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2019年11月28日 (木)

『作家 蛙石鏡子の創作ノート』(西川魯介・白泉社)の感想

 コミック『作家 蛙石鏡子の創作ノート』(西川魯介・白泉社)の感想を申します。少々のネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 この巻は番外編も含めて収録され、完結しています。あらすじ兼内容としては、表表紙に描かれている、真面目でお堅そうだけど、そこがエロい感じのメガネ小説家、蛙石鏡子と、その押しかけ弟子のメガネ青年(というより、見かけも言動も少年に近い)キゼンの、この二人による、妄想、もしくは想像力過剰と現実のギャップが生み出す、文系コメディです。
 鏡子とキゼンに、たまに編集者のまどかが関わってきますが、三角関係というほどのハードさはありません。残念!
 作中に登場する、妖怪? 女神? 精霊? クトゥルフ? 幽霊? を除いて、鏡子、キゼン、まどかは全員メガネをかけていますから、少しばかり、読む人を選ぶかも。アンチ・メガネ派様には、お勧めできませんね。
 マイナスポイントとしては、帯カバーによれば、「文芸エロス」と、宣伝文句が入っていますが、それを目的で読まれると、がっかりするかも。取り上げられている文学作品が、ないわけではないのですが、薄味だと思います。
 だーかーら、キゼンの想像の中の鏡子のあられもない姿や、鏡子の小説の中で女性的人外にもてあそばれるキゼン、キゼンしか見えない幽霊などの姿が、びっくりするほどエッチなのです。
 何せ、表紙絵を参照していただきたいのですが、あまりデフォルメのない、かっちりした絵ですから、自慰やセクハラっぽい場面のインパクトが強烈です。後味のいいエロチック・コメディとしては、上質でしょう。

 最初、ツンケンしていた鏡子も、キゼンの世話を受けるうちに、一緒に食事やお酒をともにするようになり、二人の距離が近づいていく、という王道の展開です。前半、怒り顔ばかりだった鏡子が、最終話で、人間的に成長したキゼンを見つめ、恥じらい、微笑する表情は、実に愛らしく、好感が持てます。また、同じ作者様の作品を読んでみよう、と思います。それでは。

 

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