『信長の忍び』15巻(重野なおき・白泉社)の感想
『信長の忍び』15巻(重野なおき・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
15巻も、驚きの展開の連続でした。織田信長は、私のような日本史無知でも、主要な戦やその生涯を知っているのに、ギャグを踏まえつつも、ドキワクが止まらない演出は、作者様、お見事! としか言いようがありませぬ。精神的土下座!
あらすじとしては、足利義昭と、伊勢の北畠具教が通じていることが発覚。信長は、息子の信雄に、北畠の粛清を命じますが、信雄はとんでもない「うつけ」で、剣豪の北畠があっさり倒されるはずもなく……。
次は、雑賀衆と織田軍の激突。織田十万に対し、雑賀はわずか二千。ところが、織田軍指折りの武将に竹中半兵衛まで加わりながらも、地の利と鉄砲を生かした雑賀衆に悩まされ、千鳥と助蔵までがピンチに⁉ 雑賀の孫市他、土橋守重、部下の一見かわいい少女、小雀と蛍がおもしろいです。15巻のメインエピソードでしょう。
もう一つ、16巻につながるお話としては、千鳥と助蔵が、森蘭丸に同行して、越後に潜入し、上杉謙信の動向を探ろうとしますが、謙信本人に見つかってしまい、一緒に飲酒することに? 武田信玄とはまた異なる、スケールの大きい戦国武将にして軍神、謙信の言動がユニークです。上杉家もまた、上杉景勝、景虎、樋口兼続に、忍び? の軒猿と、またまたキャラが立ちまくりです。
ラストは、今までレギュラーキャラ化していたはずの松永久秀が、反逆を計画中? 千鳥にセクハラしながらも、様々に享受していた松永は、もうあの、のんびりした縁側でお話をしなくなる……のか⁉
と、相変わらず、いいところで終わり。16巻は、上杉軍と手取川の戦いになるようです。
雑賀衆との戦いは、織田軍にとっては苦々しい結末でしたが、雑賀の見事な戦いぶりには、圧倒されました。十万の大軍が、犠牲を大きくするばかりで、太刀打ちできないって、すごい。加えて、天下布武を目指す信長と裏腹に、傭兵として、戦国時代継続を願う孫市の気持ちも、納得できました。美少女狙撃手の小雀と蛍は、本当にいい味を出しています。
上杉謙信は義に厚い「軍神」ですが、超絶酒飲み! 蘭丸を丁重にもてなしながらも、酒を断ろうとしたら殺すつもりって、酒好き怖い! 私は酒全般が駄目なので、気が合いそうにありませぬ。穏やかに世間話をしながらも、信長打倒を宣言する謙信は、今までにない恐ろしいタイプの戦国大名でしょう。
そして、やはりというべきか、作者様は松永を描ききるおつもりのようです。いいナレーター役でしたし、千鳥との絡みがおもしろおかしかったのですが、次巻で決着、なのでしょうか。いずれにせよ、さらにドキワクなお話が山盛りのようで、見逃せませぬ。それでは。
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