『信長の忍び』9巻(重野なおき・白泉社)の感想
コミック『信長の忍び』9巻(重野なおき・白泉社)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
今まで、私は朝倉義景がパッとしない人物だと思っていましたが、この漫画を読んで、精神的土下座をいたします。華々しい行動がなかっただけで、戦国大名ゆえ、充分に聡明でありました。だから、織田軍の予想外の行動力に、退却という形しか取れなかった。信長の、軍勢の神速ぶりと、相手の行動を先読みする、相当な戦上手さには驚かされてしまいますが、朝倉軍も負けてはおりません。
刀根坂の戦いは、第166話~第168話と続きましたが、これが本当に、一般的に気楽に読めるとされている、四コマ漫画なのかと、私は疑い、我を忘れるほど、息もつかせぬ、迫力のある描写です。殿(しんがり)を務めた山崎吉家の奮戦とすさまじい討ち死に。
信長への復讐に燃える斎藤竜興が、動揺する朝倉義景を激励し、客将から朝倉の家臣となって、織田軍を迎え撃つも、多勢に無勢、致命傷を負い、薄れゆく意識の中で、千鳥の声を聞き、自らの戦う理由を悟って、息絶えます。
戦国ギャグとはいえ、山崎、斎藤という好敵手が退場したのは残念だったのですが、さらに、朝倉義景は、筆頭家老の朝倉景鏡(義景の従兄弟)に裏切られ、進退窮まって・・・・という流れに。これは、信長ファンの方でも、義景に同情したくなるでしょうし、千鳥のように、景鏡を責めたくもなりましょう。本当に、作者様はちゃんと、各人物の個性、価値観を、わかりやすくも、はっきり描いているなあと、毎度ながら、感心させられました。
次は、浅井軍との最終決戦。怒涛のストーリー展開に期待しつつも、信長の妹の市が、傷つかないですむことはないのかと、私は気がかりなのでした。もちろん、10巻も購入しますけどね。それでは。
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