『めしバカ』(ロドリゲス井之介)の感想
コンビニ専用本『めしバカ』(ロドリゲス井之介・秋田書店)の感想を申します。いくらかのネタバレを含んでいますので、ご注意ください。
ストーリーは、とてもシンプル。目立たない、食品メーカー主任で独身の赤松旬太郎35歳が、ストレスの多い日々の生活や職場の面々に翻弄されながらも、簡単でおいしい激ウマレシピを紹介していく、というもの。表紙に印刷された宣伝文句が、「激ウマ!!チョイ足し一人飯!!」「自炊男子の家呑み一人飯!!」「身近な/既製品をチョイ足し/一手間で激ウマ/ご飯の出来上がり!!」というものですから、ほぼ紹介され尽くしていますね。
そういうわけで、例によって、マイナスポイントから申し上げますが、ほぼ一話完結(全部で、22食というか、22品紹介)ながらも、ストーリーに深みや奥行きがなく、気軽に読めるっちゃあ読めるのですが、ふわふわ、ぷかぷかに軽い! 登場人物の愛憎関係、素材に秘められた歴史なんて、ありません。これは、世間で有名な、格調高いグルメ漫画ではないのですよ。ひたすら、主人公、赤松が、珍妙なポーズで、「うっみゃあぁぁい!」と、毎回叫んでいる、シンプルなお話です。うーん、あまり上品とは言えませんなあ。それと、私だけかもしれないのですが、レシピや料理の魅力を説明している際の赤松の台詞が、突然、ていねい語に変わる点、違和感があるのです。
しかし、それらの点をスルーしてしまえば、実においしそうなグルメ漫画と言えましょう。何たって、身近でリーズナブル(たまに高級品もあり)な素材や加工品で、さほど手をかけずに、素早く、いかにも美味そうな一品ができてしまうのですから! 自炊男子でなくとも、お料理好き、おいしいもの好きの方ならば、文字通り、食指が動いてしまうに違いありません。
実は、自他共に認める料理下手の私が、大いに助かっているくらいなのです。料理というと、包丁やおろし金、油など危ないものだらけ、レシピ本は、何が大さじ一杯だとか、やたら細かくてうっとうしいし、料理の時も食べ終えた後片付けも、ものすごい手間! なので、私は料理がいやでなりませんでした。ところが、『めしバカ』を読んで、素材や調味料は好きな分量でいいとわかったし、刻んだしそやねぎ、調味料など、大切なのは、「ほんの一手間かける」ということなのです! おかげさまで、私は目からウロコが落ちた気分で、紹介されているレシピを、いろいろと試して、おいしいおいしいと、喜んでおります。
もちろん、今まで『プレイコミック』の感想と一緒にご紹介してきたかと思いますが、まとめて読むと、さらにわかりやすく、印象的なのです。これが、単行本の強みなのでしょうね。その上、連載中にあったレシピの間に、同じ素材を使った、これまた簡単な一品が、十品目も紹介されています。たとえば、「その①ミートボール ソース味」「「その②焼きコンビーフ」「その⑧柚子こしょう焼き鳥」など。だから、おいしいもの好きの方は、即行でゲットしましょう。
最後に、私は下戸なのですが、赤松が美味な一品とともに、キンキンに冷えたビール、日本酒などを味わっている時の満ち足りた表情は、お酒好きの方は大いにうなずける・・・・というより、のどが鳴るかもしれません。極上の肴と酒は、人生の喜びなのですね。リアルタイムで『めしバカ』を読みたい方は、雑誌、プレイコミックを購入してみてください。それでは。
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