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2011年7月 9日 (土)

『凍牌』12巻(完結)(志名坂高次)の感想

 漫画『凍牌』12巻(志名坂高次・秋田書店)の感想を申します。かなりのネタバレを含んでおりますので、ご注意ください。今回は完結しましたので、『凍牌』全体の感想もお伝えいたします。

 結末は、予想したとおりでしたが(まさか、大辻の勝利はあり得ないでしょう!)、それにしても、よくぞ盛り上げていただきました。おもしろかったです! 流血と激痛と、麻雀そのものが大嫌いという方でなければ、超お勧め。いやいや、私のような麻雀オンチでも楽しめます。 
 はい、感想終わり・・・・だったら、苦情まみれになりますね。いつものように、あらすじを、簡単に(これが一番難しい)申しましょう。

 Kは大辻に注意力を散漫にさせ、アイに振りこませます。しかも、アイの手は四暗刻! 本気になった大辻は、衆人環視、テレビカメラ付きの中で、牌のスリ替え、続いてリンシャンツモを行ないます。K、アイ、前川は振り込みを恐れて、自在に牌を捨てられなくなります。焦った前川は、大辻の専横を止めようと、あえてスリ替え=イカサマを仕掛けますが、Kが寸前で前川を制止します。こうして、Kは、前川のイカサマによる大会中止という、大辻のたくらみを阻止したのでしたが、前川はこの瞬間、勝負から降ります。
 牌に印をしていないかと、Kは様々に思考をめぐらせますが、新品の牌に交換しても、大辻の独走は止まりません。やがて、大辻はリンシャン牌を、わずかな重さの違いで判断していることに気づきますが、東3局5本場、大辻が勝てばもう追いつけないところにまで追い込まれます。ここで、Kはアイの牌および倍満を見逃し、ツモによる数え役満(リーチ リンシャンツモメンチン三暗刻ドラ3)で和了! 実は、Kは1回戦南1局から大辻の傾向と性格を分析し、牌を判断したのでした。
 動揺した大辻は、もう一度、スリ替えを試みるものの、失敗、罰符で8000点。Kがトップに躍り出た最終戦、大辻の無敗伝説が、単に自分より強い相手と闘わなかったからにすぎないと、Kは看破し、(死ね クソジジイ)と、別人のように冷酷な表情で勝ちを重ねていきます。ところが、オーラスで、最後の見せ場が! 大辻は大三元、アイは純正九蓮宝燈の大手となるものの、Kは、「僕はこの手で あなたを殺す」と告げてリーチし、国士13面待ち! 次に、大辻は、安全牌がなくなってしまいます。うろたえて、少年、畑山を殺した犯人を教えると、命乞いする大辻に、Kは、「命ごいより 早く牌を捨ててください」と、やはり冷たく言い切ります。たまらず、大辻が絶叫した瞬間、後ろから何者かが、彼の頭部をピストルで撃ち抜き、口を封じます。対面で即死した大辻を目の前にしながら、彼の捨てかけていた牌を認め、Kは「ロン 国士無双」と宣言。こうして、第27代竜鳳位戦は、Kの血みどろの優勝となったのでした。
 一方、勝負の模様は、アミナの病室のテレビでも観戦できましたが、それを見守っていたのは、Kに裏レート麻雀の道を勧めた、関(整形して、眼鏡なし)と、もう一人の前髪の長い青年。彼らはアミナを連れ出した模様? そして、高津も、(・・・・準備に入らにゃならんな)と、ひそかに薄笑いするのでした。

 展開は予想できたとはいえ、壮絶というか、凄絶と申しましょうか・・・・。きれいに終わるどころか、「これからも盛り上げるぞ!」と、期待できそうなスタイル。本当、ニクイですねえ。
 例によって、よくない点ですが、まあ、大半が私の麻雀オンチによるのですけれども、牌の予測、大辻の分析など、Kはいろいろ説明してくれていますが、よくわかりません、ごめんなさい。
 いただけないのは、そこくらいで、後は超オッケー! 自分の優位を確信するや、悪魔のような表情になっていくKは、まさに「氷のK」でした。あらすじでは省略しましたが、時々入る、優はかわいいです。アミナはさすがに病気療養中ですから、どよんとしていますけれども、連載初期より繊細になったように思います。作者様は、萌え絵が得意なのではないでしょうか? 逆に、アイは初登場頃の残忍怜悧な感じがなくなってしまい、少し残念です。

 同じことを申してすみませんが、よくぞ、麻雀をここまでおもしろく演出できるなあ、と感心してしまいます。ご都合主義のオンパレードになりそうなのに、いつの間にか、読者を夢中にしてしまう、作者様の手腕はお見事! としか言えませぬ。イカサマ、大金勝負、自分の体の一部を賭ける、激痛等不利な条件で闘う等々、カイジシリーズの他にも、麻雀やギャンブル漫画に描かれてきましたよね? 『凍牌』の持ち味は、それらに加えて、綿密でドラマチックな心理描写ではないでしょうか? 加えて、今までにない特徴は。

 通常、脇役か、せいぜいライバル程度にしか設定されないであろうKが、主人公であること。

 でしょう。以前にも申しましたが、表情も言動もダイナミックな堂嶋こそ、主人公にふさわしいタイプではないでしょうか。Kは美少年とはいえ、知性派でクール、表情も言動も抑え気味だし、麻雀以外、体力勝負では相手になりそうにないですし。ま、そんなKだからこそ、3巻で、むさ苦しい関に押さえつけられたり(3巻)、貧血と激痛でふらふらになっていたり(3巻、5巻、11巻)と痛々しくも、根性満点の姿。犯されて売春を強制されそう(2巻)、アイに指を切断されるかも(6巻)と、恐怖に打ち震える様子。また、上野、大辻などの卑劣な連中に憤激し、反攻していく(7巻、10~12巻)と、意外と見せ場、魅せシーンが多くて楽しい・・・・あっと、精神的鼻血が!
 一読しただけでは地味な印象は否定できませんが、読み続けると、Kの思考、手、ライバル達との駆け引きなど、のめりこんでしまいます! いくつかの伏線は、現在連載中の『凍牌 人柱篇』に引き継がれていきましたけれども、めったにない、麻雀漫画の名作といえるのではないでしょうか。もっと人気が出て、映像化されることを祈りながら、終わります。それでは、『人柱篇』に続きます(笑)。

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