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2010年6月20日 (日)

『バビル2世』(横山光輝)6巻の感想

 漫画『バビル2世』(横山光輝 秋田書店〈秋田文庫〉)6巻の感想を申します。ネタバレがありますので、ご注意ください。
 5巻の感想・・・・暑苦しくて、申しわけありません! 今度こそ、シンプルでわかりやすいものを目指してまいります。6巻でも、宇宙ビールス編は続行中。まず、舞台がバベルの塔とその付近から、日本の小都市F市へと変わって、国家保安局まで巻きこんで、バビル2世とヨミの総力戦前半になります。それから、バビル2世に伊賀野という、20代くらいの国家保安局の調査員の男性が、パートナーになります(どうやら、同年代の少年の登場はなさそうですね)。6巻のバビル2世の戦闘不能回数は、2回。どちらも、かなりピンチでした。
 コンピューターが知らせた危機とは、バラビア共和国の爆撃機群の襲来でした。バベルの塔は防御態勢に入りますが、同じく攻撃目標にされたV号は、逆に爆撃機の中に自ら突入し、超高熱線や体当たりで、次々に撃墜させていきます。そのうちの、無数の爆弾を搭載した一機が、バベルの塔へ墜落! 迎撃、消火も間に合わず、メーンコンピューター以外のコンピューターが爆発、炎上。バビル2世も背後からの爆発を受けて、重傷を負って倒れます。砂嵐さえ停止し、全体から煙をあげているバベルの塔へ、ヨミの部下が侵入を試みますが、たった一つの防御装置でぎりぎりで撃退します。ヨミは用心して、退きました。その間に、バベルの塔は、自動修復システムを作動させ、修理に入ります。

 回復したバビル2世は、国家保安局長に経緯を話します。局長は、アメリカ軍のレーダー基地のあるF市で音信不通になったと言い、バビル2世は申し出て、伊賀野と一緒に調査に向かうことになります。突然のがけ崩れ、ホテルの人間の気配から、バビル2世は伊賀野に危険を知らせますが、バビル2世を子供扱いし、超能力を信じない彼は、ろくに聞きません。が、ホテルの部屋に入った途端、伊賀野に宇宙ビールス感染の兆候が出、吐血して倒れます。咄嗟に、バビル2世はニンニクエキスを注射して助けてやり、深夜にはビールス人間の超能力攻撃を受けますが、生き返った伊賀野はなおも半信半疑。翌朝から、ビールス人間の攻撃が活発化。大型トラックにひかれる寸前を、バビル2世に突き飛ばされて、ようやく伊賀野は彼の超能力とF市の異変を認めます。ついに、バビル2世の存在は、ホテルの支配人を通じてヨミが知るところになり、F市中のビールス人間が殺害に向けて、いっせいに動きだします。
 ビールス人間は超能力を使えるばかりでなく、手をつなくことによって、パワーが倍増するのでした。バビル2世はまもなくそれに気づきますが、ビールス人間は大型トラック、重機類を使って襲いかかる一方、伊賀野のピストルはまったく通じません。バビル2世は伊賀野を横抱きにして、ビルからビルへ飛び移りますが、二人の居場所はビールス人間達に捕捉されるや、テレキネシスで建物ごと崩壊させられるなど、圧倒的に不利。二人は脱出の方法を考え、伊賀野はハムによる連絡を行なうものの、救出ヘリはビールス人間に破壊され、バビル2世は襲ってくるビールス人間から伊賀野を守り、全力で逃げているうちに、急激に消耗して立てなくなります。伊賀野に支えられて、ビルの屋上へあがり、懸命にロプロスを呼ぶものの、数にまさるビールス人間を迎え撃つうちに、弱り果てて気絶。危ういところで、ロプロスが二人をつかまえて救出しました。
 バビル2世は苦戦しながらも、伊賀野を車に乗せてF市外へ出し、ビールス人間のことや彼らの弱点であるニンニクエキス増産のことを託します。そして、F市で、バビル2世の孤軍奮闘開始。最初はロプロスの助けを借りていましたが、V号に乗ったヨミが来襲したため、一気に劣勢。下水道内で2日間、飲まず食わずで立てこもり、ビールス人間達のテレパシー誘導に耐えるうちに、ロデム、ポセイドンが合流して、やっと形勢が挽回します。ビールス人間達はポセイドンに任せて、もっともやっかいなV号には、ロデムを爆弾投下口から侵入させ、内部を破壊させようとします。V号はバビル2世を追い回し、撃ちまくるうちに、ロデムは侵入成功。バビル2世はロプロスに命令して、防御しようとしますが、またしてもロプロスはヨミの命令に惑わされてしまい、主人を押しつぶそうとします。守られているはずのロプロスの下で、あえぐバビル2世。ヨミは確実にとどめを刺すべく、V号をロプロスの上に下ろそうとします。「ロデム まだか 早くV号をこわせ」と、仰向けでロプロスの重みをこらえ、必死のバビル2世。ロプロスの上に重なるV号。このままでは、バビル2世が押しつぶされてしまう!

