『ほんとにあった怖い話』2010年11月号の感想
『ほんとにあった怖い話』2010年11月号(朝日新聞社)の感想を申します。ネタバレがありますので、ご注意ください。
『魔百合の恐怖報告 大陸に消えた夢』(山本まゆり)、満州からの引揚者の悲惨な状況は、一応読み知っていたつもりでしたが、避難の足手まといになる、老人、ケガ人、果ては実子までも、空き家に閉じ込めて焼き殺したって・・・・。寺尾玲子さんの言動以上に、相談者のお母さんの体験談が強烈なエピソードです。供養とは、亡くなった方々を記録=記憶することですか。そうなのかもしれませんね。それにしても、靖国神社は、何もしてくれないのでしょうか。
『祈りの声』(伊藤三巳華)、こちらは被爆地の長崎と、特攻隊の資料館へ行った時の体験談です。真っ白に感じられた長崎、そこにいる助言者のような不思議な存在、そして特攻隊隊員達の今なお続く高揚感。「あの瞬間」で時が止まってしまった戦争は、やはり怖いと思わずにいられません。平和であるために、私は何をしたらいいのでしょうか。
『怪奇心霊語り』(語り:加門七海 画:JET)第十四夜、『影御前Ⅵ 薫と仁美のええじゃないかツアー』(小林薫)、別個の作品でありながら、パワースポットに関する感覚が異なって、おもしろいと思いました。『怪奇心霊語り』で、加門さんは、なじみの神社がパワースポットをアピールするのに戸惑い、また、ある武将を勝手に身代わり守りにしてしまったことに怒るあまり、怨霊とシンクロしてしまいます。『影御前Ⅵ』は、小林薫さんは祇園祭を見物し、「京都のパワースポットめぐりとか どお?」と、のん気に桐生さんにリクエスト。まあ、ナビゲーターがいれば、楽しくパワースポットめぐりをするのもいいのでしょう。私もパワースポットは好きだし、縁の深い神社さんにお参りもしますが、そこへ行ってパワーだけもらえればいいというのは、ちょっと違うと思います。『影御前Ⅵ』のラスト近くで、小林薫さんが、神社の境内なのに煙草のポイ捨てが多いのを怒っていましたが、まったく同感。呆れたものです。
今回の読者体験は、『霊道ドライブ』特集。かなりディープで怖いですから、ご注意ください。
それにしても、『ほん怖』、今号で唐突に終了ですよ! 2011年1月24日に新雑誌が創刊されるそうですけれども(詳細は、11月24日発行の『増刊 魔百合の恐怖報告 寺尾玲子&天宮視子総集編 2010年秋の号』にて掲載されるそうです。商売上手ですな、朝日新聞社様)、どんなふうになるのか、心配と期待が半々。下手に、コメディ、または耽美に走ってくれなければいいのですけどね。それでは。
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