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2010年7月10日 (土)

『バビル2世』(横山光輝)7巻の感想

 漫画『バビル2世』(横山光輝 秋田書店・秋田文庫)7巻の感想を申します。ネタバレがありますので、ご注意ください。
 いつぞや、見どころツッコミどころが多すぎて、ポストイットを貼りまくっていたら、ハリネズミのようになった、あのバビル2世です。7巻は、宇宙ビールス編およびF市攻防編の続きと決着ですね。早速、あらすじから行きますよ!
 ついに、V号内部があちこちで爆発し、コントロールできなくなり、地上に墜落します。ヨミ側の部下は混乱して、わらわらと、機外へ脱出。危機を逃れたバビル2世は、V号内部へ突入、ロデムと合流して、ヨミを捜します。が、ヨミはすでに機外にいて、ロプロス、ポセイドンをあやつって、逆にV号へ攻撃を加えます。燃え上がるV号内で、バビル2世は察知して、ロプロスを押しとどめますが、ヨミはポセイドンに攻撃を続けさせ、ついにV号が大爆発します。
 バビル2世がV号もろとも、爆死したと、ヨミは思いこみ、ポセイドンに命令しますが、ポセイドンは応じません。その時、瓦礫の中から、ぎりぎりで脱出したバビル2世が、無事な姿を現します。ヨミは怒り狂い、しもべを交えた攻撃から、バビル2世との一騎打ちに入ります。互いのテレキネシスによる瓦礫に打ちのめされ、傷だらけになりながら、真正面から組み合い、まず、ヨミからエネルギー衝撃波を浴びせますが、これは初回の戦いと同じだと悟り、中止します(指摘されたバビル2世が、無言でニヤリと笑う悪辣な表情に、私は最初の精神的鼻血っ!)。

