« 『絢爛たるグランドセーヌ』10巻(Cuvie・秋田書店)の感想 | トップページ | 『絢爛たるグランドセーヌ』11巻(Cuvie・秋田書店)の感想 »

2019年2月15日 (金)

『美代子阿佐ヶ谷気分』(安部愼一・ワイズ出版)の感想

 コミック『美代子阿佐ヶ谷気分』(安部愼一・ワイズ出版)の感想を申します。ネタバレが含まれているかもしれませんので、ご注意ください。

 漫画とはいえ、すでに読了しているにも関わらず、なかなか感想文ができない作品が、私にはいくつかあります。『日の興奮』『気分』『同棲時代』『白い夏』『紅い部屋』など。この内、前の2作品は、安部愼一作品なのです。
 これからも、私は様々な漫画を読むでしょうが、恐らく、この作者様の感想はトップクラスに難しい。その理由は。

 大半の作品(短編)が、ストーリーがあって、ないようなものだからです。ゆえに、伏線やその回収、どんでん返しもない・・・・と、思います。
 少なくとも、ジェットコースター展開、胸躍るようなワクワク感はありません。あらすじを紹介しようにも、男女がいて、ある日ある時の日常を描写したもの、としかいえませぬ。
 だから、漫画に非日常的なエキサイトを求める方にとっては、退屈極まりない作風です。
 加えて、細かくていねいに描かれているのですけれども、平板的でバランスがおかしくて、雑に描きなぐっているようにも見えます。
 ところが、「素人臭い絵だなあ」と、ぼーっとページをめくっていると、思いがけず、胸に突き刺さるようなシーン、絵、セリフが出てくるわけです。
 エロかったり、汚かったり。
 悲しくて、笑えて、腹立たしくて、涙ぐみそうにもなります。
 けれども、手帳に記しておきたいような、名セリフってわけではないのです。
 本当に、男女の間に流れ、交わされる、空気、雰囲気、熱情、「気分」を味わい、時には翻弄される作品だと、思います。
 情熱はあるけれども、うまく表現できない。平穏な生活を望みながら、放蕩に走ってしまう。
 別れたい、でも、結局、互いを求め合う。
 そんな滑稽なようで痛々しい、ごく当たり前の人間の姿や思いが、とても胸にせまってきます。
 漫画というよりは、純文学の小説を読んでいるような気分になりました。
 ご興味のある方は、読んでみてください。
 タイトル作品と、「阿佐ヶ谷心中」、両方に登場するヒロイン、実にきれいだと思います。それでは。

ご協力お願いします。
人気ブログランキングへ

| |

« 『絢爛たるグランドセーヌ』10巻(Cuvie・秋田書店)の感想 | トップページ | 『絢爛たるグランドセーヌ』11巻(Cuvie・秋田書店)の感想 »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『美代子阿佐ヶ谷気分』(安部愼一・ワイズ出版)の感想:

« 『絢爛たるグランドセーヌ』10巻(Cuvie・秋田書店)の感想 | トップページ | 『絢爛たるグランドセーヌ』11巻(Cuvie・秋田書店)の感想 »