『印度定食屋繁盛記 働く!! インド人』(流水りんこ・朝日新聞出版)の感想
明けましておめでとうございます。
年末に日帰り温泉旅行へ行ってきて、読了したばかりのコミック『印度定食屋繁盛記 働く!! インド人』(流水りんこ・朝日新聞出版)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
このお話は要するに、作者の夫であるインド人、サッシーさんが来日して、皿洗いのバイトから始めて、一生懸命働き、やがては練馬に自分のお店、南インド料理レストラン「ケララバワン」を持つようになるまでを描いた、サクセスストーリーです。恐らく、作者様とサッシーさんの意図あってでしょうが、いじめや不当な扱いといった苦労部分はカットされ(かなりワーカホリック的ですが)、お笑いメインのコミカルな内容となっています。
巻末には、南インド料理レシピも載せられており(ガネーシャ、カーリーといった、インドの神々がナビゲーターしてくれています)、いくつかの素材とスパイスは、ちと日本では入手が困難ではないかと思われるものの、始まりから終わりまで、インドの雰囲気たっぷり、「なるほど、そうなのか」と、うなずかされることばかりです。
けれども、インドのスパイスのアレルギーの方や、腕をたくさん持っている、神々の独特な姿に引いてしまう、という方は、注意された方がいいかもしれませんが。
そのようなわけで、個性的な作者様も、今回はメインキャラクターではありますが、やや脇役気味です。でも、この夫婦のやり取りが、まさに、夫婦善哉、じゃない、夫婦漫才っぽくて、ものすごく楽しい! 笑える!
私自身、わかっていたつもりでしたが、本当に、国際結婚は大変です! さらに、日本における、外国人の立場は、やはり不自由なのではないでしょうか。第5話のミャンマー人、ゲンちゃんに、情状酌量してもらえたらなあと、思いました。今は少しくらい、法律が緩くなったのでしょうか?
そして、お金を稼ぐために、サウジアラビアや日本へ働きに出かける、サッシーさんを含めたインド人達のたくましいこと! 私の知り合いの知り合いですら、留学の話は聞いたことがないし、海外転勤は栄転というよりも、単身赴任、もしくは左遷とみなされることが多いように思われます。その意味では、日本人は島国根性丸出しなのかも。後ずさりばかりしていてはいけないなと、考えさせられました。
ちょい役の人達を含めれば、この漫画はかなりの数になるでしょう。作者様もサッシーさんも、少し話したくらいの人からもアドバイスされ、助けをもらって、成功への道を歩んでいくわけです。作者様夫婦はもちろん、ある程度のこだわりはありますが、多くの人達の言葉を受け入れ、懸命に努力してゆく様子に、私は非常に心打たれました。
だから、私は! ぼっち行動ばかりしているビビリな部分を、今年は改善していくつもりになったわけです。当然、すぐに誰かと一緒にいるわけではありませんが、いろいろな人達と、いっそう関わっていこうと思います。しっかり独り立ちしているのと、怖がって一人きりでいるのは、まったく違うということが、この漫画を読んで、ようやくわかったからです。
そのようなわけで、皆様、今年もよろしくお願いいたします。私を突き動かしたという意味で、この本もお勧めですよ。それでは。
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