『日の興奮』(安部愼一・ワイズ出版)の感想
コミック『日の興奮』(安部愼一・ワイズ出版)の感想を申します。いくつかのネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
お勧めするのは難しいし、万人ウケは無理なのではないかと、思われるのですが、しかし、心惹かれるのですよね。やはり、魅力があるのでしょう。
しかしながら、作者様は女性が寝取られるネタに、相当こだわりを持っ いるのでしょうか。この本にも、またかと思うほど、出てきます。女性の夫や彼としては、辛くないのでしょうか、いやではないのでしょうか。それとも、その痛みが恋の切なさに通じているから、逃れられないということなのかもしれませんね。
収録されているのは、「意趣返し」「獣愛」「愛奴」「あいびき」「こころ」「親子将棋」「ポルノ劇画家 山村真介」「淫らな娘」「堕ちる・・・その時!」「日の興奮」の10編。
「日の興奮」のみ、時代劇仕立てになっています。芹沢鴨らと、新選組の、血みどろになった愛欲のお話ですね。また、こちらだけ、なぜかラフタッチな絵なので、ちょっと驚きました。
私がいいなと思ったのは、次のとおり。
「意趣返し」、下劣で横暴な男が一気に・・・・という場面で、息をのんでしまいました。私は剣道や刀の威力をろくに知らないのですが、すごいなと思いました。
「愛奴」、老作家? 権力者? の妄執、怖いです。ヒロイン光子を奪い合う、三角関係がリアル。でも、私はこんなふうな愛され方は絶対にいやですけどね。
「ポルノ劇画家 山村真介」、ヒロインの節子の成長? 変貌? に見せられました。加えて、山村真介の存在感の大きさよ。ここまでしなければ、ポルノの傑作は生まれないのでしょうか。
「淫らな娘」、タイトルの放埓な娘(女子高生? 今、一般漫画誌に掲載できない作品かも)のふるまい以上に、神父が彼女に迷わされていくのが、妙に生々しい感じでした。私の一番のお気に入りです。
他にも、がんばって安部愼一作品をアップしてみようと思います。それでは。
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