『信長の忍び』6巻(重野なおき・白泉社)の感想
漫画『信長の忍び』6巻(重野なおき・白泉社)の感想を申します。いくらかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
6巻は表紙こそ、のんびりしていますが、今まで発行された中で、もっともハードかつシビアな展開が待っていました。何よりも、織田家の重臣、準レギュラーキャラクターといってもいい、攻めの三左こと森可成が、悲惨な討ち死にを遂げたからです。戦国四コマとはいえ、ギャグメインで、ゆるい感じもあるのに、森が信長に対する信頼と、未来の栄光を叫ぶ場面(100 受け継ぐ者たち)では、私さえも、うるっとしてしまいました。
簡単なあらすじを申しますと、本願寺顕如の攻撃により、織田軍は6つの負の連鎖に見舞われます。具体的には。
①三好三人衆侵攻→本願寺挙兵
②雑賀衆 本願寺軍に全面協力(鉄砲攻撃のプロたる傭兵集団、雑賀孫市、岡吉正が織田軍を襲撃するわけです)
③浅井・朝倉軍 京へ侵攻(これを防ぎ足止めさせようとして、森可成が討ち死にします)
④比叡山延暦寺の敵対
⑤一向宗門徒の力を借り 六角承禎挙兵(一番大したことなかったけど)
⑥長島願証寺挙兵
こうやって箇条書きにすると、「うわっ、ややこしい」という感じなのですが、実にわかりやすく描かれています。お見事! この負の連鎖で、森の他にも重臣、信長の弟達が相次いで命を落としてしまい、織田軍および信長は玉砕覚悟の攻撃しか、選択肢がないと思われます。が、信長は将軍のつてを利用して、思いがけない一手を打って出たのでした。そして、ひどいダメージを負いながらも、織田軍は岐阜へ帰還。信長に命じられて、千鳥は近江で戦う、木下秀吉軍の元へ。浅井家の重臣、磯野員昌は降伏させたものの、浅井軍は一向宗門徒の力を借りて10,000の大軍で攻め立ててきます。一方、横山城にある秀吉軍は竹中半兵衛、丹羽長秀、千鳥がいるとはいえ、わずか2,000。さあ、この圧倒的不利を挽回し、織田軍は起死回生ができるのでしょうか?
相変わらず、ものすごくいいところで終わっています。スルーしましたが、顕如と如春のラブラブぶり、岡吉正の鉄砲偏愛(96 必勝仕事人)、共闘しながらも好対照な浅井長政と朝倉義景など、笑いのツボまみれです。本当に、寝る前に読まない方がいいですよ。さらに、通勤等の移動中に読むのもありですが、吹き出してしまわないように、注意してくださいね。
でも、私としては、やはり、森可成の戦いと討ち死にがもっとも印象に残りました。千鳥とのやり取り、個性的すぎる森家の面々(凶暴な長可に、利発でかわいい蘭丸)など、笑いどころを押さえながらも、可成の、パワフルで壮絶な最期を描ききった作者様の力量には脱帽です。
それから、5巻で正体不明だった謎の人物の、性別は判明しました。ナイスバディの美女だそうで、如春ではありません(105 負けるが勝ち)。モノローグからして、彼女の主人は、有名なあの軍師ではないかと、私は思います。
日本史オンチな私でも、信長の悪名高い所業については知っております。だから、大嫌いだったのですが、この6巻でそうせずにはいられなかった理由がわかりました。この漫画のように、日本史がわかりやすく表現されていれば、勉強もおもしろいでしょう。小学生の子供達にもお勧めです。次も買いますとも! それでは。
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