『ベルセルク』1巻(三浦建太郎)の感想
漫画『ベルセルク』1巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。いくらかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
実は、私、長編の漫画や小説のレビューを、ずっとやりたかったのですよ。『ガラスの仮面』『土竜の唄』と、いろいろあるのですが、「ダークファンタジーといったら、『進撃の巨人』よりも、まずこちらでしょう!」というわけで、選びました。
1巻の初版は1990年12月1日、一昨日購入してきたのは、2011年1月15日、第93刷! では、『バビル2世』の単行本だったら、もっとすごい?
1巻は、「黒い剣士」「烙印」「欲望の守護天使(1)」で構成されています。内容は、唐突にギャグが入ることもありますが、基本はシリアス! 掲載誌が青年向けですから、エロ、グロ、残酷、激痛はしょっちゅう。ダークな内容ゆえ、後味の悪いエピソードも容赦なく載っています。ファンタジーは、ご都合主義だ、お子様向けだと思いこんでいた、私の偏見を、木っ端微塵に打ち砕いてもらえましたよ。
主人公は、「黒い剣士」ことガッツ。黒ずくめの格好で、右目はつぶれたように閉じられ、左腕は頑丈な鉄製の義手。いつも一人きりで、無愛想な青年ですが、何よりも彼の特徴を示しているのは、いつも背に負っている剣。「それは 剣と言うにはあまりにも大きすぎた/大きく ぶ厚く 重く そして大雑把すぎた それは 正に鉄塊だった」という、表現そのもの。ガッツは、たった一人の旅人っぽいのに、よくトラブルに巻きこまれては、その剣をふるい、甲冑ごと兵士を両断する、恐ろしい強さを表します。しかも、彼を襲うのは、兵士達ばかりでなく、悪霊、夢魔(インキュバス)のような魔物までが群がってきます。どうやら、魔物は、ガッツの首の右後ろにある、「烙印」に惹かれるらしい。ガッツの目的は、ゴッド・ハンドを見つけ出すこと? 何気なく出会ってしまった、エルフのパックは、ガッツが「使徒」と呼ぶ、人間の顔をはりつけたような異様に巨大な魔物を、平然と倒すのを見て、「・・・・狂戦士(ベルセルク)・・・・」と、つぶやくのでした。
そして、ある伯爵が治める地では、邪教徒狩りが盛んに行なわれていました。またしても、ガッツは邪教徒として逮捕されそうになりますが、ある不気味な男に導かれて、その場を立ち去ります。その男は自分の研究室のような所へ連れて行き、伯爵によって、両足、右目と鼻を失ったと告げます。さらに、男は隠し扉の奥から、目鼻口を無茶苦茶な位置につけたかのような、奇妙なものを見せるのでした。
1巻はここまで。私は一応、『ベルセルク』は35巻まで読んでいましたが、それにしても。
初期のガッツは、かなり、ガツガツしていたのですね。魔物や使徒だけでなく、兵士まで切りまくる恐ろしいやつだったとは、すっかり忘れていましたよ。いたずらに強調こそしていませんが、すでに内臓がぶちまけられ、目玉も飛び出していますね。グロが苦手な方は、注意なさった方がいいですよ。
時代は、騎士が登場するあたり、中世なのかな? 魔女狩りっぽい邪教徒狩りが、後半に現われてきます。騎士道や甲冑にくわしくない私ですが、とても臨場感があって、作者様の画力の高さに感心してしまいましたよ(最新版になるほど、いっそう画力がアップしていきます)。ファンタジー好きのみならず、ヨーロッパ史ファンの方も楽しめるのではないでしょうか。さあ、次は2巻の感想。お気長にお待ちください。それでは。
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