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2010年7月24日 (土)

『バビル2世』(横山光輝)8巻の感想(加筆修正版)

 漫画『バビル2世』(横山光輝 秋田書店・秋田文庫)8巻の感想 を申します。ネタバレがありますので、ご注意ください。
 これで、『バビル2世』は完結となります(あ、早く復刊ドットコムに、連載時の扉絵とカラーページを載せた、完全版のリクエストをしておこうっと)。8巻は、WEBの情報によれば、横山光輝さんが当時の編集部の意向によって、第3部で終了する予定が、第4部という形で継続してしまったそうですね。現在、人気漫画でよく行なわれている、無意味な引き延ばしの先駆けですね。そして、単行本12巻として発行されたのが、『その名は101』よりもさらに遅く、10年以上経ってからだそうです(だから、単行本は全11巻でなく、全12巻)。そんなに、横山光輝さんにとって、第4部は気に入らなかったのでしょうか。
 それでは、あらすじをご紹介しますが、本編と外伝が収録されていますので、一気にいきますよ。

(本編)手足の移植手術を受けた人々が、次々と謎の自殺を遂げると言う事件が起こり、バビル2世が国家保安局長に呼び出されます。自殺者は全員、同じ病院で手術を受けており、その死体提供者は何とヨミ! 再び、バビル2世は伊賀野と組んで調査を開始します。けれども、二人の乗った車めがけてダンプカーが突っこんできたり、催眠術にかけられた伊賀野がバビル2世を銃撃しようとしたり、と何者かが明らかに調査を妨害しています。手足を取り戻して、ヨミが生き返ろうとしているのではないか、とバビル2世は予想し、移植手術が行なわれた不乱拳病院(すごい名前)に向かいます。
  バビル2世はテレパシーで医師の心を読み、自殺者達の切り取られた手足がここへ運び込まれて、もう一度、誰かに手術が行なわれたことを知ります。そして、バビル2世は秘密の地下室で、全身を包帯で包まれた男を発見しますが、彼がヨミであるかどうかを判断する前に、海岸から海上へと運び去られます。ポセイドンに追わせるものの、包帯の男は船からヘリコプターに乗って逃げてしまいました。
 以上の経緯を、バビル2世は喫茶店で伊賀野に報告し、「ともかく 変わったニュースがはいったら 教えてください」と言って去ります(以降、伊賀野とは二度と会わず、これが事実上の別れとなります。味気ない・・・・)。いったん、バベルの塔に戻りますが、そこで、水爆を搭載したアメリカの原子力潜水艦が北極海で行方不明になったことを知り、バビル2世は急いでロプロスに乗って現場へ急行(北極に、あの学生服姿で行くとは、バビル2世には体温調整機能があるのでしょうか。そう言えば、4巻では海中で戦っていましたから、本当にすさまじいパワーがありますな)。一方、先に到着した、アメリカの調査船は、北極に仕掛けられた謎の催眠ライト、氷山によって、壊滅してしまいます。そこはまさにバベルの塔に似た、秘密基地があって、包帯男が指揮していたのでした。
 ロプロスに乗って、怪しい地点を調査したバビル2世ですが、包帯男は潜水艦から奪った水爆ミサイルを発射させて襲います。感知したロプロスは、命令に反してバビル2世を海へふり落とし、間もなくして、猛烈な爆発が起こります。バビル2世が何度も呼びかけても、ロプロスは姿を見せません。ポセイドンに問いかけると、「コワレタモノト思ワレマス」との答え(ポセイドンとロプロスは、話せないのかと思いましたが、ポセイドンはどうやら、バベルの塔のコンピューターのように答えてくれるようです。それとも、目を点滅させていますから、音声ではなく、電気信号でしょうか)。
 再び、北極に向かったバビル2世は、ポセイドンに乗って向かいます。催眠ライト、氷の亀裂をしのぐうち、包帯男はポセイドンに命令を発して、動かなくさせます。ここで、ヨミの復活を確信し、バビル2世はすべてのテレビカメラを破壊します。そして、20時間が過ぎた頃(その間、吹雪の中をずっと学生服のままでしたよ。すごっ!)、バビル2世はポセイドンに、レーザー砲で撃たせて頑強な壁を破ろうとします。うっかりと、部下が様子を見ようとしてトビラを開けた隙に、バビル2世は建物内に侵入。ポセイドンも続きます。
 バビル2世にエアコンディショナーを破壊され、室内気温が急激に下がって、部下達は凍えて身動きできなくなります。コンピューター室には、かつての強敵ロボット、サントスも大勢いましたが、ポセイドンとバビル2世には太刀打ちできません。いよいよ、バビル2世がコンピューターを完全破壊しようとした瞬間、背後から声がかかります。
 そこには、包帯男の真の正体、スーツ姿で、短くなった髪が真っ白く、顔に生々しい縫合のあとが残る、見違えるほど衰えたヨミがありました(ヨミの衣装は、第1部から第3部の黒っぽい着物とガウンの中間みたいなのと、これだけ。つつましい悪人です)。最後の決着をつけようと、バビル2世は意気ごむものの、ヨミは自らの敗北を認め、これ以上攻撃を加えると原子炉が爆発してしまう恐れがあり、「わしは地球を支配したいと思ったが 地球を滅ぼそうという気はない」と言って、このまま引き上げるように頼みます。バビル2世は疑いますが、「この北極のへき地で だれにもじゃまされることなく だれに知られることもなく 永遠に眠りたい」と、ヨミは死力を尽くして戦った男として、最後の頼みを告げます。承知して、バビル2世はポセイドンとともに立ち去るや、基地は北極海へ沈んでいきます。「長い戦いだった」と、一人、バビル2世はつぶやくのでした。

