『信長の忍び』13巻(重野なおき・白泉社)の感想
四コマ漫画『信長の忍び』13巻(重野なおき・白泉社)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
「第247話 ぶらり明智家への旅」から、明智光秀の家族、特に妻の煕子(ひろこ)をくわしく取り上げているのがおもしろいです。
どうやら、この漫画は、本願寺との決着ではなく、最期まで描かれるみたいですね。気楽に読める四コマギャグというより、四コマ大河ですね。奥が深いなあ。
長篠の戦の経過は、有名ですから省略いたします。ただ、私の読んできたものとは異なり、「武田家は鉄砲の威力を熟知していない、愚か者ぞろい」ではありませんでした。確かに、武田軍の数字上の犠牲者は膨大でしたけれども、入念すぎるほどの準備を重ねてきた織田・徳川連合軍も、死に物狂いの戦いでした。
そのあたりは、ぜひ、単行本で確認していただきたいです。
千鳥と助蔵は、因縁ある武田軍の忍び、千代女と、二人対一人の変則で戦いますが、これがかなり長い。ルール無用の忍び同士の戦いで、千鳥がもっとも苦戦したと思います。こちらも長篠本戦と違う、ささやかな戦いではありませぬ。すごいとしか、言いようがないです。
そして、撤退するにあたり、武田軍の名だたる武将達が踏みとどまり、織田軍の追撃によって落命する場面は、残虐でこそありませんが、やはり痛ましい。
私がもっとも印象的に思ったのは、鳶ヶ巣山砦の酒井忠次VS武田信実で、千鳥達の戦いと並行して、互いに砦を奪ったり奪い返したりするもの。酒井が、「いつまで続くんだ この誰得オッサン勝負!!」と叫び、周囲の兵士達は、「無理をしないで オッサンたち!!」と、ツッコミながら見守ります(P25~26)。この小さな戦いがまた、長篠の戦いの決定打になったのでしょうね。
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