 今回、もっともおもしろかったのは、最初、伊賀野がバビル2世を足手まとい呼ばわりしていたのが、負けじとばかりに、バビル2世も「あなたは ここにいてください 足手まといになりますから」と、皮肉っぽく言っています。バビル2世、君ね、表情に出ていないけれども、邪魔者扱いされたことと超能力を否定されたことを、相当恨んでいるでしょう? でも、あらすじのとおり、伊賀野がいなくてバビル2世単独では、絶対に命が危なかったと思います。疲労困憊のバビル2世を肩につかまらせて、ビルの屋上へ移動、さらにビールス人間の襲撃にピストルを発砲して一心に守ろうとする伊賀野は、なかなかかっこよかったです。7巻でも、伊賀野の活躍はあるのでしょうか? バビル2世と伊賀野は、いいパートナー同士になりそうです。やたらとスキンシップしてくる五十嵐局長よりマシというか、私としては局長は怖いのですけど。
 ビールス人間との戦いで、バビル2世はかなり苦しんでいましたね。各人の能力は、エネルギー衝撃波一発で倒せるものの、何人、何十人がまるで花いちもんめで遊んでいるみたいに、手をつなぎ、しかし焦点のない目を向けて、倍増したテレキネシスで建物を破壊したり、テレパシーを増幅させてバビル2世をあやつろうとしたりするのは、何気に迫力がありました。けれども、そんなビールス人間を、バビル2世は手っ取り早く、ポセイドンに踏みつぶさせて始末してしまうのですから、本当に怖いのは、情け容赦なしのバビル2世の方かもしれません。
 ヨミは伊賀野によって、やや活躍の機会を奪われたかな?V号操縦、部下やロプロスの命令を除いて、割と地味だったかも。
  ところで、バビル2世ファンはこの6巻が必見です。数冊買い集めて、永久保存してもいいかと思います。6巻は別名、バビル2世の美少年フェロモン全開号なのですから。なんて、冗談、とも言い切れないのですよ。彼は上記のとおり、大人に生意気な口をたたく、憎らしいお子様ですが、バベルの塔の崩壊に青ざめたり、伊賀野をかばい続けて疲労したりするのが、子供っぽいというか、不器用と申しましょうか。うろたえる伊賀野に、ビールス人間の実態や、自分達がピンチであることを、淡々とした口調で説明しますが、バビル2世の本心は伊賀野以上にパニックになっていたのではないかと、私は思えて仕方がありません。
(自分も同じように慌てていたら、伊賀野がいっそう恐怖してしまうから、余裕を見せておかなくては。でも、三つのしもべはまだ到着しない、どうしよう。自分は恐らく命の危険は少ないだろうが、伊賀野は絶対に死なせたくない。ああ、どうしたらいいんだ!)と、バビル2世はこんなふうに考えていたのではないかと、予想しています。
 なぜなら、伊賀野とわだかまりがなくなった頃、彼が、「きみひとりだけで逃げろ」と勧めるのに対して、「あなたを見殺しにしてですか/そんなことは できませんよ」と、バビル2世は強く拒絶し、逆に伊賀野をF市外へ逃がしてやるからです。やっぱり、君は性格がいい子だね、バビル2世(ああ、『バビル2世 ザ・リターナー』との差異を、また痛感してしまう・・・・)。
  そんな大人の男と少年の友情もよろしいのですが、6巻のバビル2世は場面ごとにエロすぎます。はい、真面目なバビル2世ファンの方は念のため、これ以上、読まない方がいいですよ。
 まず、バベルの塔で背後からコンピューターの爆発を受けた場面で、機器の破片が背中にいくつも突き刺さり、すごく痛そう。しかも、いきなり倒れず、痛みをこらえながら、よろよろと倒れ伏すあたり、根性がある分、痛々しいというか、エロい(ごめんなさい)!
  伊賀野とF市のホテルのツインルームに泊まった際、さすがに例の学生服ではなく、ガウンを着て寝ていましたが、何でガウン? 日本のホテルなら、普通、浴衣ではないのでしょうか? ツッコミはともかく、ビールス人間の超能力によって、椅子やサイドテーブルが寝ている伊賀野にふってくるのを、バビル2世は懸命にたたき落として防ぎますが、ガウン1枚の姿で怪しいやつに向かって走ったり、家具をたたいたりするのが、なんとなく悩ましいというか・・・・(ごめんなさい)。
 他に、「しっかりつかまってください」と、伊賀野に言っておきながら、自分はふらふらになって倒れるあたり、不器用でけなげで、もう精神的鼻血が・・・・(エネルギー衝撃波でも受けろ? ごめんなさい)。
 最後に、車や小道具、ファッション以外、『バビル2世』で古臭さを感じることはないのですが、F市に向かう列車内で、バビル2世は窓側に座し、伊賀野は通路側で煙草を吸おうとし、バビル2世にテレパシーで心を読まれたり、ライターを持ち上げられたりしてからかわれる場面。これ、現代ならば、いくら伊賀野が喫煙者でも、未成年のバビル2世のために禁煙席に座るでしょうね。禁煙が当たり前になっている今なら、ここをアニメ化するなら、伊賀野が取り出そうとするものは、きっと携帯電話やシステム手帳になるだろうなと、私は想像しました。当時は、未成年と一緒でも喫煙ができたのですね。ま、『サザエさん』『エプロンおばさん』(どちらも長谷川町子)でも、煙草を吸うのが成人男子のステイタスのようでしたから。アニメ化? 私はバビル2世のアニメなら、見てみたいです! それでは。


