『魔百合の恐怖報告 寺尾玲子セレクション』(山本まゆり・朝日新聞出版社)の感想
厚めのコンビニ本『魔百合の恐怖報告 寺尾玲子セレクション』(山本まゆり・朝日新聞出版社)の感想を申します。いくらかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
実在霊能者、寺尾玲子さんのシリーズから8本と玲子さん自身のインタビュー形式の開設、作者様の書き下ろしまで収録された、500ページ近い本です。怖い、リアル、でも興味深い、時には胸がジンとする・・・・と、この人気シリーズの魅力を味わうにはベストではないでしょうか。
『死神の指輪』死後にその恐ろしい本質が露見する、親友ですか。自業自得と言い切る、玲子さんの発言で、相談者は救われたかもしれません。一方、その死者のみがつけられる指輪、親友の送られた先って、何なのでしょうかね。
『鬼門上の亡者』山本まゆりさんの見た夢が、怖いですなあ。玲子さんに影響を受けて、冷感が鋭くなるのかな。欲に目がくらんだ人間と、鬼門、住んではいけない場所と、この三つが重なると、大変なことになるようで。
『堕ちた聖者』収録作品の中で、もっとも大変だったような相談例です。除霊に一体何十万円って、とんでもない欲得ずくの霊能者もいたものです。しかも、効果がないのだから、詐欺師だな。弱っている相談者に、偽の観音などが惑わすし、玲子さんもなかなか苦労していました。締めくくりに、霊に関心を持たない、無視をするというアドバイスが、非常に納得がいきます。一連のお話を読むと、大昔の異国での恐怖体験を、現世で浄化したかのような、スケールの大きい歴史物語にも感じられました。
『幽界の牢獄』身勝手な存在に対しては、玲子さん、恐ろしく厳しくなります。相談者様、ちとお人よしすぎでは? でも、最近、この大元のやっかいな連中が、増えてきたように思われます。
『小さな霊媒師』問題を抱えているのが、子供というのは、また難しそうなのですが、玲子さんの手際はお見事です。玲子さんの、お母さんへの助言には感動しました。寂しさ、孤独というのは、想像以上に辛いことのようです。
『彼の分身』コックリさん、怖い! 私も中学2年の頃にひどい目にあったのを、まざまざと思い出しました。はまっている人、やろうとしている人、やめておいた方がいいですよ。
『父からの警告』最初の心霊写真には、仰天しました。土地の問題に、狂信的な祖母、宗教と、作品群でもひどく複雑な霊障でしたが、のん気な相談者に一番の問題があるのでは?
『星になった少年』亡くなった身内からの言葉を伝える、三つのお話です。お盆が近いですが、私達は何も感じなくても、大切な人達から守られているなと、しみじみ感動いたしました。
『つながった絆』こちらは、山本まゆりさんの描き下ろし心霊体験談です。映像によって、その血の霊なのか、無念の思いと一体化した? それとも、シンクロしたのでしょうか? 加えて・・・・となったのは、すごいですね。山本まゆりさんは、きっと善良な方なのでしょう。読み応えはバッチリです。それでは。
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