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2009年11月24日 (火)

『サザエさん』22の感想

 漫画『サザエさん』22(長谷川町子全集22巻・朝日新聞社)の感想を申します。ネタバレですから、ご注意ください。
『サザエさん』22は、朝日新聞に昭和46年1月から昭和48年9月まで連載されたものを元に、姉妹社版64巻から66巻に収録されたのを、まとめたものです。
 もっとも印象に残ったのは、姉妹社版66巻(?)に掲載されたのであろう、「地震対策」と題された1本です。サザエが熱心に、地震が起きた時の備えとして、懐中電灯、ミネラルウォーター、缶詰類とまとめているうちに、カツオが、パイナップルも入れようと、缶詰を持って来ます。続いて、カツオは、さきスルメも持参、ワカメも真似をしてトランプ、カツオは漫画と、いつの間にか、深刻そうだったサザエが、にこにこ顔。ワカメは、いくつねると地震は来るのかと、浮かれています。少し離れた場所にいる波平は、うちはすぐこうなると、つぶやいて呆れている、というお話。
 この1本だけではありませんが、当時から、人類絶滅や食料危機は叫ばれており、不安がられていたのですね。私は、高度成長期はもっと、のん気で大らかではないかと思っていましたので、意外であり、驚きました。確かに、さしせまった危機、予想される困難には立ち向かい、闘い、備える必要があるでしょう。でも、不安がっているよりは、楽しんだ方が勝ちというのでしょうか。『サザエさん』の根底を流れる、いい意味の開き直り、底なしの明るさが、この漫画が絶大に支持される原因なのでしょう。
 大ヒットの秘密は、こういうところにあるかもよ? どう思いますか、クリエイター志望の方々? それでは。

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コメント

サザエさんとエプロンおばさんで検索してきました。
当時はその数年前に新潟地震(鉄筋の団地群=当時は高級アパート、がドミノ倒しになった)があったことや、当時も不安を煽るマスコミの報道は多かったことや富士山噴火や世界滅亡の予言、小説「日本沈没」、アメリカ映画「大地震」などパニックブームでした。
おそらくベトナム戦争や学生運動の激化、内ゲバ化、爆弾テロ頻発(当時は多かったのです。警視総監夫人爆殺の「ピース缶事件」やもうチョット後ですが「三菱重工爆破事件」など)、公害、と不安な時代だったと記憶しています。
余談ですが、私の地域ではひな祭りの歌の替え歌が「明かりをつけましょ火炎瓶ドカンと一発真っ黒ケー五人囃子の全学連今日は楽しいお葬式」(最後何故葬式なのだろう?)

東京の同年代の友人によると
「マッチ火つけましょ自動車にみんなで投げましょ火炎瓶5人がかりのバリケードきょうは楽しい全学連」

そういう時代でした。

投稿: AK | 2012年5月26日 (土) 23時35分

AK様、くわしくも興味深いコメントをいただき、ありがとうございました。
そして、体調不良とはいえ、お答えが遅くなって申しわけありません。

例に挙げられていますが、思い出す度に、昭和というのはディープな時代だったと感じられます。
さすがに、私は戦争を知らない世代ですけれども、『日本沈没』が小説や映画ともに大ヒットしたこと、ノストラダムスの大予言などは覚えています。
たった一つ残念なのは、子供の頃に大好きだった、赤い根っこのほうれん草が、今は全然おいしくないことでしょうか。
サザエやカツオが、おいしそうに、お握りなどを食べているのを見ると、心なごみますね。

投稿: 紅林真緒 | 2012年5月31日 (木) 23時12分

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