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2010年4月13日 (火)

『シグルイ』14巻の感想

 漫画『シグルイ』14巻(原作:南條範夫 漫画:山口貴由)の感想を申します。ネタバレがありますから、ご注意ください。
 14巻は、13巻よりましな内容でしたね。13巻こそ、カットしてもいいのに。それでも、後半から、「やっぱり・・・・」と前言を撤回したくなります。その理由は、あらすじを述べてからにいたしましょう。
 お話は、源之助がそうだったように、清玄もまた名刀「一(いちのじ)」を入手します。ところが、稽古の練習中、源之助は不意の病に倒れ、医師も見離すほどの危篤状態になります。三重は一心に介抱しますが、そんな折に来訪したのは、何と憎むべき清玄。けれども、彼は源之助のために、天印霜(てんいんそう)という猿の頭部の黒焼きを持参したのでした。それを貪った源之助は、13日にして生き返ったばかりか、以前よりも心身ともに充実し、三重と心を通わせ、師匠の岩本虎眼の死に顔が浮き出た、血染めの内掛けを焼くのでした。
 一方、徳川忠長の元を、伊達政宗が訪れます(何なの、この唐突さ!)。忠長は伊達の家中の者にも、例の真剣を使う上覧試合に出場してほしいと頼みますが、伊達は拒絶。他の名家の大名達も出場しない旨を知り、忠長は内心荒れます。
 出場剣士達が決定し、雨が降る庭で、忠長と謁見することになりますが、驕慢な忠長は、十万の兵士が控えていると予期していたのに、実際に平伏している20余名ですから気に入りません。早速、庭に出て、伏せている誰かの首を剣で貫きますが、彼を止めることはもちろん、犠牲者が誰であったのかさえ、その場にいた全員、源之助も三重も、清玄も、頭を上げられず、認められませんでした。

 はーっ、おもしろいか、おもしろくないか、また微妙。源之助と三重が、清玄に対する復讐によって結ばれるのではなく、病を乗り越え(三重が口移しで水を与えるのは、なかなかエロくてよろしい)互いを思いやり信じ合って、心を寄り添わせるのは、この殺伐とした『シグルイ』の中で、名シーンと呼んでいいでしょう。
 清玄もまた、源之助に不思議な思いやりを示しているのも、ポイントが高いです。彼が持参した猿の頭の黒焼きは、やはり13巻で斬り殺した、人食い猿でしょうかね? だとしたら、あのどうでもよさげなシーンは、ちゃんと14巻の伏線であったわけで、無駄ではなかったのですね。まあ、清玄としては、絶好調の源之助に勝ってこそ、真の勝利を味わいたいだけなのでしょうけれども。彼は女性以外、男には冷ややかなのですが、源之助は特別であるようです。ああ、ライバル萌え本能が、うずきます~。
 よかった、15巻は期待が持てそう・・・・と締めくくりたいのに、さあ、ツッコミますよ。
 伊達政宗の登場は、一体、何の効果があるのでしょうか? 今さら、彼の活躍なんて、不自然もいいところです。さらに、あらすじでは省略しましたが、清玄が飢えた少女に食事を与え、がつがつする彼女をあざ笑った伊賀者(女性二人)を斬殺するエピソードって、これらはページ稼ぎではないでしょうか?
 特に、私は忠長にうんざりします。彼が登場すると、せっかくのいい流れが停滞し、バカ殿様の好き放題物語に、質が落ちてしまうように思います。あまりの残虐、暴虐も、やりすぎると、「あり得なーい」と、ギャグになってしまわないといいのですが。
 取りあえず、源之助と三重の幸せそうな姿には癒されましたが、忠長には苛々させられる巻でした。15巻で、また上覧試合のしきたりあたりから入って、最終ページでようやく両者が構えた、なんて、だらだら状態が続かなければよいのですが。それでは。

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