『くのいち一年生』1ノ巻(原作:河田雄志 漫画:行徒 作画:行徒妹)の感想
『くのいち一年生』1ノ巻(原作:河田雄志 漫画:行徒 作画:行徒妹・双葉社)の感想を申します。いくらかのネタバレがありますので、ご注意ください。
久しぶりの四コマ漫画です。漫画アクションに連載されており、第一話である「くの1話」を除いては、毎度同じあおり文句? 冒頭文?(表紙にも挙げられています。だんだんと、面倒になりましたので、後半はほとんど読んでいません)、続いて2ページまでは、通常の漫画、残り2ページは四コマ漫画、たまにラストページが通常スタイルになります。ほぼ一話完結であったり、あるいは少年忍者VSくの一で演習をしたりするお話は、3話、連続していましたが、どこから読んでも、さほど不自由しませぬ。絵は冒頭は劇画っぽく、シリアス絵ですが、中味はゆるーいギャグです。
作画者様の名前を、私はずっと「ぎょういとこ」と誤読しておりました。すみませぬ。「ゆきと いもうと」と読むそうで、ヤングガンガンやヤングエースで連載されている、行徒(ゆきと)さんの妹さんです。今、応募者全員にテーマソングCDが当たるキャンペーンを実施中ですので、興味のある方はどうぞ。
内容は、個性的な(いや、はっきり申しておバカですが)少女達がくの一を目指して、きのこのこの里くの一学園にて、先生(ほぼ変態男)の厳しい指導を受け、互いに切磋琢磨しながら成長していく、戦国大河絵巻・・・・ギャグです。主人公は、ポニーテールっぽい髪型がかわいい、でも印象に乏しい少女、春先さなぎ。一見無害そうで、実はかなりの過激派、通称「メガネ」の、君嶋玉子(きみじま たまこ)。斜に構えてクールそうだけど、やはりおバカの、九条丈路(くじょう じょうろ)。縦巻ロールにリボン、金のかかった格好で、上から目線のバカお嬢様、禅条院バタフライ。無表情だけど、しゃべる時はしゃべる、やる時はやる、よくわからない、シャギー。え、「名前も設定もわけがわからない」ですか? ギャグですから、何でもありです。そして、彼女達の担任、真面目で熱心だけど、下ネタに走りがちの「先生」。
シリアス絵だけどギャグ、下ネタは私の大好きポイントですから、楽しませていただきました。特に、クールな九条と気取り屋の禅条院が敵対し合うのは、なかなかおもしろい。初めての実戦(商家に潜入→商品を盗む)なのに、少女達はまるっきり遠足気分で大失敗、先生はグレてしまう、という、くの21~23話が、もっともおもしろかったです。ページ数の割りに値段はお高めですが、キャラクター紹介、作者様のコメント、表紙カバー下には別のイラストが載っているなど、こった単行本だな、と思います。
ただ一つ、残念なのは、ゆるいのはいいし、この漫画の持ち味かもしれませぬ。しかし、もう一歩、忘れられないエピソード、強烈なキャラクターがいたら、もっとよいと思います。「シリアス絵でギャグ」という傾向は少ないですけれども、ないわけではありません。ここに、作者様独自のスパイスを効かせていただきたいです。さもないと、途中まで購入しながら、続きを買うのを忘れている、何冊かのもったいない本の一つになってしまいますから。3冊までは読みますので、がんばっていただきたいと思います。
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