(外伝)中近東? のアブダバ空港のそばで、路傍の占い師が、ビジネスマン風の男に、旅客機が墜落して乗客全員が死亡すると占いに出たから乗るな、と警告します。あざけって、男は搭乗しますが、突然の故障によって、旅客機は砂漠へ墜落し、男一人が助かります。迷いこんだのは、バビル2世がF市に行って不在の、バベルの塔。爆撃機が落ちてひどく破壊されて間もない頃であり、コンピューターが全力で自動修復作業を行なっているのを、男は攻撃もされず、つぶさに見られたのでした。やがて、男は近くの町へたどり着きますが、バベルの塔について語ったために捕らえられ、ヨミの元へ引き出されます。ヨミはバベルの塔を攻撃するチャンスと判断し、部下達とロボットを男に案内させますが、塔の修復は進んでおり、またたく間に撃退され、男だけが逃げ出します。やむなく、ヨミはヘリに乗って去るものの、口封じのため、男を旅客機の墜落現場付近で突き落として殺します。結局、あの恐ろしい予言は的中してしまいました。

 外伝は珍しく、ヨミの悪人らしい非情さを語っていて、おもしろくないわけではないのですが、登場がわずかですし、男だってイケメンではありません。少々物足りない感じがします。これなら、バベルの塔にいる際の、バビル2世の日常や、本当は有能な伊賀野の捜査などのエピソードが欲しかったですね。
 本編では、その伊賀野の本名が判明。伊賀野晋作(しんさく)といいます。久しぶりに、バビル2世に会え、また仕事が組めると喜んでいましたね。相変わらず、バビル2世はクールですが、以前のように辛辣でなくなった分、彼らは年の離れた仲良し兄弟みたいな、ほのぼのオーラが出ています。それなのに、喫茶店で別れたきりなのは残念。
 きっと、私を含めて、大勢の方々がロプロスの最期にショックを受けたでしょう。今までのストーリーで、息つく暇もない盛り上がりはありましたが、「どうやって切り抜けるの!」という、わくわくしたスリル感であって、バビル2世はもちろん、三つのしもべは不死身というか、安心して見ていられましたから。さらに、別人のように病み衰えたヨミの姿にも、驚きましたね。このようなロプロスやヨミの表現に、「続きなんて、絶対に描かない!」という、横山光輝さんの強い気持ちを感じるのですが、いかがでしょうか。
 私としては、今回、ヨミに幻滅。あらすじでは省略しましたが、トビラを開けてしまった部下に激怒し、エネルギー衝撃波を浴びせたシーンです。7巻ではバビル2世との戦いより先に、部下の身を案じて、自らの命を削って助けようとしたのに、怒りに任せて殺すなんて、しょせん、悪人は悪人なのでしょうか。加えて、ロデムの登場、まったくなし! 普通、最終エピソードとなれば、脇役でも少しは登場してくるでしょう。本当に、横山光輝さんは、やる気を失っていたのかもしれません。
 しかしながら、やはり、最終回であるだけに、今までにない見どころもあります。これもあらすじで省略しましたが、バビル2世が出て行き、コンピューター室で一人残ったヨミが、「さらば よきライバルよ」と言うシーンで、私は、どばばっと、精神的鼻血を噴出して悶絶しました。部下を殺したのはいただけないものの、引き際を心得ています。バビル2世に完敗したのに、猛烈にかっこいいです! 元々、私はライバル萌えで「宿命のライバル」「宿敵」という関係性が大好きなのですが、八神庵や他の私のひいきキャラクターが言ったら、幻滅してしまうでしょう。でも、ヨミならいい! 似合う!
(最近、ヤングチャンピオン掲載の『ザ・リターナー』で、ヨミは復活してくれるようですが、下手にアメリカと組んだり、人質作戦みたいな卑劣な作戦で翻弄したりしないでほしいです。恩情ある強敵であってください)
 次は、続編? 番外編? で、バビル2世が浩一として活躍する、『その名は101』ですね。そこで、私が大泣きしたエピソードについて、くわしく語りましょう。

 なぜなら、『その名は101』は、超能力者という名の無垢な天使が苦悶し、号泣する物語だからです!

「どうした、ひね紅林、悪い物でも食べたのか! それとも、今、奈良漬の食べすぎか、梅酒の飲みすぎで酔っ払ってるのか!」と、驚かれるでしょうが、この恥ずかしい文句は、あながち大げさではありませんよ。それでは。

(追記)誤字とあいまいな表現が多かったので、5、6箇所、加筆修正。読みづらくて、どうもすみませんでした。2010年7月24日 11時32分


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