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2010年9月23日 (木)

『増刊コミック乱』vol.6の感想

『増刊コミック乱』(リイド社)vol.6の感想を申します。ネタバレがありますので、ご注意ください。
『武芸紀行〜風よ雲よ剣よ〜』(さいとう・たかを)第六章、波之進がついてきた、島谷虎之助の師匠、男谷精一郎の恐るべき強さに関するエピソードと、小さな茶店で起きた、老父と娘、放蕩息子の悲劇。これから、波之進の成長と、旅先の事件というダブル構造で、ストーリーが展開していくのでしょうかね。さいとう・たかをさんという方は、『ゴルゴ13』をちょこっと読んだ程度しか知らなかったのですが、設定とストーリーの盛り上げ方が、とても巧みです。ただ、このタイトル、大仰すぎて恥ずかしくありませんか。

『大奥おんな絵巻』(ケン月影)第二幕、日本髪のムチムチ美女の全裸、半裸まみれ、エロ満載でありながらも、サスペンスタッチのストーリーが、盛り上がっていきます。侠気というか、女気? あふれる久美、猛烈にいい女だな。パトロンの寺社奉行が謀殺されて、後任の二十三歳、阿部伊勢守正弘は大丈夫でしょうか。久美と恋仲になるというのは、あり?
『吉原遊女絵伝』(千之ナイフ)第四景、やったぁ、大好きな千之ナイフさんだぁ! 幽霊の謎を解くと見せかけて、実は姉女郎の死の真相を探ろうとするお話だったとは、予想を裏切られましたね。読者サービス的? に花魁が真っ裸になっていますが、肌もあらわになった長襦袢一枚のまま、荒縄でくくられ、責められようとした玉絹がベスト! 和風SMっぽくてエロくてすてきです。ちとせも、かわいいな。
 コラム『秘蔵版 横山光輝時代漫画コレクション』(由比敬介)その弐、やったぁ、『伊賀の影丸』だぁ! と、私は喜んだのですが、別ページの『懐かしのヒーロー見参!!』(江戸川流一郎)その6も、『伊賀の影丸』であり、かぶってしまったせいか(もちろん、こちらもおもしろいのですが)、やや淡白な印象を受けました。それにしても、『伊賀の影丸』は従来にない漫画手法を取っており、1970年代までの長編短編いずれも、様々な秀作が生み出されていったのには驚かされます。短編のはずが好評を博して長編になったもの(『血笑鴉』)、大人向けの連作短編(『ガマ忍法帳』)、SFとの融合タイプ(『時の行者』『魔界衆』)など、とてつもなく奥が深いですね。やはり、横山光輝さんは時代漫画が好きでたまらなかったのだろうな、と感じさせられます。前回同様、たくさんの作品の扉絵や場面がカラー、またはモノクロで引用されていますから、お好きな作品を選べますよ。時代劇漫画ファンの方、横山光輝作品好きの方、ぜひお読みになってください。お勧めです。それでは。

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