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2011年10月 2日 (日)

『ベルセルク』3巻(三浦建太郎)の感想

 漫画『ベルセルク』3巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが多めですから、ご注意ください。
 最新の36巻ではなく、3巻なのですが(え、「遅いっ!」ですか。ごめんなさい)、これは反則でしょう。たった3巻目なのに、こんなにおもしろいなんて、すごっ! これは、来年に公開される映画を見に行かなくてはね。
 3巻は「欲望の守護天使(4)(5)(6)」終了。「黄金時代(1)」から、ガッツの半生が語られます。

 巨大ナメクジ型使徒と化した伯爵とガッツの争いは、伯爵の娘、テレジアがその場へやって来たことで攻守逆転。脅えるテレジアと、動揺する伯爵。その隙を突いて、ガッツはテレジアを人質に取り(おいおい!)、身動きできなくなった伯爵の頭部を切り落とします。首だけになりながらも、驚異的生命力で生きる伯爵は、死にたくないと願い、その激しい欲望にベヘリットが共鳴。でたらめな位置にあった目鼻口が、人の顔の形になり、血の涙を流しながら絶叫して、異次元空間が開き、5人のゴッド・ハンドが登場します。
 3巻で名前が判明しているゴッド・ハンドは、常時目を閉じ、脳髄を露出させた骸骨のような男で、「天使長 ボイド」。もう一人は、鳥を連想させるような甲冑をまとった、「闇の翼 フェムト」。このフェムトを、ガッツは、「グリフィス!」と呼んで、激しい憎悪と憤激を示して、何度も斬りかかるものの、フェムトは目に見えない力ではね返すため、手も足も出ないばかりか、さらにダメージを負って倒れます。フェムト=グリフィスは、かつて、ガッツと強い信頼で結ばれていた仲間だったようですが、グリフィスが裏切り、しかも、ガッツの首筋に生贄の烙印を刻んだ張本人らしい?
 思いがけず、危機を脱した伯爵は、自らを延命させる降魔の儀に際し、生贄にガッツをと望みますが、ゴッド・ハンド達は、ガッツはすでに生け贄であり、伯爵の単なる敵にすぎない、もっとも大切な人物、心の一部でなければ価値がないと言い、テレジアを要求します。加えて、ゴッド・ハンドは、テレジアの目の前で、伯爵が使徒になった本当の理由、邪教徒の妻を生贄に捧げたことを暴露するのでした。もし、テレジアの生贄を拒むのならば、伯爵は間もなく死に、その魂は地獄の闇のるつぼを永遠にさまよう運命に。伯爵はテレジアの涙を見て、「捧げる」の一言が言えず、ボイドは、「因果律の糸は断たれた」と言い放ちます。たちまち、数知れない地獄の亡者が出現して、テレジアの悲鳴も空しく、伯爵の魂は連れ去られてしまいます。屋敷も半ば以上崩壊し、呆然とするテレジアに、ガッツは、「じゃあ 死ねよ」と言いますが、彼女は生きる道を選びます。激しく憎まれ、ののしられて立ち去るガッツですが、パックはその瞳に涙が宿っていることを見逃しませんでした。
 次に、「黄金時代(1)」では、大勢が首を吊るされた大木の根元に、奇跡的に生れ落ちていた男の子を、傭兵団長ガンビーノが発見し、情婦のシスが拾う場面から始まります。その子はガッツと名づけられ、3年後にシスがペストで死亡してから、傭兵として過酷な訓練を受けながら育ちます。ガッツはめきめきと腕をあげ、10歳前には最初の敵を倒すまでに。しかし、一人になってから、初めて犯した殺人の恐怖に震えるガッツの天幕の中へ、ガンビーノの知り合い、ドノバンが押し入ってきて・・・・。

 見どころが多すぎて、まとめにくーい(うれしい悲鳴)。興味のある方は、単行本を購入してお読みください。
 ベヘリットのポイント、ゴッド・ハンドなるもの、ガッツが彼らを追う理由と、重要な伏線の大半が明かされたように思います。エッシャーのだまし絵みたいな異次元空間、後半の黄金時代の、傭兵達の様子など、とても言葉で伝えきれませぬ。興味のある方は、ぜひ、単行本(しつこいので、自主省略)。
 私としては、傭兵というものが、どうもイメージできなかったのですが、この『ベルセルク』3巻で少しわかりましたよ。雇い主らしい人物が、計算や記録を取っていたり、天幕のまわりで賭け事をしたり、娼婦らしい女の姿もちらほら見え、物語の背景を、背景だけでは惜しいほどに、すばらしく飾って、盛り上げています。特に、これから始まる黄金時代篇は、ヨーロッパ中世史を知りたい方にもお勧めです。
 さて、今回のガッツには参りました! 正義の味方でありながら、性格の悪さはトップクラスではないかと、思います。たとえば、下の場面は、伯爵の頭を落とした後、テレジアの前で、「鼻が高いな 伯爵/かわいい我が子に 自慢の姿を拝んでもらえて」などと言った後、短刀でめった刺しにするところ。

恐怖の極悪主人公・・・・

 何だか、『デビルマン』(永井豪)の主人公、不動明と、似ているのですけど? 作者様はもしかして、デビルマンをリスペクトされているのでしょうか。他にも、幼いテレジアに対して、ずっと冷ややか態度を取り続け、落ちかけた彼女を助ける時も、あの大剣を差し伸べたのですから、もう彼女の両手は傷だらけ。これほど冷たい主人公も珍しいでしょう。
 もっとも、私は、『ゲド戦記』のアーシュラ・K・ル=グインと同じ考えで、今までのファンタジーにありがちだった、登場人物が白人さんばかり、という風潮が嫌いでしたから、『ベルセルク』はかなり好感を持っています。ガッツはもちろん、ヒロイン(名前は秘密)も、浅黒い髪と瞳の持ち主ですからね。主人公のくせに、もっとも主人公らしくないガッツが、どのように丸くなっていくのか、これからも楽しみです。それでは。

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