『行徳魚屋浪漫スーパーバイトJ』1巻(沼田純)の感想
漫画『行徳魚屋浪漫スーパーバイトJ』1巻(沼田純・秋田書店)の感想を申します。例によって、ネタバレが含まれているばかりでなく、今回は腐女子モードまで入っておりますので、どうぞご注意ください。
この『行徳魚屋浪漫スーパーバイトJ』は、週刊少年チャンピオンにて連載されていますし、検索しますと、たくさんの方々が感想をアップされておられて、定番人気ギャグのようですね。たぶん、私も一度はレビューしたかと思います。
主人公は、千葉県市川市行徳(ごめんなさい、私は関西人なので、どんなところかイメージできません)の、あるスーパー鮮魚部にて働くアルバイト青年、NJことヌマタくん。彼は漫画家で、要するに、作者様の日記漫画なのです。他の登場人物は、おばさんなのに、なぜだかかわいい、パート女性のササキさんとコジマさん。イケメン正社員で、厳しいけれども憎めない、イナゲ主任。先輩アルバイトのおじさんで、何気に性格が悪いヨシノさん。後輩のはずが、ヌマタくんより仕事のできる女性、ミツイシさん。この鮮魚部メンバーをメインに、店長(初代、二代目?)、スーパーの他部署の人々、困ったor愉快なお客さんなどが登場、活躍します。
たかが、実録日常ギャグ漫画と、あなどるなかれ。世界は小さい、はずなのに、無限大の広がりを感じさせる、不思議な魅力を持っています。理由は、恐らく、シンプルそうでいて、なかなか画力が高いからではないでしょうか(下の画像参照)。ギャグ漫画にありがちな、極端なデフォルメは、かえって少なく、いくつか描かれている「お魚屋さんのお魚図鑑」という魚解説、裏表紙や、「お品がき」という名の目次に描かれている魚は、とても細かくてリアルですよ。
そして、肝心な内容、なのですが、裏表紙の説明文「実録ほのぼのカニコーセン!!」「この仕事、楽じゃないけど嫌いじゃない!!」で、ほぼ言い尽くされているように思います。時給800円からアップしない、冬は手が凍える、ケガは多い、ヨシノさんに意地悪され、イナゲ主任に怒鳴られ・・・・と、辛いことは山のようにあるのに、ある瞬間、場面から、そんな人々、魚達(笑)から、おもしろネタ、笑いのタネがあふれてしまう、という、今までありそうでなかった、愉快、痛切、不可思議な、日常異次元ワールドが広がっていきます。読むほどに、鮮魚部アルバイター体験記の漫画というよりも、「私達の近くにも、こういう困った人がいるし、変に気をつかって、空回りして失敗することあるよね?」「あるある!」と、この漫画を多くの人に勧めて、お互いに盛り上がりたくなるのですよね。
そのようにして、35話が収録されていますけれども、第24、25話は異なっています。「スリースターズイベント」という、『シュガーレス』『ハンザスカイ』『ケルベロス』の3作品(漫画)の単行本発売記念イベントが行なわれた時のレポートです。ヌマタくんは、裏方で沢編集長や漫画家さん達と会う一方、ファンの一人として、当日の模様を描いています。ファンから差し入れをもらって、思わず「目からヌマタ汁が出ちゃった!」、ヌマタくんがけなげ。沢編集長、一見怖そうなのに、あがり症って、おもしろい人ですねえ。う、うらやましい・・・・。えーい、出版イベント、大阪や京都でもやってよ(逆ギレ)!
さて、次からは腐女子モード感想です。お嫌いな方は、スルーしてくださいね。
「画力が高い」と、私は申し上げましたが、この画像をごらんください。
第30話、イナゲ主任が舟盛りを作らされ続けて、包丁片手に、キレてしまった場面です。失礼ながら、ギャグ漫画とは思えないほどのイケメンぶり! 魚屋の格好をしていなければ、強敵に立ち向かう格闘漫画の主人公か、もしくは強敵自身のよう。女性客にもてそうなのに、子どものいたずらに怒鳴るような厳しい人柄ゆえか、彼女はいない感じ。仕事は熱心で、もちろんできます。隙がないかと思いきや、ウミヘビを前に、「か・・・・かっこいいから つい仕入れてしまった」と言いわけして、赤面する(第23話)など、妙にかわいい。ゆえに、私の腐女子アンテナが、かなりMAXまで及んでしまいました。
もうすぐ夏コミですが、イナゲ主任メインなら、女性向同人誌もアリかも?
だから、暴走した妄想です。 そういうわけで、この『行徳魚屋浪漫スーパーバイトJ』は、めでたく、寝る前に読む、ほのぼの楽しい本の仲間入りをしました。お勧めですよ。それでは。
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