『かつおちゃんとわかめちゃん』①の感想
漫画『かつおちゃんとわかめちゃん』(長谷川町子・朝日新聞社【文庫】)①の感想を申します。ネタバレを含みますから、ご注意ください。
タイトルからして、私は、『サザエさん』からカツオとワカメの活躍するエピソードを選んだ作品かと思っていたのですが、これは姉妹社より発行されたものだそうです。およそ1ページにつき、3コマで、6~7ページほどの短いお話が収録されています。絵はやや古い描き方で、『かつおちゃんとわかめちゃん』がテーマで、長谷川さんが、わざわざ、描き下ろしを行なったそうです。
描かれている内容も古ければ、表紙イラストも古く、切れてしまったワカメの下駄の鼻緒を、カツオが真顔でつけてやっていて、ワカメもすっかりお兄ちゃんを頼りにしている様子で、片足を上げた格好で、カツオにもたれてかかっている、という、まあ現在では、めったに見られない、ほのぼのとしたものです。
珍しく、サザエが脇役で、舟、波平の出番も少なく、代わりにカツオやワカメの友達が、大勢登場します。マスオは登場しませんでしたから、サザエが独身の頃のお話でしょうね。
どの話がもっとも印象に残った、という感じではありませんでしたが、それにしても、描かれたのは昭和20年代から30年代前半頃でしょうか。磯野家(当時の一般家庭)は、家のふだんの履物が下駄なのは、まあ、サザエさんシリーズを、初めから読んでいれば納得できます。が、サザエや舟は、外出の際、わざわざ着物を着ています。ワカメはお正月やままごとで、着物を着たり、着る真似事をします。当時、着物は、よそ行きの洋服と変わらない感じだったのでしょうね。だから、磯野家は現在の私達より貧乏かもしれませんが、全員、かなりの衣装持ちだと思われます。こういう、レトロな楽しみ方もできるから、この本も『サザエさん』も、人気があり、とてもおもしろいのでしょう。
この本は、図書館で偶然見つけましたが、②はあるのかどうか、謎です。②が見つかれば、またレビューいたしますね。それでは。
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