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2018年10月12日 (金)

『軍師 黒田官兵衛伝』(重野なおき・白泉社)1・2・3巻の感想

 四コマ漫画『軍師 黒田官兵衛伝』(重野なおき・白泉社)1・2・3巻の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
『信長の忍び』で、今をときめく作家様の時代物です。作風や特徴(四コマながらも、続き物のお話)は、ほぼ同じかと思います。ただ、千鳥のような無双の強さを誇る、女の子キャラが登場しない点、より一般向けでお勧めできますね。

 あらすじは、くわしくはウィキペディアやamazonなどご参照ください。1巻は官兵衛の軍師デビュー、2巻は有岡城での幽閉と救出、3巻は本能寺の変が起こったため、官兵衛の所属する羽柴秀吉軍の高松城攻撃が時間との戦いになり、ついに大返しとなって、山崎の戦い寸前に。
 3巻は、またしても! いいところで終わり。『信長の忍び』でも及んでいない、本能寺の変が、セリフなし効果音なしで表現されていますが、それでも緊迫感はあります。加えて、その後の明智光秀の誤算の連続、逆に、天下取りを見すえて神速に行動する秀吉など、おもしろいポイントは、ばっちり押さえられています。
 けれども、私は官兵衛個人の話の展開としては、荒木村重に幽閉され、頼みの綱は、父と妻の光(てる)、家臣達だけという、途方もないピンチからの脱出がよかったです。常識的な善助と暴れ者の太兵衛、この対照的な家臣の活躍もおもしろかったですしね。
 病弱で穏やかそうでいながらも、誰もが舌を巻く切れ者の竹中半兵衛(官兵衛の息子、松寿丸が信長に処刑されないよう策略を立てますが、死亡)、辛辣なクールビューティーの妻、光。
 敵方も、強大な毛利家が誇る、血の気の多い吉川元春、慎重で聡明な小早川隆景という二人がいい味を出しています。
 もっとも、私が一番気に入っているのは、大名の宇喜多直家です。温和な外見で平和志向ながらも、自分の意に反する者には、容赦なく暗殺を示唆する言動が、コワおもしろい! 実在したら、真っ先に逃げますけどね。官兵衛は彼を調略して、毛利軍との戦いを有利に運ぶわけです。2巻で死んだのが、本当に惜しいです。
 4巻は、いつ発行されるのでしょうね? 作者様はお忙しいでしょうが、武田VS上杉の戦いなど、もっと描いていただけたら、と思います。それでは。

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