« 『信長の忍び』1巻(重野なおき)の感想 | トップページ | 『ヤングマガジン』2010年№21+22の感想 »

2010年4月26日 (月)

『土竜の唄』20巻の感想

 漫画『土竜の唄』(高橋のぼる・小学館)の感想を申します。ネタバレを含みますから、ご注意ください。
 蜂之巣会の連中に捕らえられ、刀で腕を切断されそうになっていた玲二ですが、兄弟分のクレイジー・パピヨンこと日浦が現れ、またたく間に蹴り倒します。ヒットマンの金目に撃たれ、両足を吹き飛ばされていたはずと、玲二は戸惑うものの、日浦は頑丈な義足をつけていたのでした。日浦の車に乗せられましたが、玲二は早速、クスリ密輸を責められます。その上で、日浦は阿湖組長の隠れ家へと、連れて行きます。

 阿湖は廃寺内の、豪華な地下シェルターに潜んでいました。日浦と玲二を見て驚き、思わず、玲二の取引失敗をなじりますが、日浦は「クスリでシノギをしないっていう、オレとの約束、破りましたね。」と非難し、阿湖との親子盃をたたき割って、絶縁を宣言。阿湖も逆上、盃に、切った指を添えろ、と命令します。応じたふりをした日浦は、阿湖を取り押さえ、逆に彼の左人差し指を切断し、「オレは自分の組を作る。」と、にかっと笑います。いよいよ激怒して、阿湖は散弾銃を放ちますが、日浦はかわして、シャンデリアをつかみ、阿湖の頭にたたきつけます。よろけた阿湖は、シャンデリアを頭に密着させたまま、ジャグジーに転落、感電して苦しみます。そこを、日浦は自らも感電しながら、引きずり上げて助けます。自らの完敗を悟った阿湖は、日浦に、「グレイトな引き際、飾らせてもらうぜ。」と言うのでした(阿湖の隠れ家編で、ほとんど玲二の出番はありません。ナレーターみたいな役を務めているだけ。代わりに、日浦が猛烈に強くて、文字通り、痺れます)。
 次に、日浦が玲二とともに向かったのは、薬物依存症の治療施設。ここに、日浦の兄貴分だった女性、直子が療養しています。一見正常そうな彼女は、しかし完全に心が壊れていました。日浦のクスリ嫌いを思い知らされた玲二は、彼に一発、吹き飛ばされるほど強くなぐられた後、「オレは見たこともないすげえ蝶をこの手に捕まえる為に ヤクザをやってんだ。/もう一度・・・・一緒に探そうぜ兄弟。」と、笑いかけられ、玲二は涙ぐみながら、クスリのシノギはしないと、誓うのでした(ああっ、ヤクザ、いや暴力団の一匹なのに、日浦がものすごく魅力的に感じられます! 危なーい!)。
 日浦と玲二はホテルで休息、待機していた時、阿湖組長自首のニュースがテレビで放映されます。せっかくの麻薬ルートの解明も、阿湖でストップしてしまうと、玲二は内心ショックを受けますが、日浦は何と、これから会長の轟周宝に会うことを告げます。轟は果たして、日浦の組結成を許すのでしょうか? MDMA取引に失敗した玲二を、ただでおくはずはありません。流血の事態は必至。どうなるのでしょう!! と、残念ながら、20巻はここまで。
 今回も、強烈におもしろかったです! やはり、クレイジー・パピヨンが登場すると、盛り上がりますねえ。彼の、衣服から車、小道具まで、すべてに蝶をプリントする趣味を除けば、私はかなり好きです。登場人物の中で、もっとも言動が首尾一貫していて、卑劣なことを許さないからでしょうか。彼の前では、組長であるはずの阿湖さえも、つまらない小悪党に見えます。
 20巻の「土竜のグルメ」ですが、物語後半、ホテルのルームサービスに出てくる豪華な料理です。ラムチョップ・ステーキ、フカヒレスープ、それから伊勢海老のテルミドールみたいなものと、彼らがラッパ飲みしているワイン。居眠りしていた玲二は、料理のにおいで目を覚まし、全裸の日浦と差し向かいで、マナーもお構いなしに、がつがつ食べます。「なんだコレ、うんめぇーっ!!」「んめぇー/ラムチョップ サイコー!!」と、玲二は相変わらず、おいしそうに食べますが(たぶん、おいしそうに食べる男性登場人物№1では?)、日浦といるせいか、どことなくうれしそう。日浦は余裕で、淡々と平らげていますが、こちらも浮かれる玲二の様子に満足げです。
 お一人様のご飯もおいしいですが、心を許しあった仲間との食事は最高ですね。クレイジー・パピヨン復活、おめでとう、玲二。パピヨンのファンの方に必見の巻です。それでは。

ご協力お願いします。
人気ブログランキングへ

| |

« 『信長の忍び』1巻(重野なおき)の感想 | トップページ | 『ヤングマガジン』2010年№21+22の感想 »

土竜の唄」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『土竜の唄』20巻の感想:

« 『信長の忍び』1巻(重野なおき)の感想 | トップページ | 『ヤングマガジン』2010年№21+22の感想 »