『激マン!』(永井豪&ダイナミックプロ)3巻の感想
『激マン!』(永井豪&ダイナミックプロ 日本文芸社)3巻の感想を申します。いくらかのネタバレを含みますので、ご注意ください。
デビルマンの章、続行。『デビルマン』編は、シレーヌとの決着と、社会が徐々にデーモンに侵食されていく、地味に怖いエピソード。そして、ついに、今まで順調だった、ながい激にダメ出しをする者が出現! まるで、孤軍奮闘しながらも追い詰められていく、不動明の状況と連動するかのような大ピンチ!
・・・・と、見どころは、たっぷりなのですが、ワタシ的に、『激マン!』3巻は、シレーヌの、この台詞、あの表情(明かせませぬ。ご興味のある方は、購入してください)に尽きまする。
「よくも犯ったな デビルマン!」
「やったな」ではありません、「犯ったな」です。単行本では前者だと思いますが、『激マン!』では後者なのです。つまり、ながい激は、「オレ・・・・少年マンガ初のSEXシーン 描きたいんです!」と、編集に主張した際の(結局はボツになりましたが)、イメージシーンです。うむ、美しい高飛車女(悪魔だけど)と、野性味あふれる男(デビルマンだけど)との絡み、エロうございました。極上の読者サービス、ありがとうございます!
怒涛のシレーヌ編を終了後、ちょっと緊張が解けた後、『デビルマン』のアニメが終了するのだから、漫画本編も終わるよう、少年マンガ人の敏腕編集長、宮島から通告されます。必死で抗弁する、ながい激ですが、それでも宮島からは、2ヵ月半以内に終了させよという、妥協案しか導き出せませんでした。わずか2ヵ月半で、果たして『デビルマン』は、完結できるでしょうか。
3巻はここまで。実は、ワタシ的に永井豪作品のファーストインパクトとなった短編、『ススムちゃん大ショック』を『デビルマン』に組み込んだというエピソードも、印象的でした。やはり、タレちゃんの友達のススムは、あの「ススムちゃん」だったわけですね。これ、両親がデーモン化してしまい、他に誰もいない、助けてくれない、家庭という名の密室で、ススムは無残に食い殺されてしまうのですが、あの醜悪そのものの両親は、本当にデーモン? しつけという美名に隠れた虐待で、子ども達が死亡、というニュースが珍しくなくなった現在、絶望と恐怖に打ちひしがれた子ども達が見たものは、もはや親ではなく、怪物だったのでは? 無意識かもしれませんが、永井豪さんは時代を先取りしているな、と思います。
他にも、「秋山書店『冒険王子』の編集長 壁山鯛三』など、相変わらず、ファンの方は、ニヤリとしてしまう説明・台詞もあります。ながい激が幼少時に見た、恐ろしくも意味深な夢、『あしたのジョー』の真似をして遊んだり、シレーヌとカイムのやり取りに感情移入して泣いたりと、おもしろい! シレーヌの攻撃にさらされ、満身創痍のデビルマンという、名シーンの描き方も述べられています。
ただ、唯一いただけない点は、SEXシーンの代わりに、デビルマンとシレーヌの格闘になりますが、担当編集は、「充ww分エロイ!」と言い、ながい激は心中、(さらにSEXが入ると メチャクチャエロイんだけどなー」と思うわけですが、あの当時、「エロイ」という表現はなかったのでは? 「色っぽい」「エッチ」で充分でしょう。
それでも、私はひそかに期待していることがあります。当時、アニメの『デビルマン』は、『バビル2世』とほぼ同時期に放映されていたでしょう? ながい激=永井豪さんは、多忙のため、まったく影響されず、評判さえも見聞きされなかったのでしょうか? それはそれで、仕方ないと思いますが、もし、万一、仮に、ひょっとして、もしかすると・・・・後の名作の参考にされていたのなら・・・・読書好きの、しがない主婦1名が、本気で踊って喜びます。
さらに、脱線感想。永井豪さんと横山光輝さん、どちらもO型とお聞きしていますが、主人公の描き方、ストーリーの盛り上げ方、まったく異なりますよ。やっぱり、血液型性格判断は、あてにならないと、痛感いたしました。それでは。
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