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2009年11月 5日 (木)

『サザエさん』15の感想

 漫画『サザエさん』15(長谷川町子全集15巻・朝日新聞社)の感想を申します。ネタバレですから、ご注意下さい。
『サザエさん』15は、朝日新聞に昭和39年5月から昭和40年4月まで連載された漫画と、昭和39年9月11日に掲載されたエッセイ漫画を元にした、姉妹社発行の43巻から45巻を収録したものだそうです。
 今回、特筆すべきは、福引の特賞が当たったため、ヨーロッパ一周旅行をしたサザエとマスオ夫婦のエッセイ漫画がついていることです。語り手はサザエ(厳密には、作者の長谷川さん)ですけどね。1ページのうち、上半分はカット絵、下半分は文章という構成ですが、当時は貴重な体験であったろう外国の体験が、楽しげに語られています。パリで、カルダンのファッションショーを見るサザエが、着物を着ている気合は、なかなかお見事。
 13か14あたりから、磯野家でもテレビがデビューしました。家族で深刻なチャンネル争い、見やすい席争奪戦、ごひいきの野球選手や相撲選手をめぐる騒動など、今でも私達がやりそうなことが語られています。娯楽が増えること自体は喜ばしいのですが、それまでのお茶の間の主役であったろう、祖父母や父母、つまり、波平、舟、サザエ、マスオの権威が失墜してしまったということですね。
「戦後、女性が強くなった」とは、戦後史を読んだり見たり聞いたりすれば、うんざりするほど見つかる表現ですが、案外、真相は、「テレビの普及が、祖父母と父母の立場を奪った」からではないでしょうか?
 紅林の親切な新説です(いや、もう語り尽くされているかも?)。それでは。

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