『週刊少年チャンピオン』2010年№44の感想
『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)2010年№44の感想を申します。ネタバレがありますので、ご注意ください。
『弱虫ペダル』(渡辺航)RIDE.129、前回はよくわからなかったのですが、御堂筋は太股のテーピングをはずした模様。そうやったことと、ライン直前で態勢を変えたことで・・・・勝利! 新開、敗北! こんなの、ありですか! 迫力のある絵ですが、すごいデフォルメですね。ジャンプ系が好きな女性には、きついかな。ふと、アニメ化されたら、おもしろいだろうな、と思ったのです。
『出陣!! ムショ高排球軍』(栗元健太郎)第10戦、絶望的かと思われましたが、第3セット、ついに1年が先取得点! でも、その作戦の詳細は次号に続くということで。この漫画、結構、「頭の中が真っ白になった」という表現であるらしい、白っぽい背景が見られますが、そんなに不快ではなく、さらっと読めます。今号の投稿作品、『MCニコ』とは、違うようです(また後ほど)。
『ハンザスカイ』(佐渡川準)第36話、半座の、後ろへ跳びながらの上段突きによって、時間ぎりぎりで逆転! 一勝! ところが、次鋒の野田は、あっさり瞬殺。勝利への道はなお遠いようです。ところで、このお話は王道みたいなスポーツ漫画ですけれども、敵側の木田も嫌味なく描かれていて、読む人にとっては、半座より、木田に感情移入するでしょう。この公平な力配分、勝負のリアリティーは、定番で常識でもあったはずなのに、最近では何だか忘れられているように感じられて、すごく新鮮です。猛省してくれ、マガジンの、名作の番外だか、スピンオフだかの野球漫画・・・・(私はコレで、少年マガジンを読むのをやめました)。
『シュガーレス』(細川雅巳)Vol.35、わぁ、トオル、想像以上に変! 3P目で、すでに岳へ、うれしそうに色目を使うし、岳がマリモに気を取られただけで、「どこ見てんだよ!」とキレる。ラスト近くでも、「他所見すんじゃねえっつの!!」と怒鳴っていましたが、あんたこそ、岳から目が離せないのだな。しかも、岳のワイシャツをめくり上げるや、連打ですと? 目隠しのつもりのでしょうが、本当はトオル、岳の素肌が見たかったのでは? トオルのこの執着は、腐女子仕様か? そして、岳の怒りと苛立ちは、トオルよりも、マリモに向けられているのが楽しいな。トオル、岳、マリモで三角関係が成立ですね。そして、岳はやっぱり、なぐられっ放しではありませんでした。でも、イケメンのくせに、トオルの足首に噛みつくのか・・・・。いや、もうツッコミどころが多すぎですので(うれしい悲鳴)、また来週。
『行徳魚屋浪漫 スーパーバイトJ』(沼田純)第19話、ずっと読み続けながら、初めてのレビューになります。わずか4Pだから、ささっと、無造作に読みすぎていたようですね。ごめんなさい。サブタイトルの「実録ほのぼのカニコーセン!!」が、ぴったりきています。ギャグなのですが、ありがちな過剰デフォルメはなく、むしろ、そのままシリアス系でもいけるような絵柄です。なんと言っても、登場人物達の表情描写の細かさ、多彩さは、トップレベルではないでしょうか。ワタシ的表情描写トップは、浦沢直樹さんですが、沼田純さんも加えることにいたします。しかも、2P目の、おじさんとキスしたり、互いにたわむれ合ったりするネコが、キャラクターグッズやイラスト入り葉書に転用できるのではないかと思うほどに、とてもかわいい。なのに、4P1コマ目、ヨシノさんのたるみきった腹の、リアルな見苦しさは、わが腹と重なり合うから、二度と見たくない・・・・。お話は、皆が、変わった人達について語り合うというものですが(考えてみると、非常にシンプルですね)、オチもまた定番というか王道というか! なのに、私は、しばらく笑いが止まりませんでした(最近、似たような体験をしていたせいもあります)。シュールそうでいて、強烈にリアル、のん気に笑っていたら、毒をのまされてしまった! というような、ハードビターでほのぼのとした、非現実的日常ギャグです。よし、将来、単行本になるよう、アンケートに書いて応援しますから、がんばってくださいね。
『MCニコ』(平山賢治)、第74回新人賞「佳作」受賞作品だそうですね。では、例によって、よくない点を申しましょう。画面が非常に白っぽく、ぺらぺらな感じがします。スクリーントーンを使用するとか、背景の書き込みが必要なのでは? 9P目の主人公アップの大ゴマ、効果線が雑で、上京してきた意気込みが伝わりませんよ。白いコマが頻出し、台詞も多い漫画として、私は咄嗟に、『西洋骨董洋菓子店』(よしながふみ)を思い出しましたが、あれは髪、表情、顔の影などを描いて、人物を重くしているからいいけれども、『MCニコ』は人物の描き方自体も、いっそう工夫しなくてはいけないように思います。
肝心なストーリーは、日本語ラップにこだわる少年が、MCニコと名乗って上京するものの、先輩はダメ男になっており、渋谷駅前で歌っても、反応は鈍い。MCニコは夢をあきらめて、サラリーマンになろうとしますが、先輩の一言で奮起し、フリースタイルで歌います。群衆にはさっぱりでしたが、本人のみならず、先輩、憎らしいDJの心までも揺さぶって・・・・というもの。黒人の上っ面だけを真似ていたMCニコが、普通の青年となって、先輩に食ってかかったり、くやし涙を流しながら訴えたりする、そんな一言一言に、私は結構、ジンときてしまいました。先輩との会話で、予備知識がない人にもラップが理解できるようにしてくれているのは、ありがたい読者サービスです。台詞とストーリーは、まず申し分ないでしょう。これで、魅力的な絵が描けたら、パワフルな臨場感が生まれるはず。ギャグでもシリアスでも、また新作を発表していただきたいです。それでは。
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