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コメント

私もコミック読破しました…
とりあえず、テンポが良くて、最後までワクワクしながら楽しめました!
絵も古臭さを感じないし、今読んでも斬新で、いまだに根強く読まれている理由がわかりました!
一言で言うと、やはり横山先生は天才だ!と言う事でしょう…
 
コミックスの後ろのページをみると、
昭和47年7月10日初版発行
平成5年2月20日44版発行
…とかいてありました!
ずーっと読まれつづけてるんですね~すごいの一言です。
 
さて、私もバビルが撃たれたり攻撃された時の顔には、あまりのギャップに興味をそそがれます!
ていうか、銃で撃たれた時、一瞬本気で死にそうな感じになりますよね!
あまりにも苦しみ方もリアルすぎて、
おいおいおい
大丈夫なのかよ
とヒヤヒヤさせられます
 
あとガウン姿についても…私もビックリです!何でガウン…
 
個人的にはシムレに化けた時のスーツ姿のコスプレがお気に入りです。ネクタイにドクロマークがオシャレ…
 
そのスーツが戦いでボロボロになっていく感じが何ともいい感じでした…
 
では次の巻の感想も楽しみにしております。

投稿: ざびたん | 2010年6月23日 (水) 17時53分

 いらっしゃいませ! コメント、ありがとうございます。相変わらず、返信が遅くて申しわけありません。

 思うことは、皆様、同じですか。私だけが腐女子センサーを立てていたわけでないと知って、少し安心しました。

 7、8巻と、『その名は101』の感想も、いやいや、他にもたくさんの横山光輝作品が手元にありますけれども、ご期待に沿えるよう、ちゃんと述べられるといいのですが。 
 私としても、横山光輝さんの表現力の深さ、鋭い洞察力に裏付けられたストーリー展開には、今さらながら驚かされてしまいます。
 何せ、読むのも投稿するのも遅いヤツなので、お気長にお待ちください。

投稿: 紅林真緒 | 2010年6月24日 (木) 18時03分

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