 態勢を整えるつもりか、時間稼ぎか、いきなり、ヨミは全力で逃げ出します。例によって、三つのしもべは、ヨミの命令に服従して役立ちません。防御手段のないバビル2世に、虫の大群、宇宙ビールスに侵されたイヌやウシなどの動物達が襲いかかり、バビル2世はひどく疲労していきます。あわやというところで、国家保安局局長、伊賀野、自衛隊のヘリコプター部隊が到着。宇宙ビールス退治の銃撃を浴びせて、狂った動物達を一掃し、形勢がまた逆転します(バビル2世がヨミヘ勝ち誇ったように、「そして このイヌのように みにくい姿をさらして 死んでいくがいい」と言い放つシーンで、私は二度目の精神的鼻血! バビル2世、超能力よりも性格の方が怖いじゃないですか!)ヨミは火炎放射を行ない、F市内へ逃げます。
 バビル2世と国家保安局、自衛隊はヘリに乗ってF市に先回りし、次々にビールス人間を倒していきます。戦車まで繰り出し、ヨミを追い詰めますが、歯が立たず、逆にテレキネシスによって犠牲が出ます。この時のヨミが、「ふふふふ このおれをたおそうなどとは とんだお笑いぐさだ」「いまから もっともっと おそろしい目にあわせてやる それを地獄のみやげ話にもっていけ」と、冷ややかに笑うシーン(周りが黒く塗られた、1ページの全身像大コマ)が、悪人らしくてよろしい! 渋いですな、ヨミ!
 そのまま、ヨミはF市地下の秘密基地に突入。続いて、バビル2世、国家保安局、自衛隊も到着しますが、彼らには、攻撃用ロボット「サントス」を出撃させます。このサントスのデザインが秀逸。説明しきれないのが残念ですが、一つ目の怪物を連想させる、不気味かつ、たぶん最強のロボットです。戦車、バズーカ砲など、自衛隊の兵器が通用せず、逆にその巨大な一つ目から発せられるレーザー光線? によって、戦車やヘリが一発で吹っ飛び、自衛隊員も次々に倒れ、対抗手段を失ってしまいます。三つのしもべでは、ヨミの命令に従ってしまうので、バビル2世のみがサントスの集団を攻撃。身一つでサントスの一体の首に組みつき、頭部を動かして、レーザーを他のサントスへ向けて撃たせ、次々と破壊していきます。けれども、サントスの数が多いため、バビル2世は負傷し、見る見る、消耗していきます。大半のサントスを倒した時には、立っているのがやっとの状態。その時、ヨミは煙幕のスクリーンに、ビールス人間部隊を派遣してバベルの塔を襲わせている姿を映し出し、降伏を勧告します。しかし、バビル2世は応じず、サントスとビールス人間を倒すや、伊賀野と局長によって、F市市外へ逃れます。
 一日病院で休んだバビル2世は、いつものように素早く回復しますが、バベルの塔の危機については、「コンピューターを信じる以外にありません」と、伊賀野に答え、単身で再びF市へ。自衛隊の協力で、煙幕弾を張って、ヨミの目をくらませ、秘密の行動に移ります。テレキネシスで、水道管を破壊し、F市内を洪水状態にして、ヨミの地下基地に彼の部下達を閉じこめてしまいます。さらに、病院を水没させて、改造人間達をも台なしにしますが、ここで激怒したヨミが現れ、またもや一騎打ちに。ところが、バビル2世は、ロプロスやロデムを介入させ、逃げ回っているかのような行動を取った挙句、冷たい表情で言い放ちます。
「ヨミ こんな所で時間をくっていいのか」「地下に閉じこめられた おまえの部下は いまどうなっていると思う」
 ヨミは地下基地内で、酸欠に苦しみ、助けを求める部下達の哀れな叫びをテレパシーで感知し、愕然として言葉を失います。バビル2世は、なおも非情に。
「おまえが この水をひかせれば 部下たちも助かる」「しかし このまま追いかけっこをしていたら 部下たちはみんな死んでいく」
 もはや、体力勝負となった持久戦で、バビル2世はヨミに、余計な超能力を使わせ弱らせようとして、勝負を引き延ばしていたわけです(・・・・何という冷酷ヒーロー。三度目の精神的鼻血・・・・)。ヨミは部下を見捨てられず、超能力で下水口を解放している途中、ポセイドンの右手に鷲づかみにされます。ヨミは必死でふりほどき、加えて自分を狙い撃つ自衛隊の弾をもはじき、逆にポセイドンに命じて、自衛隊員を攻撃させます。バビル2世が突進し、エネルギー衝撃波勝負になりますが、二発目を放ったヨミは、みすぼらしい白髪の老人と化してしまいます。ここでとどめを刺そうと、力を蓄えたバビル2世は、渾身のパワーでエネルギー衝撃波を浴びせます。
 ついに、虫の息となったヨミは、「PH304」とつぶやき、バビル2世に自らの敗北を認めて、絶命します。途端に、無人のロケットが出現して、ヨミの遺体を回収し、空高く飛び立っていきました。見届けたバビル2世は、国家保安局と自衛隊に別れを告げ(局長、「もう行くのか」と名残惜しそうに、また両手でバビル2世の右手を握っていますよ。もう!)、三つのしもべを連れて、バベルの塔へ急行します。怪獣だと動転した後、呆然と見守る自衛隊員と、「できることなら またあいたいぜ」と、生真面目に敬礼する伊賀野が好対照で、いい感じです。
 バベルの塔は、バビル2世の期待したとおり、見事にビールス人間達を撃退していました。超能力を使いすぎると、ヨミのようになってしまうのだろうと、バビル2世はたずねますが、コンピューターはその質問にだけは答えてくれません。「思えば 長いヨミとの戦いだった」と、つぶやいて、バビル2世は奥の方へ歩み去ります。静寂を取り戻したバベルの塔を、砂嵐がカーテンフォールのように包みこみ、その姿を隠していきました。

