2012年NHK大河ドラマ『平清盛』第二十二回の感想
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第二十一回では、自己嫌悪してしまうほど、私はひどく批難していましたが、今回は非常によかったです。身内が敵味方に分かれたのですから、当然ですが、勝った! と浮かれるどころか、清盛達にとっては、激痛をともなう勝利といえましょうか。
負けた上に、家来は逃げ出し、すぐに出家をしたくとも剃刀はなしと、自らの不運を嘆く崇徳上皇。この人は決して脆弱ではないのですが、今のところ、出生の事情(これは本人のせいではないから、お気の毒としか言いようがありません)と、決断のタイミングが今一歩のように思われます。この不運な敗北者が、後にとんでもないことになっていくのですか(物語展開に関わるため、自主規制)。その経緯の描かれ方に、注目したいです。
清盛と義朝、勝ち組武士の、和気藹々、ほのぼのムードは、心なごむと言いましょうか、それとも、笑えると言いましょうか。ライバル同士というよりも、別々の一族ながらも、立場が似通った、親友同士のようです。親友萌えの腐女子の方々には、好評だったかも。それが、あれやこれやがあって、不倶戴天の敵同士になるわけですよね。運命って、皮肉なものです。
もっとも印象に残ったのは、左大臣、藤原頼長の死亡。深手を負って、父の忠実の元へ逃れますが、忠実は屋敷の門を開かせません。頼長は絶望し、舌を噛み切って憤死。ここまでは、歴史秘話ヒストリアの感想で書いたとおりの流れなのですが、翌朝、頼長の飼っていたオウムがひん死の状態で忠実の前に現れ、「父上、父上」と鳴いて息絶え、忠実は鳥を抱きしめて号泣します。ちょっと、私も目がうるんでしまいましたよ。頼長が救われたとはいえませんが、忠実も人間らしさがあって、安心しました。要するに、貴族社会、藤原摂関家なんて、非人間的システムなのですね。忠実が冷酷というより、頼長同様、家格や名誉というものに押し潰された、哀れな犠牲者の一人だったかもしれません。
さあ、次は清盛が、叔父の忠正を斬首しなければならないですと? この巧みな心理描写が続いてくれればいいのですが。『平清盛』はもしかして、合戦よりも、心情を描くことの方が見事なのでしょうか。ま、次回も楽しみです。それでは。
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コメント
こんばんは。
この回と(フライングかもですが)次の回は、
「息詰まるほどの圧巻なシーン」の連続で、見応えがあると言うか、
泣けてドラマの後、何かを持っていかれたような状態でした。
そもそも『戦』とは悲惨なものですが、
それでも『戦闘の最中』は興奮状態で、ある意味で感情や思考の一部が麻痺していて。
「むしろ、終わった後に現実を次々と理解して
哀しみが押し寄せるものなのだ」と感じさせられた内容でした。
(前回で最初に討死した家臣を清盛が悼んでいたり、正清が泣いていたり…。)
敗者達が悲劇的なのはもちろんですが、勝った側すらも
「身内を処断する運命が待っている」平家と源氏。
長い間、不遇で省みられなかったからか
『世の上に立ち、自分の運命が世の流れも変える』ことに
生きる快感を覚えゾクゾクすると言ってのける『毒の巣・後白河帝』のような人でなければ
生きづらかったのではと。
「これはドラマではあるけど、
それでも後白河帝が後に天皇になった息子達より長生きしたのが、
なんとなくわかった」気がしました…。
投稿: 天里友香 | 2012年6月12日 (火) 21時21分
コメント、ありがとうございます。
職場の資料作成のため、返信が遅れてすみません。
実は、第二十三回の感想で申したとおり、私は清盛の苦悩に{?」だったため、源氏の方で感動してしまいましたよ。
戦国時代は集団戦がメインでしたから、どんな激戦でも、兵士達は割とクールでいられますけれども、武士の台頭してくるこの時代、主人と家来と言っても、情が厚いようですね。
少なくとも、子どもは巻き添えにしないでほしいのですが・・・・無理でしょうか。
第どん底の心境にある、清盛、義朝の奮起を期待したいところです。
投稿: 紅林真緒 | 2012年6月14日 (木) 16時00分