『報道ギャングABSURD(アブサード)!』3巻(米原秀幸)の感想
漫画『報道ギャングABSURD(アブサード)!』3巻(米原秀幸・秋田書店)の感想を申します。いくらかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
3巻は、CHAPTER.13~18までの6編が掲載されています。今年は多忙につき、私はCHAPTER.17と18を読んでおりませんでした。ごめんなさい! 中味自体も、プレイコミックを購読していても十二分におもしろ、ハラハラ、ドキドキできます。それにしても、何度も申しますが、主人公の四郎は今時珍しく、ストイックですな。サカキが美女達と遊んでいますけどね(CHAPTER.17。孤独な悪魔か、あるいは、リーサル・ウェポンか。「サイコ」の続きです)報道舞台のハードボイルド・ロマンといえましょうか。
中味というかあらすじは、2巻の続き、長兄の宗一を助けようとした四郎が、逆に暴力団事務所で捕らわれの身となって、大ピンチ! というお話の締めくくり。町の殺し屋さんこと、弐乃学(にだい まなぶ)が活躍するエピソード、サイコのこと、4巻に続くのは、オヤジボクサー、赤城直巳のお話。3巻の表紙自体、意味深な微笑を浮かべて、ピストルを構える弐乃ですから、3巻はほぼ弐乃ストーリーと見なしていいかもしれません。
そう、弐乃は四郎にまさるとも劣らない、強烈な存在感の男です。名刺にある「町の殺し屋さん」にふさわしく(?)、大阪人らしい愛想のよさ、ノリのよさ、軽妙な話術、笑顔で依頼人に応対しますが、彼のルールに反した者は、依頼人であろうとも、即殺します。もちろん、殺しのテクも半端ではありません。そんな弐乃が、四郎と知り合って意気投合しますが、依頼された報道被害の犯人は、アブサード→四郎だと察知して(バラしたのは、三上礼次。フリージャーナリストに、ギタリスト、殺し屋、ボクサー・・・・『ウダウダやってるヒマはねェ!』コネクション、すごすぎです)、四郎は、知らぬ間に殺されかけてしまうのです。金もうけ一辺倒ではない、明るく笑いかける、悪魔のような武装天使、弐乃。また登場してほしいです。お願い!
3巻の締めくくりともなる、赤城直巳は華々しいデビューを飾りながらも、体の故障であっさり引退しますが、この度、ボクサーとして再スタート。でも、負ければ、即引退。ちょっと気の強くて怖い妻と、かわいい娘がいて、日々の生活も平和で幸せ、むしろ、体力的に限界に近い彼が、再びリングに立つのはなぜ? 過去の姿を除いて、冒頭からずっと、草食系の穏やかで優しそうなオジサンというイメージだったのが、相手ボクサーからダウンを食らって立ち上がった瞬間、赤城の心に何かがよみがえりました。おもしろくないと、帰りかけていた四郎を、再び引き寄せるほど、その表情は若かりし頃のふてぶてしさと、貪欲さが、にじみ出ています。四郎、「勇姿なら・・・撮る価値はある」。しかし、勝負は甘くはないぞ。次はどうなる? と、いいところで3巻終了。この引きのうまさも憎いですが、復活した赤城の表情は必見です。これぞ、男の美学、戦う人間の生き様というやつでしょうか。4巻が楽しみです。それでは。
(参照)『報道ギャングABSURD(アブサード)!』2巻(米原秀幸)の感想
『報道ギャングABSURD(アブサード)!』1巻(米原秀幸)の感想
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コメント
初めまして 検索からやってきました
まとめ方上手ですね
いくら手榴弾を人の口の中に入れるような男とはいえ
弐乃が殺し屋になっててちょっと驚きでした
だけど砂浜での来夢の涙があるから
弐乃が殺し屋になったのも
この先理由が明らかになっていきそうですね
一緒に3人で一攫千金で世界回りに行った
あの楓の名前すら出ないのもおかしいですし…
とここまで書いて…他の感想を読んだのですが
管理人さん「ウダヒマ」読んでないんですね…
報道ギャングはウダヒマファンにとっては
夢の続編のようなものなので絶対読んでほしいです
(学生の頃の四朗は小生意気なブラコンで
他のキャラ達がへっぴり腰になるほど
100%勝てもしないような相手のところに
一人で乗り込むような根性座った奴でしたよ)
(その四朗の目付役を礼二に任されたのに
見捨てて逃げたのがJソン…)
ボクサー赤城の嫁さんの怖さも
女性なのにどうして夫より気合入ってるのかも
ウダヒマを読むと更に面白味が増すと思うので
是非是非読んで下さい
知る人ぞ知る名作漫画ですので
では長々とコメント失礼しました
投稿: ABS | 2012年9月20日 (木) 05時52分
ABS様、ご訪問&コメント、どうもありがとうございました。
それでいながら、こんなに遅いコメントになって、すみません。突発的に忙しくなるヤツなので、お許しください。
ウダヒマに関する、なかなかおもしろそうなエピソードも、ありがとうございます。
アブサードにはまっているなら、ウダヒマを読むべきですか? そうなのですね! がんばってみます。
ただ、未読の漫画全集が、『夢喰見聞』『HELLSING』『ベルセルク』と山積み状態ですから、これらを片付けて(読了、そしてこちらへレビュー)してから、ウダヒマワールドを楽しませていただきます。
投稿: 紅林真緒 | 2012年9月22日 (土) 00時52分