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2013年12月31日 (火)

『ベルセルク』37巻(三浦建太郎・白泉社)の感想

 漫画『ベルセルク』37巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれて居ますので、ご注意ください。

 久しぶりの投稿ゆえ、「かんそう」と入力したら、即刻、「乾燥」と変換されましたよ。気力と感性までも、干上がっていないといいですなあ。

 37巻は、「幻想世界篇/妖精島の章」であり、「人魚(メロウ)②」「声連(セイレン)」「浮上」「流星」、特別編にあたる「遠い日の春花①~③」、「幌馬車」「楽土」、以上が収録されています。あらすじとしては、ガッツと人魚(メロウ)の大群(実は人魚だったイスマ含む)とともに、海神(名前は立派ですが、威厳ゼロで、超絶巨大)と戦闘状態に。決着は意外とすんなりついたのですが、敵が大きすぎて、ガッツは逆に命の危機におちいります。けれども、人魚達と、もう一人、謎めいた、髪の長い幼児(男の子)によって救われます。ファルネーゼの魔法も上達し、めでたしめでたしとなった夜に、なぜか、その子どもは行方を絶ち、シールケは、彼は妖精島の使い、もしくは「花吹雪く王」の化身なのではないかと、皆に語るのでした。
 そして、章は一転して、旅をしている、元鷹の団のリッケルトとエリカの幌馬車の一団が戦鬼(トロール)、鶏獣(コカトリス)に襲撃され、あわやという時に、新鷹の団達に救われます。そのことに感謝しつつも、リッケルトは、ケンタウロスっぽい巨大鹿の怪物にしか見えない、魔弓の射手、アーヴァインを見るや、以前とは面影も雰囲気もまったく異なるグリフィスを思い出し、不安に駆られます。そうこうするうちに、一行はウィンダム=ファルコニアに到着。いくつも存在する巨大水晶、凄絶にそそり立つ世界螺旋樹、信じられないほど平和に生活する人々に、一同は目を奪われるのでした。ファルコニア、この都市は一体、何なのでしょうか?

 37巻は、暴力ファンタジーとけなされがちな『ベルセルク』の中で、穏やかなお話であり、美しい描写もありますから、割と多くの方々にお勧めできるでしょう。特に、人魚達がガッツを救い出す場面は、聖母マリアの被昇天と似ているように見えて、実にロマンチックです。後述しますが、「遠い日の春花」もかなりしっとりした内容ですからね。
 それから、鷹の団でもっともかわいい、が、弱そうに見えたリッケルトが、思いがけないほどりりしく戦っていて、これもよかったです。これから、リッケルトなりに、グリフィスやガッツへのアプローチをしていって、謎解きや物語の展開に関わっていくのでしょうか。わくわくします。
 さて、「遠い日の春花」は、ガッツが鷹の団以前のお話で、メインストーリーとは関係ありませんし、前半はかなり、手塚治虫『ブッダ』(ワタシ的にもう読みたくない、ぎゃふん漫画の一つ)の、パセーナディ王が幽閉中に花の精と仲よくなるエピソードにそっくりなので、なんじゃこりゃ、と思っていたのですが、さすが作者様、脱帽です。精神的土下座!
 温かい雰囲気ながらも、ラストは切ない感じで、だから、ガッツは当初、小さなパックを毛嫌いしていたのかと、思われてしまいます。親切そうなマルティノが、実はかなり食えないヤツだったり、本編ではさほど活躍しなかった、父親代わりのガンビーノ(最低の育て親ですけど)の、彼なりの生き抜く術、分厚い甲冑に守られた相手を倒す方法など、短編ながらも見所満載です。何と言っても、独房の野草の化身だか精霊? の、小さな少女の姿をしたチッチが、猛烈にかわいい! チッチはガッツの、都合よい妄想なのか、それとも実在していたのでしょうか。パワフルな本編もいいですが、ぜひこのお話も読んでいただきたく思います。それでは。
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