間限定情報!」などの怪しげなメールが一日に何通も届いているのではありませんか? そのせいか、相談サイト各種では、「在宅で高収入を得られるお仕事はありませんか?」「パソコンを使った在宅ワークで、○万円稼げる方法はありますか?」といった質問が目立ちます。
ま、怪しげなスパムメールを連発する連中が、一番悪いのですけどね。片手間で高額が稼げるのなら、イチローの記録も松下幸之助の偉業も、暇つぶしでできるってことになりますよね。あり得ない!
要するに、この本は「在宅ワーク=SOHO=楽な作業で高収入」という、多く広まっている、間違った先入観をぶっ壊し、在宅ワークの厳しさを伝えるとともに、在宅ワーカーを抱える企業側として、「派遣だろうが、在宅ワーカーだろうが、働く以上はプロ意識を持て! 指示書に従え! 納期を守れ! それができないやつは、在宅ワーカーになるな!」という、辛口の意見と事例が網羅されています。
在宅ワーカーを食い物にする悪徳業者の見極め方、在宅であるからこその厳しさなど、なかなか興味深い点はあります。ただし、2000年5月25日初版発行だから、データが古いです。それでも、在宅ワークの現状は的確につかんでいると思いますし(むしろ、現在の方がハードかも)、「在宅ワークをやりたい。どんなものなのかな?」と、思っていらっしゃる方にはおすすめです。
私がこの本を図書館で借りた理由は、まさに在宅ワークをやり始めたからなのです。求職中ですけれども、なかなか思うようにいかないし、しかし手をこまねいていたら、PCテクニックを忘れてしまいそうだから、少しでも働こうとしたわけです。
だから、私はこの本で説明されていることを、先行して体験してしまい、読みながら、うなずきまくりました。
楽な仕事なんて、ありません。お金を稼ぐということは、一生懸命になってこそのものなのであり、また仕事の楽しみもそこにあるのだと、つくづく感じ入りました。それでは。
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