『THE KING OF FANTASY 八神庵の異世界無双 月を見るたび思い出せ!』(著:天河信彦 監修:SNK イラスト:おぐらえいすけ KADOKAWA)の感想
『THE KING OF FANTASY 八神庵の異世界無双 月を見るたび思い出せ!』(著:天河信彦 監修:SNK イラスト:おぐらえいすけ KADOKAWA)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
さて、長いタイトルを打つのは大変でしたが、八神庵ファンの私としては、なかなかおもしろい小説でした。けれども、残念ながら、読む人を選ぶのではないかと思います。
あらすじは、タイトルそのまま。庵がなぜかドラゴンが生息し、魔法が使える異世界に転生してしまいます。そこで、女騎士のアルテナ、自称超級魔法少女のリリリ(リリリゥムが本当の名前ですが、本文中ではこちらが多いので)と出会い、やがて、三つ首ドラゴンのアリギエーリと戦うことになり、という王道みたいなお話です。一応、完結はしているのですが、庵はなおも元の世界に戻れず、人気があれば続編もあり、みたいな終わり方でしたね。
それで、この小説が「読む人を選ぶ」理由としては、次のとおり。
1)女騎士アルテナ視点で話が進むのはいいのですが、三人称視点が混在しています。
アルテナが庵の考え、別の場所にいるリリリのことなど、わかるはずがないのに? 投稿小説だったら、マイナス点になると思うのですが。
2)庵のライバルの設定が……!
これはある意味、1)よりもショッキングかも。庵よりそのライバルの方が、ずっと好きだという方は、要注意です。
3)庵がアルテナ、リリリという美少女達と、ともにいることが多い。
お話の進行上、やむを得ないとはいえ、女の子と関わる庵は見たくないという方にも、お勧めはできませぬ。
しかし、マイナス点はそのくらいで、私はよかったです。要するに、3)であっても、庵は両手に花状態ではなく、生真面目なのに酒癖の悪いアルテナ、お調子者のリリリに翻弄されていて、意外と面倒見がよいのです。
そう! このお話では、庵ファンとして見てみたかった、格闘家以外の彼の一面が、不自然ではなく、格好よく描かれているところに好感が持てます。特に、イラストに迫力があって美麗ですので、弦楽器を演奏する姿など、惚れ惚れとしてしまいました。
他にも、アルテナやリリリという名前で、KOFファンの方なら、ピンと来たでしょう。パオパオという酒場、技名が魔王焦光焔等々、いくつもユニークなネーミングが隠れています。
もしかして、KOFを知らない方には、スルーされてしまうかも? なのですが、ファンタジーとしての設定で、おかしなところはありませんでした。よく練られた小説だと、思います。
続編が出版されますように。それでは。
| 固定リンク | 0
« 『霊能者ですがガンになりました』(原作:斎 小林薫 ぶんか社)の感想 | トップページ | 『THE KING OF FIGHTERS A NEW BEGINNIG』2巻(原作:SNK 漫画:あずま京太郎 講談社)の感想 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『イマージュ』(ジャン・ド・ベルグ 行方未知/訳 富士見ロマン文庫 No.107)の感想(2024.09.14)
- 『若きドン・ジュアンの冒険』(ギヨーム・アポリネール 須賀慣/訳 富士見ロマン文庫 No.77)の感想(2024.08.31)
- 『GOETHE(ゲーテ) 2024年10月号』(幻冬舎)の感想(2024.08.30)
- 『一万一千本の鞭』(ギヨーム・アポリネール 須賀慣/訳 富士見ロマン文庫 No.76)の感想(2024.08.23)
- 『戸川純のユートピア』(廣済堂出版)の感想(2024.08.12)
コメント