『激マン!』4巻(永井豪&ダイナミックプロ)の感想
漫画『激マン!』4巻(永井豪&ダイナミックプロ・に本文芸社)の感想を申します。いくらかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
「デビルマンの章」続行! そして、5巻にも続く! 今回は、主人公ながい激や編集者達の動向よりも、フィクション部の『デビルマン』の方が、よくも悪くも強烈でした。
その『デビルマン』の方のあらすじは、いよいよ、デーモン軍団の総攻撃開始! 最初、デーモンは、理性を持ったままの人間に、無差別合体を行ないます。そして、両者の肉体が拒否反応を起こし、人間は化物に変貌して、両者が死に至るという、一人一殺の非効率なものでしたが、飛鳥了は、今にも合体されて化物の死体と化して死ぬかもしれないから、恐ろしくてたまらない、と、一人の人間としての心情を告白。悪魔は人間の弱点、「恐怖」を突いてきたわけでした。明は反論するものの、ロシアが悪魔殲滅のために、自国領内に水爆を投下したとのニュースが! その一方、無差別合体によって、デビルマンが増えつつあることに、明は希望を見出すのですが、デーモン側の攻勢は素早く、悪魔王ゼノンが出現して、全世界に宣戦布告。五分後、悪魔の大群が各都市を襲撃、多大の犠牲が出ます。見かねて、明はデビルマンとなって、デーモンと戦いますが、折りしも、ロシア首脳になったデーモンの陰謀で、第三次世界大戦が始まろうとしていました。
主人公のお話は、『デビルマン』に全力集中すべく、ながい激は、秋山書店の少年チャンポンに連載されていた、『あばしり一家』を終了させます。アニメの『デビルマン』の脚本家、辻真先の仕事の速さと能力の高さに感心する一方、編集者と話し合いながら、漫画の方を盛り立てる工夫をあれこれと行ないます。そのため、デビルマンが華々しくデーモンと戦うページを破り捨て、『デビルマン』が未来への警鐘となりうる作品であり、「この作品をキッチリ描くことが 未来の日本を救うことになる気がしてきたんです!」と言って、連載のさらなる延長を求めますが、どうなるのでしょうか。
『デビルマン』パートが、派手すぎましたかね? ちと、ながい激の思想、編集者達との交流が、あっさりめであったように思います。それはいい。迫力は充分ですから。怖いものがお嫌いな方は、少し気をつけた方がいいでしょう。
ただ、ワタシ的に違和感を持ったのが、ロシアという名称。『デビルマン』発表当時は、ソ連だったのでは? それと、悪魔王ゼノンが登場した際、了は明に、携帯電話で伝え、また了の周囲の人々も、ゼノンを写メしていましたよ。あれ? 『激マン!』の『デビルマン』は、現代のお話なのでしょうか? ここは古式ゆかしく、黒電話で会話してほしかったです。
それから、了はクールそうでいながら、明の肩にすがって話しかけたり、明の前に立ちふさがってなぐられたりと、何気にスキンシップが多いですな。金髪色白VS黒髪色黒? では、どうしたって、『ベルセルク』のグリフィスとガッツを連想してしまいますよ(わからない方は、スルーしてください)。いや、少なくとも、『デビルマン』に登場するデーモンは、人体に動物や怪物のパーツをくっつけたようなのですが、『ベルセルク』は、グロテスクな怪物に、人面をプラスして表現されているように見えます。いずれにせよ、どちらもおもしろい、グロい、怖いですね。
出てきましたよ、秋山書店の名物編集長、壁山鯛三! 秋田書店ファンの方は、思わず、クスリと笑ってしまうでしょうね。まるで、編集長というよりは、大柄な極道のように描かれています。
さらに、ながい激が、デーモン無差別合体の恐怖シーンを、「駅とか町中で 次々と人が倒れるイメージが 頭に浮かんだんです・・・・(中略)これは使えるかなと・・・・ 原因不明で人が次々と倒れるって ショッキングだから これをデーモン化しようと・・・・」と、編集者に説明していますが、これって、地下鉄サリン事件? 作者様はこの凄惨な出来事を、予知夢か何かで見たのでしょうかね? そう言えば、永井豪さんの自伝的な記事に、いろいろとスピリチュアルな体験をしたと、述べられていましたが、偶然? それとも、超常能力?
さて、ながい激は、未来の日本の危機を『デビルマン』に託して、描ききれるのでしょうか。次回から、いよいよ凄惨さを増すストーリーも楽しみです。それでは。
参照
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