『ハカイジュウ』1巻(本田真吾)の感想
漫画『ハカイジュウ』1巻(本田真吾・秋田書店)の感想を申します。ネタバレがありますので、ご注意ください。
事件は、東京・立川で起こります。高校2年の鷹代陽(たかしろ あきら)は、親友の久遠瑛士(くどう えいじ)と、バスケ部で競い合っています。引越しで離れてしまった幼なじみの少女、藍沢未来(みく)からメールが来て、ドキドキ。さらに、陽は昼練で、バスケ部顧問に、スタメン入りを告げられ、未来との恋にもバスケにも、瑛士と同じラインに立てると思い、「俺たちの未来は ここから変わるんだ!!」と、期待に胸をふくらませます。直後、大地震が発生し、陽は倉庫の棚の下敷きになって気絶します。
気がつくと、不気味な物音と、倒れているらしい、瑛士の左腕がのぞいて緊張します。慎重に、倉庫のドアから外をうかがうと、その左腕は千切れたもので、見たこともない、触手状の生物に食われていました。眼球と、牙のある口を持つ触手は、即座に襲いかかり、陽は懸命に逃げます。すると、校内には切り刻まれ? 引き千切られた? 生徒達の無残な死体が累々と! 陽は生き残っていた、生徒会長の白崎直央(なお)と出会い、異様な轟音に驚いて外へ逃げた瞬間、天を圧する巨大な怪物が校舎を踏みにじって破壊し、どこかへ去っていきます。陽と白崎は、住宅街へ逃げますが、やはりあちこちが破壊されており、死体が転がっています。そこには、身長3〜5メートル、全身できものまみれの二足歩行する怪物が、鋭い鎌状の両手で襲ってきます。途中、2組の田所(不良っぽい)、モジャ男(田所にいじめられているみたい)と合流しますが、モジャ男は自宅へ逃げ帰ったところを、首を切断されて殺されます。
恐怖におののく、田所、白崎、陽。しかし、民家のつけっぱなしのテレビは、立川異変のニュースを報じていません。さらに、陽は、立川駅へ来たという、未来のメールが到着していたことに気づき、慄然とするのでした。三人は立川駅へ向かおうとしますが、またもや、触手怪物の襲撃を受けます。それと同じか異なるのか、細かく裂けた先端と触手を持つ10メートル以上ある怪物(ゴカイやヒドラに似ている)が、四体も立ち上がって、おぞましい叫び声をあげ、あわやというピンチになりますが、追ってきた触手怪物は、急に引き下がってしまいます。安堵した三人が見たのは、直径数十メートル、深さが不明という、謎の巨大な穴。そこを回避し、立川駅に着いたものの、多くの死体が横たわっている状況に変化なし。生き残った人々は、三人にかまわず、逃げていきます。そして、田所、白崎、陽は学校を破壊したあの巨大怪物が、ビルを踏みつぶしながら接近してくるのを、見るのでした。
謎の怪物というか、食人生物は、触手、鎌状の手、特大の3タイプがいるのでしょうか。あらすじで書いた分には、すごそう、なのですが、ワタシ的インパクトは今一歩です。画力は高い(最初の高校生活シーン、私は間違えて、バスケ漫画を買ったか? と疑うほど、明るく平和、かつ自然です)のですが、怪物のデザイン自体は、どこかで見たな、という感じがします。アメリカ映画の恐怖、SFジャンルに登場する、クリーチャーズやエイリアンっぽいですね。『寄生獣』(岩明均)のパラサイト、『ベルセルク』(三浦建太郎)の使徒など、見てしまっているせいもあるのでしょう。
まあ、怪物のデザインは、かぶることもありでしょう。肝心な、その正体なのですが、宇宙から飛来した生物、かつて恐竜を滅ぼした古代の最強生物、異世界からの侵略者、どれをとっても、どこかで読んだか、見たかしたように感じられます。怪物は正体不明のままにしてほしいです。
いや、もっと心配なのは、陽を含めた高校生達は、怪物に襲われては、悲鳴をあげて逃げるだけというパターンにおちいりませんか。そうなったら、猛烈につまらないです。みんな、怪物と戦って! どうして、怪物が立川に出現したか、謎を解いてよ!
そうそう、どうして「立川」なのでしょう? 怪物のことは報道されていませんし、自衛隊も出動していません。衝撃と謎を一気にたたきつけ、平穏な日常を「ハカイ」していただきましたが、今後の展開はどうなるのでしょうか? 私は本田真吾さんを知らないのですが、『卓球Dash!!』全15巻を完結しておられるし、リアルでパワフルな画力は申し分ありませんから、上記のような不安要素を含む一方、充分に期待できると思います。3巻までは必ず購入しますから、どうぞ、がんばってください。それでは。
参照
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