 もう、今さら、感想なんて野暮だと思いますが、ひと通り、申しましょう。寝る前に、軽く本を読む方は多いでしょうが(私もそのうちの一人)、『バビル2世』文庫本および愛蔵本7巻は、絶対的に不向きです。やめられなくなって一気に読んでしまい、睡眠不足になりますよ。通勤や通学の電車内で読めば、うっかりして、降車駅を行き過ぎてしまうかもしれません。ご用心ください。
 秋田書店様の回し者のようですが、できれば購入して、家でじっくりと、手に汗握って読んでくださるのがベストだと思います。V号、サントスのメカ群はデザインもさることながら、闘いに迫力がありますし、バビル2世とヨミ、バビル2世と国家保安局のやり取りなど、緊迫感あふれるものからお笑い系まで、あらすじ紹介だけでは、とても表現できませーん(うれしい悲鳴)! 
 ポイントの多すぎる7巻ですが(もう一度、うれしい悲鳴)、世界の平和を守るためなら、ヨミの部下の命なんぞ、まったく気にかけないバビル2世って、いいのか、あんた・・・・。きっと、この戦略によって、悪魔のような主人公ベストテン入りをしていますよ。
 ヨミのことを、ヨミ様と呼ぶ方が多いのも、彼の恩情ある表情と行動ゆえでしょうね。それ以前に、V号が爆発する前、部下をちゃんと脱出させたのか、「ビールス人間など いつでもつくれる」発言とか、部下が乗っている偵察機の撃墜も仕方ないと言うなど(3巻)、ツッコミどころはあるのですが、それでも、部下の苦悶の声をテレパシーでキャッチするや、顔面蒼白っぽくなって絶句する表情は、悪の首領にふさわしくありませんでしたね(ほめてます)。そして、バビル2世の仕打ちに対する怒りよりも、部下の安全を気づかっているかのように、慌てて行動するあたり、やっぱり、ヨミはいいボスだと思います。もっとも、世界征服をされたら、同人誌どころではなくなるでしょうから、立場上、「フレーッ フレーッ ヨミ」と、私は応援できませんが。何度もバビル2世に基地を破壊されていますが、いつもどこでも、大勢の部下がいるのですから、きっと避難設備が用意されているのだと、予想しています。明日は参議院選挙の投票日ですが、ヨミみたいな候補者はいないのでしょうか。
 7巻には、このスリリング、スピーディー、パワフル、どシリアスなストーリーの中で、くすりと笑えるシーンがありますね。局長と伊賀野が、両手を振り上げ足踏みをして、「フレーッ フレーッ バビル」と、本人達は超真面目に応援しているところですが(応援よりも、援護してやってよ!)、2巻で局長は、「フレー フレー バビル!」と叫んでいましたから、彼の癖なのでしょうか(ほら、本が手元にあると、わかりやすいでしょう?)。
 国家保安局はどのような活動をしているのか、作中で明確に説明されていませんでしたが、お笑い担当もやっているかも? たとえば、サントスと戦ったために傷だらけで疲労しているバビル2世を、伊賀野が背負うところでは。伊賀野:「なさけないが おれたちが役にたてるのは せいぜい このくらいのものさ」局長:「おれたちっていうと わしもはいっているのか」。ああ、局長、本当に有能? やたらとバビル2世に触れたがる、ツッコミ役のオッサンじゃありませんよね?
 さて、8巻は、お話のパターンが異なる第4部と番外編(第1部は、浩一がバベルの塔に連れられてヨミと戦い、最初の勝利まで。第2部は、バベルの塔の攻防編と、ヨミがテレパシー増幅装置で自滅するところまで。第3部は、今まで述べた、宇宙ビールスおよびF市攻防編。火鷹深雪さん、ありがとうございます)。バビル2世にはもちろん、ヨミにもややダークな印象が残ってしまうストーリーです。おもしろいかどうかと言うと、やっぱり微妙。続編? の『その名は101』とのつながりというか、時間の流れがよくわからず、混乱してしまうからです。それでもよろしかったら、もうしばらくおつきあいください。遅読に遅筆で、申しわけありませんが。それでは。

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