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2011年1月10日 (月)

『魔百合の恐怖報告 総集編 2010年冬の号』の感想

 去年の11月に発行された、雑誌『ほんとにあった怖い話』の特別版、『魔百合の恐怖報告 総集編 2010年冬の号』(朝日新聞出版)の感想を申します。ネタバレがありますので、ご注意ください。

 これは、描き下ろし『昇華する魂』の他、5編が、『魔百合の恐怖報告』(山本まゆり)、描き下ろし『古の境界線』の他、2編が『霊感お嬢 天宮視子』シリーズ(ひとみ翔)となっていて、実在霊能者の寺尾玲子および天宮視子の手がけた霊障事件の経緯について描かれています。さらに、各エピソードの間に、玲子さんと視っちゃんの、その後対談が載っていますから、なかなか興味深い。二人とも、霊能者なのですが、お茶目だし、好き嫌いもあるし、冗談も言います。本当の霊能者さんは、いかにもな怪しげな雰囲気の人物でなく、身近にいる気さくな人である方が信用できますね。
 私は再録されたエピソードは、大半読み終えたものでしたが、それでも改めて、一気に読むと、非常におもしろく感じられました。それでも、描き下ろしがもっとも強烈だったかな。
『昇華する魂』で、相談者は、左手指に無理に折り曲げられ、切断されるような激痛に悩まされていましたが、先祖がキリシタン迫害に関与していた、というもの。しかも、迫害された被害者だった人物も生まれ変わっており、相談者を苦しめていたそうです。激しく憎まれるようなことは、絶対にするべきではありませんし、死んでおしまいにはならないようです。ところで、相談者自身に罪がないとはいえ、自分の先祖のことを、玲子さんにたずねられるまで知らずにいました。明らかに、このケースは霊能者にやってもらわなくてはいけないことですね。
『幽界の牢獄』は、以前に読みました。自殺した友人を心配する相談者に対して、玲子さんは対談で、「自分のことだけでみんな大変なのに、何で他人のそんな困難を背負い込むかなと思うよ」と、批判しています。視っちゃんもまた、「他人事にかかわっていると、自分の問題を置き去りにできますからね」と。私もお節介なところはありますから、お二人の言葉が非常に痛いです。でも、こういうあてつけ自殺をするような友人みたいなタイプ、「私の辛さ苦しさをわかってよ。どうしてわかってくれないの。もっと、私の話を聞いてよ!」と、何かと、私が私がと言って不幸自慢をし、こちらの話は聞く耳持たない人が増えているように感じるのは、私だけでしょうか? うーむ、不幸を全面に出す人とは、極力、関わらない方がよさそうですね。
 視っちゃんのみならず、玲子さんも協力した、『古の境界線』。ある夫婦の住居兼工房を、視っちゃんは、住むのに不向きな地と指摘しますが、なかなか引越しできません。それから10年後、仕事に成功したのに、雇い入れた怪しげな事務の女が、会社の金を私用に使い、やめさせた時には莫大な退職金を払ったので、夫婦には、ほとんどたくわえなしで、逃げるように引越しました。視っちゃんと玲子さんは、元は古墳だった境界線を整え、古墳の主人に、夫婦が引越し先に住むことを許してもらって、ボヤなどが出ないようにしました。が、運が悪いと嘆く夫婦に対して、玲子さんは、「自分を守れるのは自分だけ」「もっとしっかりして!」と、事務の女の横暴を黙っていた二人の甘さを責め、また視っちゃんも、「『霊』や『場所』のせいにしたら 何も前に進まないよね」と、言います。さあ、胸を突くようなお言葉です。不運なことが続くと、運が悪いと嘆いたり、霊のしわざ、先祖の因縁と疑ったりしてしまうのは楽といえば、楽なのですよね。本当に、しっかりしなければいけないのは、私達自身なのですか。重くて心に響きますわ。単に、怖いお話だけに収まらないから、玲子さんと視っちゃんのお話はまさに魅力的です。次の新雑誌でも、彼女達の活躍が読み続けられますように。それでは。

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