『鬼平犯科帳~毒~』(原作:池波正太郎 脚色:久保千太郎 劇画:さいとう・たかを リイド社)読後の感じ(加筆修正版)
またしても、コンビニで購入した漫画雑誌『鬼平犯科帳~毒~』(原作:池波正太郎 脚色:久保千太郎 劇画:さいとう・たかを リイド社)を読了しましたので、その感じを簡単に申します。ネタバレはあまりないかと思いますが、嫌いな方、困ると言う方はご注意ください。
表紙で、珍しく、主人公の鬼平こと平蔵がくつろいで、酒を味わっておりますよ。今回は、「毒」「恋文」「おかね新五郎」の3編が収録されていますが、何と、若かりし頃の平蔵のエピソードも載っています。鬼平と恐れられる彼とは裏腹に、相当おバカなのでした。しかしながら、もう一歩で人生を踏みはずすところだったのです。
ところで、日本史オンチで歴史小説にうとい私でも、原作小説を描いた池波正太郎が、食に強いこだわりを持っていたことは知っております。前回では、鬼平にはそれが適用されているのだろうかと、半信半疑だったのですが、今回はなかなか・・・・なのです。それにしても、登場する料理のおいしそうなこと!
「毒」-軍鶏鍋、そば
「恋文」-焼きたての鰻重、めばるの煮付け
「おかね新五郎」-柿を剥いたのへ味醂をかけまわしてみたもの
今、手元にある雑誌、『自遊人』2006年3月号には、次のように主張していたそうです。
「確実な死に向かって有限の時間を確実に減らしていく--それが人の一生。しかも明日が最後の日ではないという保証はない。だから今日という一日が大事なんだ。毎日、そう思って飯を食え。そう思って酒を飲め」
食いしん坊と酒飲みには、応援というよりも、叱咤激励に近いニュアンスに思われます。ストーリーの意外性、様々な人間模様と、一度は原作を読んでみる価値はありそうですので、その際は、もう少し真面目に江戸時代を勉強した上で、感想を述べてみましょう。それでは。
(追記)
「おかね新五郎」には、もう一つ、重要な料理が出てまいります。冒頭なのに、忘れてしまって、すみませぬ。
それは、料理屋“万七”の兎汁です。字だけを見ると、豚汁のように思われるのですが、どうやら、兎鍋のようなものかと。平蔵の、「うむ、淡白な野兎の脂肪(あぶら)が、出汁にとけあってたまらなくよい匂いのする事よ」と、評する言葉からすると、おいしそうですなあ。
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