『鉄のラインバレル』1巻の感想
漫画『鉄のラインバレル』(清水栄一・下口智裕 秋田書店)1巻の感想を申します。ネタバレがありますから、ご注意ください。
今度こそは、さらぁっと、流すようにあらすじを説明したいのですが、どうなりますやら。1巻は、それほどストーリーが動いていませんね。2019年、早瀬浩一という、矢島と理沙子という幼なじみのいる、中学三年生がいました。彼は3年前に、人工衛星落下の事故で半年間、意識を失っていたのですが、それを機に、気の弱いいじめられっ子から、表向きはおとなしいけれども、裏では高校生相手にケンカをしまくる、パワフルな少年に変貌してしまったのです。浩一は増長し、いさめる矢島にまで荒っぽくふるまう始末。そんな浩一の変わりようと同調するかのように、骸骨のようなロボット(人形-ヒトガタ-)達が襲来、さらに巨大ロボットまでやって来て、町は混乱します。そのロボット、ラインバレルを見た瞬間、浩一は、3年前に落ちてきたのは、人工衛星でなく、ラインバレルだと察するのでした。結果的に、浩一はラインバレルに助けられ、それはどこかへ去ってしまいます。
黒っぽい服を着た美少女、城崎絵美もまた、浩一の周囲で暗躍し、連絡を取り、謎の組織がそのロボット(マキナ)とファクターである浩一の捕獲をねらいます。またもや、3機ものロボットが襲ってきますが、浩一は強引にラインバレルを呼び出して一蹴。しかし、突然、ラインバレルと同じ巨大な青いロボットが現れ、操縦している人物は森次玲二、とある企業の一社員だと名乗って、立ちはだかり、ラインバレルごと、浩一のプライドをたたきつぶして、これもまた飛び去ってしまいます。
城崎絵美が浩一のクラスに転入してきます。森次の所属する企業では、山下サトルが、彼のマキナのハインド・カインドによる演習で、自衛隊のロボット群を一瞬で大破。森次には負けたものの、浩一の暴力と傲慢は増大する一方なので、矢島は捨て身で制止にかかります。なぐられて傷だらけになっても、真摯な態度を貫く矢島に、浩一は心揺さぶられ、矢島の握手に応えようとします。が、その直後、奇妙なマキナ(ハグレマキナというらしいです)が来襲し、矢島は腹部を鉄骨で貫通する重傷を負います。
「大事なのは『どうすればいいか』じゃない/お前が『どうしたいか』だ」
そう言い遺して、矢島はハグレマキナの爆撃を受け、右腕1本のみが浩一の眼前に転がるのでした。折悪しく、森次と山下がそれぞれのマキナで到着し、今度こそラインバレルを回収しようとするのですが、浩一はすでに普通の状態ではありませんでした。浩一の憤激、憎悪に影響されたかのように、まだ誰も搭乗していないラインバレルが攻撃を開始します。悪鬼のような表情になった浩一は、「俺はアイツを殺したい!!」
や、やっぱり、原作は違う(当たり前だって)。ストーリーも設定も、濃ゆい! エグい! 矢島の死が悲惨! 逆に、絵美が目立ちません。ダメダメな浩一にいろいろと世話を焼く、理沙子がかわいいですね。ビジュアル的には、絵美の方が上ですけれども。
予想以上に、印象的な台詞が多いですね。「あ、あれもこれも、アニメで引用されていたな」と、気づいたところも多くありました。サブタイトルも、もしかしたら、映画やどなたかの曲のタイトルを参考にしているのかもしれませんが、洗練されているのではないかと思います。
一番印象に残ったのは、ストーリーとあまり関係がないのですが、山下の性格の悪さです。自分がいくら強いからって、自衛隊員達にタメ口をきき、あざけり、嘲笑しているのですから。「マキナにとってボク達は 人殺しの因子〈ファクター〉なんだよ」と言い放っていて、こんなやつが実在したら、怖いです。しかも、森次の前では猫をかぶって、気立てのいい後輩ぶっているのが、また恐ろしい。それでは。
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