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2011年7月11日 (月)

『ハカイジュウ』4巻(本田真吾)の感想

天使、「白崎直央」

 漫画『ハカイジュウ』4巻(本田真吾・秋田書店)の感想を申します。ネタバレが含まれていますから、ご注意ください。

 画像は、ラスト近くの、白崎です。台詞なし、効果音なしのこのシーンだけで、私は切なくなりました。ストーリーは1巻から変わらず、エグくて残酷です。絶望的ともいえるでしょう。しかしながら、私にとって、4巻は、この白崎の表情だけでも読む価値はあります。まさか、モンスターパニック漫画で泣かされるとは、想像もしませんでした。

 あらすじは、二機のヘリコプターが飛来し、武装した隊員達が物々しく降りてきます。やっと助けが来たと、陽(あきら)達は喜びますが、彼らは呼びかけをまったく無視して建物内に侵入。食人生物の「ムカデ」、ナナフシのようなもの、吹き出物(1巻にも登場し、4巻の表紙絵になっています。折り返しの作者の言葉によれば、「ゴーヤがモデル」だそうですが、エグくて斬新ですな)が襲ってきますが、隊員達は犠牲を出しながらも、どうにか倒していきます。が、村内は、隊員達が食人生物の幼生を殺さず、麻酔で眠らせて捕獲していることを察知しました。陽や田所、村重が詰め寄りますが、隊長達は、立川で起きた事件へ説明も、救助も拒絶。そうこうするうちに、多くの食人生物が襲撃してきたので、陽、白崎、村重は一機に、田所、村内、桜はもう一機のヘリコプターに分乗し、隊員達(“特殊生物対策部隊”というそうです)と一緒に、ようやく現場を逃れることになります。
 喜ぶ彼らですが、あの巨大な穴の上空まで来た時、そこからまた、とてつもなく巨大な目玉がのぞいているのを発見し、慄然とします。また、陽のヘリで、ナナフシが麻酔から目覚めて隊長を瞬殺し、さらには村重がそいつと戦って、もみ合ううちに、もろともに落下。それでも、立川を囲む溝近くまで到達するや、死んだように動かなかった超巨大タイプの食人生物が触手と、長く鋭い尾のようなもので来襲! 田所、村内、桜の乗ったヘリは、瞬時に寸断、爆発。陽達のヘリも、溝を越える寸前でプロペラを破壊されます。絶望的に、未来からもらったリストバンドを握り締める陽に対して、白崎も優しく手を添え、無言で涙を流します(画像はこのシーン)。場面は暗転し、大破したヘリの中から、無傷に近いムカデが、陽のリストバンドを踏みにじり、おぞましい姿を誇らしげに現したのでした。

 はさみこまれていた情報ペーパーによれば、4巻で立川編が完結だそうです。でも、単行本派の方々、このような結末を想像しましたか? 私は確かに仰天しましたし、筋を素直に追えば、むごいお話なのですけれども、先ほど申したとおり、白崎に泣かされました。彼女の恋はむくわれませんでしたが、それでも陽の苦悩と絶望をやわらげよう、慰めようとしていたのだと思います。
 白崎の純愛が輝く反面、今回はうっとうしい連中が多かった! 武重は完全に白崎フリークですし(あらすじで省略しましtが、ナナフシとの戦いは、かなり流血まみれで残酷です。ご注意を)、この極限状態で有頂天になっている村内は、狂人としか思えません。
 陽達の脱出は、失敗したのでしょうが、4巻は多くの謎を残してくれました。

1.政府公認の“特殊生物対策部隊”
 どうやら、政府は立川の異変を察知している模様。そして、隊員達もナナフシの素早い動きを予想した働きをしていました。

2.惨劇は、立川だけではない?
 あらすじで省略しましたが、ナナフシに絶命させられる寸前、隊長が言い残した言葉は非常に重要だと思われます。
「“溝(アンチウォール)”での立川隔離作戦は 成功するはずだった」
「“穴(デン)”の下のアレを発見するまでは・・・・」
「我々が手に入れたサンプル・・・・あれを研・・・ぎゅうずれ・・・ば」

4.いっそう深まった、食人生物の謎
 吹き出物とナナフシが殺し合う場面があり、異種同士は仲が悪いようです。
 まさか、巨大な穴は、巨大眼窩であろうとは、予期していませんでした。陽の感じたとおり、穴には既知の食人生物を越えた、とてつもない怪物がいる??

 それにしても、日本人ならびに世界中の人々の危機、重大な事件をひた隠しにする政府、自衛隊の特殊部隊のような隊員達、人智も想像も越えた恐ろしい存在と、偶然でしょうが、福島の原発事故を連想させるファクターが集まっていますね! 画力とイメージ、想像力(創造力でもありましょう)で、ここまで盛り上げ、読み手を引っ張っていくのは、すばらしいです! 精神的土下座!
 そういうわけで、謎の解釈とともに、人間の弱さはかなさ、加えて、ラストの白崎の純愛を存分に味わえる、傑作だと思います。5巻も楽しみですが、まったく予想できませぬ。きっと! 絶対! 購入しますよ。それでは。

参照

『ハカイジュウ』3巻(本田真吾)の感想

『ハカイジュウ』2巻(本田真吾)の感想

『ハカイジュウ』1巻(本田真吾)の感想

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